ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。それは地球を救う英雄!

カマキリのお尻から、黒いヒモのようなものが出てきた。

カマ吉
それは寄生虫のハリガネムシだ!

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後は悲惨です。

泳げないのに川に飛び込み、溺れて魚の餌になります。

これはハリガネムシによる、恐ろしいマインドコントロールのせい。

哀れなカマキリは無駄死にしたように見えますが、実はそうではありません。

この記事では、ハリガネムシに寄生されたカマキリをめぐる壮大な命の物語を紹介しています。

想像を超える感動の結末に乞うご期待!

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ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。マインドコントロールされて水の中へ

 

ハリガネムシに寄生されたカマキリは、自ら川に飛び込んでしまいます。

カマ吉
ああ!川に飛び込みたい〜!!

それはハリガネムシが、カマキリをマインドコントロールしているせいなのです。

でもカマキリはカナヅチ。

川に飛び込むと溺れ、魚の餌になって死んでしまいます。

運よく水から這い上がれたとしても、体が弱っているため長くは生きれません。

その一方でハリガネムシは、カマキリのお尻から川へと脱出します。

 

カマ吉
俺は利用されたんだよ。

そう。元々は水の中に住むハリガネムシは、川に戻りたかったのです。

ハリガネ子
愛する人と結ばれて、新しい命を育むのよ。

しかし水に住むハリガネムシが、どうやって陸に住むカマキリの体の中に入り、入水自殺にまで追い込んだのか?

このサイコミステリーを解き明かしていきます。

第1章:ハリガネムシのしたたかな犯行

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。ハリガネムシの計画的な完全犯罪

本来なら、水に住むハリガネムシ。

それがなぜ、陸に住む泳げないカマキリを溺死させるのか?

これは偶然ではなく、ハリガネムシが入念に計画した完全犯罪だったのです。

川の中で静かに計画を始める

川の中で暮らす見た目は黒いヒモのような寄生虫、ハリガネムシ。

そんなちっぽけな彼らにとって、広い川の中で愛する人に出会うのはまさに奇跡。

ハリガネ子
私の愛しい人はどこ?

男女が運よく出会ったら、互いに絡まり合って命を育みます。

その愛の証でもある受精卵から、やがて赤ちゃん(幼生)が誕生します。

イモムシのようなハリガネムシの赤ちゃんは、動くこともできない不自由な体。

しかし、すでに心には恐ろしい計画が刻まれているのです。

生まれて間もないにも関わらず、ハリガネムシの赤ちゃんは静かに時を待ちます。

仕掛けられた罠!あなたは私の道具

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。ハリガネムシ はカゲロウの幼虫も利用
川の底で静かに奇跡を待つハリガネムシの赤ちゃん。

すると、お腹をすかせたカゲロウがやって来てパクリ!

この瞬間ハリガネムシの一生が終わったかのように見えますが、これこそが罠

ハリガネムシの赤ちゃんは、食べられるその時を待っていたのです。

カゲロウのお腹の中に入ったハリガネムシの赤ちゃんは、すぐさまある行動を起こします。

それは体の一部のノコギリのような突起を使って、カゲロウのお腹の壁をほじくりるのです。

そしてちょうど良い穴ができたら、体を丸くしてグーグー眠り始めます。

ハリガネ子
ただ寝てるわけじゃないのよ!

実はこの状態はハリガネムシの最強モードで、マイナス30度でも生き延びることができるほど。

これは、次のチャンスが来るのをじっと待つためです。

手段は選ばず手当たり次第に奪う

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。目的のためには手段を選ばないハリガネムシ

何も知らずにハリガネムシの赤ちゃんを食べてしまったカゲロウ。

成虫になると羽をもち、川の生活から陸の生活へと変わります。

その時です!大きなカマキリが、今度はカゲロウをパクリ。

この瞬間、ハリガネムシの赤ちゃんは「来た」と目を開きます。

そう、次なる行動を開始するためです。

計画通りにカマキリのお腹に入ったハリガネムシの赤ちゃんは成長し始めます。

なんと口がないハリガネムシは、体全体で栄養を吸いとっていくのです。

その勢いたるや凄まじく、カマキリの生殖能力さえも奪ってしまいます。

ハリガネ子
容赦なく食い尽くすわヨ!

