1年で最も美しい月と言われる中秋の名月。
十五夜とも呼ばれ、日本では古くから親しまれています。
この記事でわかることは次の通り。
・中秋の名月のお供え物5つ
・お供え物の意味や由来
・お供え物の仕方
・中秋の名月にお供え物をする理由
中秋の名月のお供え物にまつわる何から何までご紹介しています。
年に一度の美しい月夜を心ゆくまで満喫できるよう、最後までご覧ください。
【2022年版】中秋の名月(十五夜)のお供え物5つ
「中秋の名月」とは、読んで字のごとく「秋の真ん中の美しい月」のこと。
秋の真ん中とは旧暦の8月15日をさし、一般的には十五夜とも呼ばれます。
中秋の名月に欠かせない、代表的な5つのお供え物を紹介しましょう。
1:お団子
2:里芋
3:旬の野菜や果物
4:ススキ
5:秋の七草
なぜこの5つが中秋の名月(十五夜)のお供え物になったのでしょうか?
中秋の名月のお供え物5つの意味や由来を紹介
中秋の名月(十五夜)のお供え物が5つには、それぞれ意味や由来があります。
お供え物はいずれも季節にちなんだものばかりです。
1つずつ意味や由来を紹介しましょう。
1:お団子|お米の収穫への感謝を表す
中秋の名月にお団子をお供えする風習が始まったのは江戸時代からです。
お米の豊作への祈願と感謝をこめて、お米の粉で作ったお団子をお供えしたのがはじまりです。
お団子が丸い形は月を見立てもの!
物事がまるくおさまることや、健康・幸福を表しています。
2:里芋|子孫繁栄を象徴する縁起物
中秋の名月は、別名「芋名月」とも呼ばれています。
もともとは芋類の収穫を祝うために行われたという説があります。
特に里芋は、一株で小芋、孫芋と限りなく増えることから『子孫繁栄』を表す縁起物です。
関東では皮ごと蒸して食べる「衣かつぎ」、関西では「煮っころがし」や「みそ煮」にしてお供えします。
3:旬の野菜や果物|作物の収穫を祝う
中秋の名月は作物の収穫に感謝する行事です。
秋は野菜や果物がたくさん収穫される実りの季節。
これらの旬の収穫物もカゴに盛ってお供えします。
ぶどうのようなツルものを置くと、月と人間のつながりが強くなると言われています。
4:ススキ|稲穂の代わりがはじまり
中秋の名月で飾られるススキは、実は稲穂の代わり!
稲穂は「依り代」という神様が宿るものとして古くから考えられていました。
そこで代わりに姿形が稲穂ににているススキを飾ったのが始まりです。
5:秋の七草|万葉集の俳句で親しまれる
秋の七草は日本で古くから愛された草花。
あの万葉集にも、秋の七草を詠んだ次のような和歌があります。
秋の野に咲きたる花を指おりかき数ふれば七種の花
秋のはな 尾花 葛花 なでしこの花 女郎花また藤袴 朝顔の花
このように奈良時代の歌人「山上憶良」が詠ったことで、秋の七草は人々に親しまれるようになりました。
尾花はススキ、朝顔はキキョウだとされています。
1つずつ解説しましょう。
1:萩(はぎ)
野山に自生する低木。夏から秋にかけて紅紫色の蝶形の花をつけます。
2:尾花(おばな)
山や野原に自生しているススキのことです。
根茎は解熱、利尿に効果があるとして薬用にも使われます。
3:葛(くず)
大型のつる状草本で、赤紫色の美しい花が咲きます。
根は葛粉や漢方薬の葛根湯として使われます。
4:撫子(なでしこ)
河原に自生しており8〜9月頃、ピンク色の小さな花が咲き始めます。
花のふちが糸のように細かく裂けているのが特徴。
5:女郎花(おみなえし)
日当たりの良い草原によく生えます。
黄色の小さな花は、女性の美しさに例えられました。
根は敗醤根という炎症を抑える薬として用いられます。
6:藤袴(ふじばかま)
土手などに生え、8〜9月ごろに小さく淡い紅紫色の花をつけます。
中国から奈良時代に日本にもたらされた花です。
乾燥させると良い香りがするので、昔から香料として用いられてきました。
7:桔梗(ききょう)
秋の七草の「朝顔」は、実は桔梗のことです。
青紫色の星のような形をした花をつけます。
根は晒桔梗という咳止め薬に用いられます。
中秋の名月のお供え方は?準備と配置を解説
お供え物は準備ができたけど、どうやってお供えをしたらいいのか?
