カマキリとゴキブリは親戚です。
しかも100万種類を超える昆虫の中で、カマキリに最も近い昆虫がゴキブリ。
草原の王者であるカマキリと、家屋に潜む嫌われ者のゴキブリ。
似ても似つかぬこれらの共通の祖先となる昆虫が、3億年ほど前に誕生しました。
その1つの祖先からカマキリとゴキブリに分かれ、それぞれ進化していったのです。
この記事では、カマキリとゴキブリが最も近い親戚である事実を進化の歴史と共に紹介します。
カマキリとゴキブリの驚くべき共通点に納得がいくことでしょう。
ぜひ最後までお読みください。
カマキリとゴキブリの起源は2億6000万年前
カマキリとゴキブリは、紛れもなく最も近い親戚です。
それの歴史は人類はおろか、哺乳類さえ存在しない大昔に起源があります。
昆虫が地球に誕生したのは、4億8000万年前。
海に住んでいたエビやカニの先祖である甲殻類が、陸に上がって昆虫になったのが始まりです。
海から陸に上がったばかりのころ、昆虫には翅がありませんでした。
しかし厳しい気候の変化の中で生き抜くために進化し、4億年前から翅を持つ昆虫が現れたのです。
そして約3億年前に、カマキリとゴキブリの共通の祖先である「プロトファスマ」が誕生します。。
プロトファスマは見た目はほぼゴキブリ。
体長は13センチ程度の肉食の昆虫でした。
現代のゴキブリより頭が小さく、やや細長い体です。
口や足、羽の構造、また産卵管をもつなど、今のカマキリともゴキブリとも違う構造をしていました。
その先祖から、2億6000万年前ごろにカマキリとゴキブリは分かれたと考えられています。
このようにカマキリとゴキブリは、数ある昆虫の中で最も近い親戚なのです。
参考記事:筑波大学(2014/11/7) ゲノム情報で昆虫の高次系統関係と分岐年代を解明
【3億年前の昆虫は巨大だった!】
3億5000万年〜2億9900万年前の地球には、今よりずっとたくさんのシダ植物が生えていました。
そのおかげで酸素濃度が現代の1.5倍にもなり、昆虫が巨大化する結果に!
体調が70cmもあるトンボの『メガネウラ』がゆうゆうと空を飛んでいました。
その時代には巨大なゴキブリもいたそうです。怖すぎ!
カマキリとゴキブリの4つの意外な共通点!
草原のハンターであるカマキリと、嫌われ者の害虫であるゴキブリ。
しかし意外なことに、この2つの昆虫には共通点があります。
カマキリにとっってはイメージダウンになりますが、ゴキブリの親戚であることに納得がいくはずです。
1:飛ぶけど上手とは言えない
2:生きていくために足のトゲが発達
3:卵は何かに包まれた状態で産む
4:蛹にならず脱皮して成虫になる
それでは1つずつみていきましょう。
1:飛ぶけど上手とは言えない
そもそも、カマキリが飛ぶことはあまり知られていません。
成虫になったカマキリのオスは、広い野原でメスを探すために飛びます。
しかし、お世辞にも飛ぶのが上手と言えないレベルです。
チョウや蜂のように、自由自在に飛べるわけではありません。
高さ5m、幅数十メートルをまるでジャンプするように飛びます。
一方、ゴキブリも飛びます。
がしかし、、カマキリ以上に飛ぶのが下手です。
中には飛べないゴキブリだっているぐらい。
ゴキブリは高いところから低いところへしか飛ぶことができません。
だから高いところにいるゴキブリを追い詰めると、驚いて人に向かって飛んできます。
くれぐれもご注意ください。
カマキリが飛べることに関して、別記事で詳しく解説しています。こちらもご覧ください。
2:生きていくために足のトゲが発達
カマキリのカマは手ではなく前足です。
そのカマキリのカマの部分には、獲物を取るためにたくさんのトゲがあります。
カマキリの前足は、獲物を取るために特別に進化したものです。
ですが、驚くことにゴキブリの前足にもトゲがあるのです。
ゴキブリの世界に4000種いると言われており、そのごく一部が人間の家を巣にしているだけ。
ほとんどのゴキブリは森林に住んで、朽ちた木を餌として食べて巣にします。
カマキリもゴキブリもそれぞれ生きていくために、足のトゲを発達させたのです。
3:卵は何かに包まれた状態で産む
カマキリの卵は卵鞘(らんしょう)という、大きさ2cmほどの泡に覆われたかたまりです。
1匹のメスのカマキリが産卵する回数は、多いと2〜3回はあるようです。
なので1匹のメスが生涯に産む卵の数は、最大600〜900個も!
ゴキブリの卵も卵鞘に包まれています。
大きさは12mmほどの小豆大で、見た目は「がま口のお財布」のような形です。
カマキリと比べると卵の数が少なく感じますが、油断することなかれ。
ゴキブリのメスが一生涯に産む卵の数は500個と言われています。
ゴキブリは1度の行為で、何度でも出産できるからなのです。
しかもゴキブリの卵鞘はとても硬く、殺虫剤が効きません。
4:蛹にならず脱皮して成虫になる
カマキリもゴキブリも、蛹(さなぎ)にならずに脱皮を繰り返して成虫になります。
生まれたときから、羽がないだけで成虫と同じ形です。
ゴキブリが脱皮をすると聞くと、驚かれるかもしれません。
というのも、ゴキブリは夜間や目立たない場所で脱皮をするからです。
また幼虫時代は脱皮をした抜け殻を、自分で食べてしまいます。
だからゴキブリの脱皮シーンや抜け殻にはなかなか出会いません。
脱皮直後のゴキブリは、まだ外皮が柔らかく真っ白。
しかし時間の経過とともに外皮はどんどん固くなり、色も茶色や黒に変化していきます。
神秘的にさえ見える白いゴキブリは、8時間もたてばただのゴキブリに逆戻り。
ずっと白ければ、ここまで人間に嫌われなかったかもしれません。残念。
この地球上にはわかっているだけで100万種類もの昆虫がいます。
にも関わらず、カマキリの最も近い親戚がゴキブリだとは驚きです。
正直、カマキリのイメージダウンでしかありません。
しかしながら、昆虫の進化の歴史やカマキリとゴキブリの共通点を知ると納得。
そう、むしろゴキブリのイメージアップ?
家でゴキブリが出てたとき、「カマキリの親戚が遊びに来た」と考えましょう。