そうやってカマキリの消化管で数cmから1メートルにまで成長。

カマキリのお腹の中で成虫になったハリガネムシは、ついにある本能が目覚めます。

それは恋をすることです。

ハリガネ子
そうだ!川に戻ろう!!

成虫になったハリガネムシは、いよいよ最後の計画を実行に移します。

仕上げは洗脳で相手を死に追いやる

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。ハリガネムシの最後の仕上げはマインドコントロール

川に戻ると決めた成虫のハリガネムシは、カマキリをそそのかします。

ハリガネ子
川に行きたくなる〜

まるで催眠術にかかったかのように、泳げないはずのカマキリが川に向かいます。

カマ吉
ああ、あのキラキラがたまらく美しい〜!

気がつくとカマキリは川に落ちてしまいます。

溺れていくカマキリをよそに、ハリガネムシは喜んでカマキリのお尻から脱出。

哀れなカマキリは魚の餌になり、ハリガネムシは愛する人と結ばれ子孫を残します。

こうやってハリガネムシの新たな命は、またこの恐ろしい犯行を繰り返していくのです。

しかし、カマキリは無駄死にをしたわけではありません。

これが壮大な命のドラマに関わっていたのです。

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。洗脳されて水へ飛び込む

【ハリガネムシのマインドコントロールの秘密】

ハリガネムシ がカマキリを水に向かわせていることは、昔からわかっていました。

しかし、どうやってマインドコントロールをしているのかは、いまだに大部分が謎です。

そんな中で、2002年にフランスの研究チームがこの謎の一部を明らかにしました。

ハリガネムシは寄生した昆虫のお腹の中で、特別なタンパク質を作る。

このタンパク質はカマキリの神経発達を混乱させ、光への反応を異常にさせている。

どうやらカマキリは水にではなく、水に反射する光に対して反応していたのです。

そうやってハリガネムシにコントロールされたカマキリは、川に飛び込んでしまいます。

参考記事:寄生虫ハリガネムシはどうやって宿主の心を操るのか? NATIONAL GEOGRAPHIC

第2章:カマキリは地球を救う英雄だった

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。絶妙な生態系の循環

ハリガネムシにすっかりマインドコントロールされ、溺死したカマキリ。

カマ吉
俺はハリガネムシにはめられたんだよ。

しかしこれは、可哀想なカマキリと残酷なハリガネムシによる悲劇ではありません。

驚くようなスケールの大きな物語の始まりだったのです。

死は生の始まり!命は巡るよどこまでも

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。溺れたカマキリが命をつなぐ

カマキリの溺死は、悲しいことに日本全国であとを絶ちません。

カマ吉
僕の人生ってなんだったの?

川の中で溺れながら意識が遠のくカマキリに、イワナが近づいてきました。

そしてパクリ!

この瞬間、カマキリの一生が終わりました。

天国についたカマキリは、そこで意外な事実を知ることになるのです。

カマ吉
ハリガネムシに殺されたのは、僕だけじゃない!

カマドウマやコオロギ、バッタやキリギリスまで、同じように溺死していました。

イワナやヤマメといった川魚の主な餌は、ハリガネムシに溺死させられた昆虫だったのです。

その割合は年間60%以上のエネルギー源を占めるほど!

カマ吉
僕たちが川魚の餌の半分以上だったなんて!

カマキリは決して無駄死にしたわけではなく、川魚の命を繋いでいたのです。

小さな命は地球の救世主だった

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。カマキリは地球を救うヒーロー!

自分が川魚の餌になることで、役に立っていたことに満足したカマキリ。

しかし、カマキリはそれ以上に大きな役割を果たしています。

カマ吉
川魚のエサ以外に、何の役に立ってるの?

それは川の生態系を守ることでした。

川魚は溺死する昆虫を主に餌にしています。

しかしいなくなったら、川魚は水の中に住む水生昆虫を食べざるを得ません。

水生昆虫が減ると、川の中の藻や落ち葉が増えます。

それは、水生昆虫が藻や落ち葉を餌にしているからです。

水生昆虫が減ると、藻の量は二倍に増え、落ち葉を分解するスピードは30%まで落ちます。

だからカマキリの溺死は無駄死ではなく、川や森を守るための名誉の死。

小さなカマキリは地球を救うために身を捧げた英雄だったのです。

カマ吉
報われたよ〜!

