日本のラムネは、1853年のペリーが持ち込んだレモネードに由来します。
その当時、瓶の栓はビー玉ではなくコルク。
これでは、徐々に炭酸が抜けてしまいます。
そこで1872年にイギリス人のハイラム・コッド氏が、ガラス玉で栓をする方法を編み出しました。
これが今にも続く、ラムネの瓶をビー玉で栓をする方法なのです。
この記事では、ラムネとビー玉の深い関係と切ない大人の事情を詳しく解説しています。
さらには、こぼれない栓の開け方や、ビー玉に邪魔されない飲み方など、ラムネにまつわるエトセトラも!
最後までお楽しみください。
ビー玉はラムネの美味しさを保つ栓です
日本の夏の風物詩とも言えるラムネは、幕末(1853年)にペリーが持ち込んだレモネードが由来です。
その当時、瓶の栓はビー玉ではなくコルク。
そのため、徐々に炭酸が抜けていきます。
そこで、画期的な方法を思いついたのが、イギリスのコルク会社のエンジニアだったハイラム・コッド氏。
これこそ、炭酸飲料の瓶の口をガラス玉で栓する方法だったのです。
1872年に生まれたこの方法が、現在にいたるまでラムネ瓶として受け継がれているわけです。
【ラムネのガラス玉がおもちゃのビー玉になった】
おもちゃとしても馴染深いビー玉。
実は、ラムネの栓としてのガラス玉が先に誕生しています。
ラムネの栓として使われてたガラス玉で遊んだことから、ビー玉が生まれたのです。
ビー玉名前の由来は、ガラスを意味するポルトガル語の「ビードロ」を略した説が有力です。
またラムネ玉の製造工程で基準を満たした物を「A玉」、不良品は「B玉」とした説もあります。
フルガラスのラムネの切ない大人の事情
もしあなたがフルガラスのラムネに運よく出会ったなら、絶対に割らずに大事にしてください。
なぜなら、今は日本で生産されていない貴重なものだからです。
ラムネメーカーのハタ鉱泉によると、1989年にフルガラスを廃止しています。
フルガラスの瓶は洗って繰り返し使うのが前提。
昔は個人商店や銭湯などで販売されていたラムネですが、今はコンピにやスーパーに並びます。
時代とともに流通が発達し、車で回って瓶を回収できるレベルではなくなったのです。
そして、残っているものも再利用のため破損や劣化が進む一方。
しっかりと最後の1滴まで味わったなら、買ったお店に返しましょう。
【インドで懐かしのラムネに出会える】
日本でフルガラスのラムネ瓶を作らなくなった後、このガラス瓶を作る機械はインドへ輸出されています。
というのも、遠いインドでもラムネは人気の飲み物だからです。
インドではNimbu pani(ニンプ・バーニ=レモン水)やBanta(バンタ)として親しまれています。
インド・アグラで見た白濁ドリンク。よく見たらラムネの瓶じゃないか!日本で使ったのを再利用?と思って今調べたら、19世紀にイギリスのハイラム・コッドが発明した瓶で、植民地だったインドではNimbu pani(ニンブ・パーニ=レモン水)とかBantaと呼ばれ昔からあったらしい。 pic.twitter.com/0P6jL7AvyC
— Huehuetenango (@Huehuet96789863) December 5, 2020
暑いインドのストリートで、昔懐かしラムネに遭遇したら飲んでみたくなるかもしれません。
ですがお腹を壊す可能性が高いので、くれぐれもご注意ください。
瓶の口より大きなビー玉を中に入れる方法
昔のラムネの瓶は、全てがガラスで出来ていました。
一体どうやって、飲み口よりも大きいビー玉を瓶の中に入れたのでしょうか?
