タラバガニはカニじゃない?カニの王者は実はヤドカリだったわけ

カニの王者とも言われるタラバガニ、実はカニじゃありません。

カニのように見えますが、なんとヤドカリだったのです。

この記事では「足の数が少ない」「前後にも歩く」など、タラバガニの驚きの特徴を解説しています。

ズワイガニ・毛ガニと共にカニ三大人気を誇るタラバガニ、そのヤドカリっぷりをとくとご覧ください。

他にもタラバガニのカニ味噌がない理由など、みんなでカニを食べる時の小ネタも満載ですよ!

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タラバガニはカニじゃない!ヤドカリの仲間の特徴4つ

タラバガニは生物学的にいえば甲殻類の十脚目(じゅっきゃくもく)。

つまり広い意味でのエビ。

エビの中でもお腹が退化して短くなったのがカニ、お腹が左右非対称なのがヤドカリです。

そしてタラバガニは、カニではなくヤドカリに分類されています。

カニ十脚目短尾下目(たんびかもく) 別名:エビ目カニ下目
タラバガニ十脚目異尾下目(いびかもく) 別名:エビ目ヤドカリ下目
タラバ爺さん
わしはヤドカリじゃ。カニなんかと間違えられたら迷惑じゃ!

なぜこのタラバガニがカニじゃなくてヤドカリの仲間なのか?

それは4つの大きな特徴があるからです。

  • タラバガニは脚の数が8本
  • メスのタラバガニはお腹が左右非対称
  • タラバガニは横歩き+縦歩き
  • タラバガニは顔がヤドカリ

それでは一つずつ解説していきます。

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タラバガニは脚の数が8本

普通のカニとタラバガニを見比べると、実は脚の数が違います。

カニの脚は10本ですが、タラバガニの脚は8本なんです。

タラバ爺さん
これを知らずに店で「脚が足りない」と言うと恥をかくぞ!

実際に写真で見てみましょう。まずはズワイガニから。

ところがタラバガニの脚の数をよく見ると、2本足りません。

これがタラバガニがヤドカリの仲間である特徴です。

カニ10本(ハサミ2本と足8本)
タラバガニ 8本(ハサミ2本と足6本)

 

正確にはタラバガニの脚の数も10本。でも2本は完全に退化して見えません!

そのために見た目の脚の数が8本なのです。

タラバ爺さん
退化した2本の脚はエラ掃除専門じゃ。気持ち良いぞ!

この2本はお腹に隠れていて、エラを掃除する働きをしています。

ヤドカリもハサミから数えて4番目・5番目の足は小さく、貝殻の中を掃除しています。

メスのタラバガニはお腹が左右非対称

タラバ爺さん
お腹を見ればオスとメスの見分けは簡単じゃ!メスだけ左右の形が違うんじゃよ。

ヤドカリのお腹は、貝殻に入りやすい様にやわらかく、そして右にねじれています。

そして副肢と呼ばれる小さな足のようなものが、お腹の左側だけについています。

メスのタラバガニのお腹も右にねじれるように節が入り、形が左右非対称。

そして腹の内側には副肢が左側にだけついています。

まさにヤドカリの特徴が、メスのタラバガニにもあるのです。

タラバガニは横歩き+縦歩き!

カニと言えば、横歩き。子供でも知っている常識です。

ではヤドカリが縦歩き、前にも後ろにも動けることを知っていますか?

ヤドカリの仲間であるタラバガニも、もちろん縦歩きができます。

タラバ爺さん
前後左右と自由自在じゃ。そこいらのカニには真似できんぞ!

タラバガニがゆっくり前進する姿からは、風格すら漂ってきます。

タラバガニは顔がヤドカリ

言われてみれば、確かにタラバガニの顔はカニではなくヤドカリです。

タラバ爺さん
きりりとした顔立ちに長い触覚。ヤドカリらしい立派な顔じゃろ!

そう、タラバガニにはカニに比べて長い触角があるのが特徴です。

どことなく寄り目な感じもヤドカリじゃないですか。。。

タラバガニだけじゃない!カニじゃないけどヤドカリ

タラバガニ以外にも、カニに見えるヤドカリの仲間がいるんです。

日本にも生息しているものをいくつかご紹介しましょう。

アブラガニもヤドカリ

タラバ爺さん
わしによく似ているぞ。素人には見分けがむずかしいのう!

タラバガニによく似たカニがアブラガニ。

やや青みがかっているとか、トゲの数が違うとか、その差は微妙です。

あまりに似ていることから偽装事件が起き、知名度が上がったとか。

国産は北海道の一部のみでの水揚げのため、漁獲量が限られています。

タラバガニの偽物というイメージがついてしまったものの、勝るとも劣らない味わいだそう。

あえてこちらを食べるのは賢い選択かも。

花咲ガニもヤドカリ

北海道の根室半島周辺で獲れる漁獲量の少ない貴重なカニです。

もともとは外に出回ることもなく、幻のカニとされていました。

その名の由来は、主に根室・花咲港で水揚げされることから。

一説には、茹でて真っ赤になる様子がまるで花が咲いたように見えるからとも言われています。

カニダマシもヤドカリ

カニダマシは西日本の海岸などで見かけることができます。

これは大きくても背中の甲が大人の親指の爪程度。ただの小さなカニにしか見えません。

ヤシガニもヤドカリ

固いヤシの実をも強靭なハサミで切り裂くヤシガニも、実はヤドカリの仲間です。

貝こそ背負ってはいないものの、その姿は確かにヤドカリに見えますね。

タラバガニの名前の由来とは?

タラバ爺さん
タラとわしは長い付き合いじゃ!昔からの腐れ縁だからのう。

タラバガニの名前の由来は、魚のタラの「鱈場(たらば)」から。

北海道以北のタラの漁場となる海域に住んでいるので、タラバガニと呼ばれる様になりました。

なお、昔は網にかかっても浜辺に捨てられ、その殻が山積みになったから「殻場」との説も。

英語ではKing  Crab(キング・クラブ)、カニの王様と呼ばれています。

その味わいは王の名にふさわしいんですが、カニじゃないんですよね。。。

まずいから?タラバガニのカニ味噌がないわけ

ズワイガニや毛ガニは身だけでなく、濃厚なカニ味噌も人気のまと。

その一方タラバガニのカニ味噌って、ほとんど聞きません。

実は店頭に並ぶボイルされたタラバガニ、カニ味噌はまずありません。

というのもタラバガニのカニ味噌は脂肪分が多く、茹でると固まらずに溶けてしまうから。

溶け出したカニ味噌は身の方に入って風味を損ねるため、通常は茹でる前に取り除かれます。

だから店頭に並ぶボイルされたタラバガニには、カニ味噌がないんです。

味自体も生臭いとされ、通常は食用にはされません。

タラバ爺さん
わしの売りは旨味に溢れた脚の身じゃ。味噌じゃないわい!

 

美味しいタラバガニを心ゆくまで堪能したい。

日本人なら一度は味わってみたい贅沢です。

でもくれぐれも活きたタラバガニを丸ごと買わないように。

奮発してそんなことをしてもコスパ悪すぎです。

余裕のある方はタラバガニの脚を、そうでないならアブラガニを食べましょう。

 

 

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