参考論文:佐藤 拓哉 「森と川をつなぐ細い糸:寄生者による宿主操作が生態系間相互作用を駆動する」

飼っているカマキリのハリガネムシ対策

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。飼っているカマキリを守るには?

いくら生態系を守っていると言っても、飼っているカマキリにハリガネムシはいて欲しくない。

それが飼い主である人間の本音です。

私たちができるハリガネムシ対策を3つご紹介します。

1:餌は必ずペットショップで購入する
2:ハラビロカマキリはハリガネムシがいる
3:出すべきか出さぬべきかはカマキリのみぞ知る

それでは1つずつ、解説していきます。

餌は必ずペットショップで購入する

孵化したばかりのカマキリを飼育する場合、まだお腹の中にハリガネムシはいません。

しかし自然界の中でカゲロウやユスリカ、コオロギ等を食べるうちに、カマキリはハリガネムシに寄生されてしまいます。

ですから餌として与えるコオロギなどにハリガネムシがいれば、一緒のことです。

ペットショップで安全な餌を購入して与えることが、ハリガネムシからカマキリを守る大事なポイントです。

ハラビロカマキリはハリガネムシがいる

赤ちゃんからカマキリを飼育しない場合、すでにお腹にはハリガネムシがいる可能性があります。

中でも川の近くに生息するハラビロカマキリは、ハリガネムシに高確率で寄生されやすいです。

飼っているカマキリのお腹に、ハリガネムシがいるかどうか確かめたい。

その場合、カマキリのお尻を水につけてあげましょう。

ニュルニュルとハリガネムシが出てきます。

出すべきか出さぬべきかはカマキリのみぞ知る

カマキリからハリガネムシが出て行くと、弱ってすぐに死んでしまう。

これは本当でもあり、誤解でもあります。

ハリガネムシが出て行って数時間で死ぬこともあれば、2ヶ月以上生きることもあります。

いずれにせよ、ハリガネムシは成虫にならないと出てきません。

その頃には、カマキリの生殖機能を奪うほどにお腹の中を食い尽くしています。

ハリガネムシが出て行ったとしても、そのあとどれだけ生きるかはカマキリの体力次第。

出せば長生きできるとも、早く死んでしまうとも言えないようです。

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。見た目が針金みたいだからハリガネムシ

【針金みたいだからハリガネムシ】

ハリガネムシとは、類線形動物門ハリガネムシ網ハリガネムシ目に属する生物の総称です。

ミミズのようにウネウネ動かず、のたうちまわるように動くのが特徴。

世界には2000種類以上いると言われており、日本では14種類が存在します。

体調は数センチから1メートルのものも。

表面はクチクラと呼ばれる丈夫な膜で覆われており、例えて言うならハリガネを合成樹脂でコーティングしたような感じ。

乾燥すると針金のように固くなることから、ハリガネムシという名前がつきました。

人間には寄生しないが迷入することがある

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。水道からハリガネムシ が出てきた事例も

こんな恐ろしい寄生虫に取り憑かれたら、人間はどうなってしまう?

やっぱり水に飛び込みたくなるのだろうか??

そんな妄想をついしてしまいますが、人間には寄生しません。

ですが、偶然にも人間の体に迷い込んだ事例があります。

というのも、ハリガネムシの成虫が、水道の蛇口から出て来ることあるんです。

知らずに飲んだ人は、お腹が痛くなったり、吐き気をもよおしたりという症状が認められました。

水を飲む前は、よく見ましょう!

ハリガネムシが人間に迷入した事例に関して、別記事で詳しく解説しています。

ハリガネムシは人間に寄生しない。でも予想外に迷入した結果にビビる!

参考論文:坂本 照正・高坂 和彦・井上 厳「ハリガネムシの研究ー飲料水からの検出事例に関する考察ー」

ハリガネムシに寄生されたカマキリのその後。カマキリは地球を救う英雄

ハリガネムシに寄生されたカマキリは、予想外の地球を救う英雄でした。

「お尻から寄生虫が出てくるなんて、キモい。」

知らずにそんなことを言ったら、バチ当たりです。

ある日水道の蛇口から、黒い紐のようなものが出てくるかもしれませんよ。

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