あなたはボロネーゼと聞いた時、どんなパスタを頭に思い浮かべますか?
「ボロネーゼ」とは「ミートソースのスパゲッティ」のことだと思っている人も多いのですが、実はボロネーゼとミートソースには、大きな違いがあるのです。
ボロネーゼとは、刻んだ肉や野菜を赤ワインやトマトで煮込んだイタリア・ボローニャ発祥のパスタソース。本場イタリアではスパゲッティとは違って「タリアテッレ」という幅広い麺を使います。
それに対してミートソースの原型は、ボロネーゼがアメリカに渡って変化したひき肉入りのトマトソース。トマトケチャップをベースにした甘めの味付けが特徴で、スパゲッティの上にかけて食べることが一般的。
この様にボロネーゼとミートソースには、その誕生や味付けに大きな違いがあります。
この記事では、ボロネーゼとはどんなものか、そしてボロネーゼとミートソースの違いについて、詳しく解説しています。
ぜひ最後までお読み下さい!
ボロネーゼとは
ボロネーゼとは、イタリア語で「ボローニャ風」を意味するパスタソースの名前、又はそのソースを使ったパスタ料理の略名です。
ボロネーゼが生まれたのは美食の都「ボローニャ」
ボロネーゼとはボローニャ風のラグーソースのこと
イタリアには「ラグー」と呼ばれる肉や野菜などを切って煮込んだ料理があります。
ラグーについて
ラグー(ragù)とは「煮込む」と言う意味を持つ、煮込み料理の総称です。もともとはフランスの言葉「ragout」でした。地域や食材(肉だけでなく魚介類など)によって様々な種類のラグーが存在します。
ボロネーゼの作り方
本場のボロネーゼとはスパゲッティではなくタリアテッレ
ボロネーゼに使われるタリアテッレとは
タリアテッレの基本の材料は、「小麦粉・卵・塩・水」。材料を混ぜた生地を薄く伸ばしてから「切る」(tagliare・タッリアーレ)ことからその名がつきました。
厚みは1ミリ、そして幅は4〜8ミリ程度。幅についてはイタリアのパスタメーカによってもまちまちで、はっきりとした明確な定義がありません。
パスタの種類
日本ではパスタ=スパゲッティのイメージが強いですが、イタリアには数百種類ものパスタがあります。そして使用する小麦粉にも地域性があり、南イタリアではグルテンの多い硬質小麦。それに対して北イタリアではグルテンの少ない軟質小麦を使います。軟質小麦の場合は生地のつなぎとして卵を使うことが多く、今回の記事に登場したタリアテッレもその代表的なパスタです。
ミートソースとは
ミートソースとはアメリカ生まれのパスタソース
ミートソースとは、もともとイタリアのボロネーゼがアメリカに渡って変化した、ひき肉とトマトのパスタソースのこと。
20世紀初めに南イタリアから多くの移民がアメリカに渡り、その彼らが現地で簡単に手に入る材料を使って作る様になりました。
ボロネーゼとの大きな違いは2つあり、1つはスパゲッティの上にかけて食べられる点。もう1つは、トマトケチャップがベースとなり、ウスターソースや砂糖を使った甘めの味付けという点です。
なおボロネーゼよりもミートソースの方がトマトがたっぷりのソースとなっているのは、トマトをたっぷりと使う南イタリアの文化が影響していると考えられています。
日本でミートソースが普及した経緯
アメリカ生まれのミートソースですが、第二次世界大戦後にアメリカ進駐軍によって日本に持ち込まれたという説が有力です。
1956年(昭和31年)に「マ・マースパゲティ」が誕生して本格的に国産のスパゲッティの大量生産が開始、1959年(昭和34年)にはキューピーが缶入りのミートソースを発売しました。
この缶入りのミートソースはその手軽さから大ヒット商品となり、他社からもミートソースが製造されるきっかけを作りました。
ミートソースは、その後の喫茶店ブームではお店の定番メニューとなったり、1962年(昭和37年)にスパゲッティが学校給食に採用される様になるなど、一般に浸透。子供の人気メニューにもなりました。
現在でもミートソースはファミレスやコンビニのメニューとして、またレトルト食品としても愛されていますが、高級な雰囲気を出すために「スパゲッティボロネーゼ」の名前をつけられることもあります。