その工程は次の3ステップでした。
1:口の広い瓶を作る |
2:ビー玉を瓶に入れる |
3:瓶の口を熱して細くする |
ところが今現在、日本ではフルガラスのラムネ瓶の製造は無くなりました。
現在のラムネは瓶にビー玉を入れて、口の部分にプラスチックをはめるだけ。
この方法で瓶を回収せずに販売できるようになり、海外でも販売されるようになリました。
ラムネ瓶をビー玉で栓する華麗なる技
ラムネ瓶をビー玉で栓する方法は、シンプルな3ステップです。
1:瓶にシロップを入れる
2:炭酸水を注入し、瓶を逆さまにする
3:炭酸の圧力でビー玉が瓶の口にハマる
ラムネ瓶の中央部のくびれは、ビー玉がビンの底まで落ちないためにあります。
このおかげで、ビンを逆さまにしたときに素早くビー玉が口をふさぎ、炭酸が抜けません。
理解した上で、動画でおさらいしてみましょう。
【ラムネとサイダーの違いは詰め方だけ!】
ラムネの語源ははレモネード、サイダーの語源ははシードル(りんご酒)です。
もともとはこの2つはレモン味とりんご味。味が全く違っていました。
ですが、現在のラムネとサイダーの中身は一緒です。
ラムネはビー玉で栓をしたもの
サイダーは金属の蓋(王冠)で栓をしたもの
明治37年に王冠を使ったサイダーが発売され、このように区別されるようになりました。
この王冠で栓をする方法が広まると、もはやラムネは過去の産物。
しかし今もなお求められるのは、「夏といえばラムネ」と日本人の心をくすぐる何かがあるからなのです。
ラムネをこぼさずに美しく開ける方法
ラムネをこぼさずに開けるのは、ちょっとしたコツがいります。
慌てず、手のひらでビー玉を押さえ込んでください。
ここでうっかり手を離すと、中からラムネが溢れて手がベタベタに!
詳しい手順を解説します。
1:シールを剥がしキャップを取り出す
2:平らな所にラムネを置く
3:口に「玉押し」を当て、真上から押す
4:泡が引くまでじっと待つ
縁日で誰よりもエレガントにラムネを開けられるよう、動画で予習しましょう。
1滴もこぼさずにラムネの栓を開けれたら、次はビー玉に翻弄されず美しく飲みましょう。
ラムネをビー玉に翻弄されずに飲む方法
ラムネを、ビー玉に邪魔されることなく飲むコツは2つ。
1:くぼみにビー玉を引っかけること
2:程よい角度を保つこと
ラムネの瓶の側面には、ビー玉をせき止めるくぼみがあります。
ここにビー玉を上手く引っかければ、ビー玉に口を塞がれることなく飲めます。
さらに、傾けすぎずないことがポイント。
傾けすぎるとくぼみをビー玉が乗り越えて、口を塞いでしまいます。
この2つさえ意識すれば、美しくラムネを味わうことができます。
ラムネのビー玉を取り出すならねじ込み式
昔ならではのフルガラスのラムネ瓶から、ビー玉を取り出すには割るしかありません。
しかし、キャップ部分がプラスチックのラムネ瓶なら、割らずにビー玉を取り出せるものもあります。
ラムネ瓶の口を見たときに、横に筋が入っているものはねじ込み式です。
時計回りに回して外れない場合、反時計回りに回せば取り外すことができます。
固くで回らないときは、50度ぐらいのお湯につけてから回すと簡単に外すことができます。
キャップが外れたら、中からビー玉を取り出すだけです。
ですがキャップの部分を回しても取れない場合、打ち込み式である可能性が高いです。
打ち込み式の場合、ニッパーやハサミで切れ込みを入れて、栓抜きなど外さない限り取れません。
ケガをするのでやめておきましょう。
ラムネと言えば、ビー玉。そして、夏の音です。
懐かしいフルガラスのラムネの特徴は、振った時の音の良さ。
日本ではいつか聞けなくなる音。
かくなる上はインドに行って、お腹を壊す覚悟で屋台のレモネードを飲みましょう。
間違いなく涼やかな音を立ててくれるはずです。