お月見をより楽しむために、簡単にできるお供えの仕方を紹介します。
1:即席の月見台を作る
窓際にローテーブルを置いたり、出窓の張り出し部分を使って即席の月見台を作ります。
2:団子を並べて盛り付ける
お月見団子といえば、ピラミッド状に盛られています。
これは中秋の名月の日に感謝と祈願を月まで届かせようという気持ちの表れです。
というのも、日本人は古くから月に神様がいると信じていました。
※月読命とは、天照大神の弟で、三貴神のひとつ。夜の国と治める。
だからお団子は月の神様への神聖なお供え物。
三方に盛るのが正式ですが、お皿でもお盆でも構いません。白い和紙の上に並べましょう。
お団子の数には、15個、12個、5個の3パターンがあります。
その意味や並べ方もそれぞれご紹介します。
15個は十五夜にかけた数
お団子を15個お供えするのは、十五夜にかけた数です。
並べ方は、下から9個、4個、2個と3段に並べます。
上段の2個は正面に向かって縦に並べましょう。
12個は満月の回数にかけた数
お団子を12個お供えするのは、その年の満月の回数です。
閏年は満月が13回あるので、お団子も13個お供えします。
12個の場合、下から9個、3個と2段で並べます。
13個の場合、下から9個、4個と2段で並べます。
5個はお手軽お団子の数
15個もお団子を作るのは大変!
そんな時は5個のお団子で簡単にお供えしましょう。
下から4個、1個と2段でOKです。
3:季節の初物をカゴに飾る
果物、野菜などをカゴやお盆に盛ってください。
ブドウのようなツルものを置くと月と人間のつながりが強くなると言われています。
4:ススキを花瓶に飾る
ススキは川原などに自生していますが、最近では花屋さんでも入手可能です。
月見が終わった後のススキを軒先に吊るすと魔除けになると言われています。
鋭い切り口に力が宿って、1年間病気をせずに過ごせるとのこと。
5:お供え物の配置しよう
5つのお供え物の準備ができたら、月見台に並べていきましょう。
お供え物の配置はちょっとしたルールがあります。
お月様から見て右側に月見団子。
左側にススキや野菜などをお供えしましょう。
日本には古くから、左が上位、右が下位という左優位の考えがあります。
自然のものには神が宿るので、ススキや果物、野菜などは月(=神)から見て左側。
一方、月見団子は人が作ったものなので月から見て右側に置きます。
中秋の名月(十五夜)のお供え物は食べていい
お月見のお供え物を食べるなんていいのでしょうか?
中秋の名月のお供え物をみんなで食べると絆が強くなるという言い伝えあります。
お供えした食べ物には月のパワーが宿るそうです。
それを食べて体に取り入れれば、健康と幸せが得られると考えられています。
特にお団子は柔らかいうちに食べたほうが美味しいですからね。
【歓迎されるお月見どろぼう】
お月見が一般に広まった江戸時代は、お月見のお供え物を盗む「お月見どろぼう」がいました。
どろぼうといっても罪にはならず、「子供はお供え物を盗んでもいい」という習慣。
盗まれた家は「神様が持っていってくれて縁起がいい」とむしろ大歓迎!
子供から大人まで参加できる楽しい行事になっています。
中秋の名月(十五夜 )にお供え物をする理由
中秋の名月を祝うのは、中国の「中秋節」が由来です。
平安時代ごろに日本にも伝わりましたが、当時は宮中だけの行事でした。
貴族が月を眺めながら和歌を詠んで「お月見」を楽しんでいました。
秋は作物の収穫の時期です。
庶民は月に向かって五穀豊穣に感謝するお祝いをするようになりました。
そこでお供え物をするようになったのです。
【中秋の名月と十五夜は正式には違うもの】
中秋の名月と十五夜は一般的には同じです。
中秋の名月:旧暦の8月15日の夜に見る月
十五夜:旧暦の毎月15日目の夜のこと
中秋の名月は年に1回だけですが、十五夜は年に12~13回あります。
かつての日本人は月が満ち欠けしていく様子を見ながら、生と死をイメージしました。
その月の姿が自分たちのご先祖に重なる満月は、先祖供養のお祭りでもあったのです。
1年で最も美しい中秋の名月を眺めながら、いただいた命に感謝する。
忙しい現代の私達もそんな静かな時間を大切にしましょう。
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