ソフトクリームとアイスクリーム、材料は基本的にほぼ一緒。
でもあれだけ違いがあるのには、温度と空気の量が影響しています。
温度 | 空気の量 | |
ソフトクリーム | −5℃〜−7℃位 | 少ない〜多い |
アイスクリーム | −18℃以下 | とても少ない〜とても多い |
この記事ではソフトクリームとアイスクリームの違いを詳しく解説しています。
他にも「ソフトクリームが外国で通じない話」や「誕生の歴史」など盛りだくさん。
どうぞ最後までご覧ください。
恋人や家族とソフトクリームを食べる時、きっとあなたに尊敬の眼差しが注がれますよ。。。
【温度】ソフトクリームとアイスクリームの違い①
ソフトクリームとアイスクリームには、次のような温度の違いがあります。
なぜなら作ってから食べるまでの時間が関係しています。
温度 | |
ソフトクリーム | −5℃〜−7℃位 |
アイスクリーム | −18℃以下 |
作りたてを食べるソフトクリームにとって、冷えすぎはNGです。
理由は単純。固まるとなめらかでなくなるから。
フリーザーの中で攪拌されるとき、設定温度は材料が液体から固体になる程度。
だから決してカチカチにはなりません。
ところが工場生まれのアイスクリームは違います。
もともとアイスクリームも、作って容器に詰めるまではやわらかいクリーム状。
でもそのままでは溶けやすいので、−30℃以下で急速冷凍して固めていたのです。
その後も輸送・保管中は−25℃〜−30℃、お店では−18℃以下。
アイスクリームは口に入るまでの時間が長いので、低温で品質が保たれているのです。
【空気の量】ソフトクリームとアイスクリームの違い②
ソフトクリームとアイスクリームでは、製品中の空気の量が違います。
アイスクリームは、空気がとても多いものから少ないものまで、幅広く作ることができます。
それは容器に入っているから。
でもソフトクリームは違います。
空気が多くなるに連れて軟らかくなり、形が崩れやすくなります。
逆に少なすぎるとズッシリと固くなり、滑らかさがなくなってしまうのです。
空気の量の割合「オーバーラン」の話
製品に含まれている空気の量の割合を「オーバーラン」と言います。
オーバーランは%で表され、この数値の違いが味と食感に違いをもたらします。
オーバーランと味・食感の関係はこのようになっています。
空気の量 | 味 | 食感 | |
オーバーラン・高い | 多い | あっさり | ふんわり軽い |
オーバーラン・低い | 少ない | 濃厚 | ずっしり重い |
ソフトクリームのオーバーランは30〜80%程度、アイスクリームは20〜100%程度です。
同じソフトクリーム同士やアイスクリーム同士でも、意外と差があります。
オーバーランが低いとこんなこともできる!
本場アメリカでシェアNo.1のソフトクリームがデイリークイーン。
もう撤退したものの、かつては日本各地にも出店していましたね。
実はここの製品も空気の含有量が少なく、オーバーランが低いものでした。
そのために逆さにひっくり返しても落ちません。
だからチョコのコーティングをする時に、こんなことができたんですよ。
ソフトクリームはアイスクリーム?
日本でソフトクリームは、アイスクリームの仲間として扱われます。
正確にはアイスクリーム類と言い、成分の違いで次の3つに分かれます。
「アイスクリーム」と「アイスミルク」に「ラクトアイス」。
乳等省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)によるアイスクリーム類の分類
区分 | 名称 | 乳固形分 | うち乳脂肪分 |
アイスクリーム類 | アイスクリーム | 15.0% | 8.0% |
アイスミルク | 10.0% | 3.0% | |
ラクトアイス | 3.0% | ー |
シャーベット状になってしまっているので、もはやソフト「クリーム」ではありませんね。
外国人には通じないソフトクリーム
「ソフトクリーム」は和製英語。なので海外では通じません。
英語では「soft serve ice cream(ソフト サーブ アイス クリーム」。
または短く「soft serve(ソフト サーブ」」と呼ばれます。
実はソフトクリームという言葉、「日世」創業者の田中穰治さんが名付け親です。
日世がアメリカから機械とコーンを輸入してソフトクリーム販売を開始したのは約70年前。
今でこそ誰もが知るソフトクリームですが、当時の日本では誰も見たことがありません。
そこで、分かりやすい名前にして日本に広めようと、短く縮めたのです。
【自己紹介です①】日世はソフトクリームのミックス、コーン、フリーザーの開発と製造をおこなっている会社です。ソフトクリームに関することならなんでもできる!のが日世です🍦https://t.co/kVwCwypcbP
— ソフトクリームの日世 (@nisseisoftcream) December 4, 2020
ソフトクリーム誕生の歴史
今でいうソフトクリームに近いものができたのは1846年でした。
アメリカでナンシー・ジョンソンさんが、手回し式のアイスクリームフリーザーを発明。
これには、「氷と塩を混ぜると周りの熱を奪う」原理が使われていました。
こうして贅沢品だったアイスクリームが普通の家庭でも作れるようになったのです。
そして1851年には世界初のアイスクリーム工場がメリーランド州に誕生。
大量生産で作られるようになりました。
すると今度は、輸送中の温度変化による品質の低下が課題となります。
やがてそれを解決するため、作りたてをすぐに味わえる機械が考え出されました。
これが現在のソフトクリームフリーザーの原型です。1931年のことでした。
日本でソフトクリーム文化が根付いたのは、日世の田中さんのおかげ。
ここまで身近な食べ物になるなんて、きっと予想外だったことでしょう。
輸入頼みのコーンが輸送中に割れたり、機械が故障するなど、当初は苦労の連続だったとか。
やがて日世はコーンの生産や、自社での機械の修理・開発などに乗り出し、今に至っています。
次回「ニックン」「セイちゃん」を見かけたら、ちょっぴり感謝して食べてみませんか。
そう、ソフトクリームを抱えたあの男の子・女の子のキャラクターです。