ボロネーゼとはどんなパスタ?ミートソースとの違いも詳しく解説

あなたはボロネーゼと聞いた時、どんなパスタを頭に思い浮かべますか?

「ボロネーゼ」とは「ミートソースのスパゲッティ」のことだと思っている人も多いのですが、実はボロネーゼとミートソースには、大きな違いがあるのです。

ボロネーゼとは、刻んだ肉や野菜を赤ワインやトマトで煮込んだイタリア・ボローニャ発祥のパスタソース。本場イタリアではスパゲッティとは違って「タリアテッレ」という幅広い麺を使います。

それに対してミートソースの原型は、ボロネーゼがアメリカに渡って変化したひき肉入りのトマトソース。トマトケチャップをベースにした甘めの味付けが特徴で、スパゲッティの上にかけて食べることが一般的。

この様にボロネーゼとミートソースには、その誕生や味付けに大きな違いがあります。

この記事では、ボロネーゼとはどんなものか、そしてボロネーゼとミートソースの違いについて、詳しく解説しています。

ぜひ最後までお読み下さい!

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ボロネーゼとは

ボロネーゼとは、イタリア語で「ボローニャ風」を意味するパスタソースの名前、又はそのソースを使ったパスタ料理の略名です。

ボロネーゼが生まれたのは美食の都「ボローニャ」

イタリア語で「ボローニャ風」の意味を持つボロネーゼは、美食の都「ボローニャ」で誕生しました。
ボローニャはイタリアでも指折りの豊かな都市。工業が栄えて経済力が高く、しかも交通の要衝。各地の食材・食文化も入ってきやすいことから、それらを楽しむことができる富裕層が多くいました。
そうした様々な要因が重なって食文化が発達し、美食の都「ボローニャ」となったのです。

ボロネーゼとはボローニャ風のラグーソースのこと

タリアテッレ・ボロネーゼ

イタリアには「ラグー」と呼ばれる肉や野菜などを切って煮込んだ料理があります。

これをベースに、ボローニャの食通達がパスタ用のソースとして作らせたのがボロネーゼ。正式名称は「ラグー・ボロネーゼ(ragù bolognese」と言います。

ラグーについて
ラグー(ragù)とは「煮込む」と言う意味を持つ、煮込み料理の総称です。もともとはフランスの言葉「ragout」でした。地域や食材(肉だけでなく魚介類など)によって様々な種類のラグーが存在します。

ボロネーゼの作り方

ボロネーゼを作るには、細かく刻んだ香味野菜(人参・玉ねぎ・セロリなど)をオリーブオイルでしっかりと炒め、次に牛ひき肉やパンチェッタ(塩漬けの豚肉)を投入します。
肉を入れたら平らに敷き詰め、表面をある程度焼きます。これによってひき肉がミートソースの様にボロボロではなく、ある程度大きな塊にすることができます。
次いでワインを入れてアルコール分を飛ばしてから、トマトピューレを入れて弱火でコトコト煮込んだら完成です。
日本のミートソースと比べると、ボロネーゼの方が肉のボリュームが多く、そこまで甘くもないので大人の味。また伝統的な作り方に従ってひき肉の代わりに牛肉を刻んだり、粗挽きのひき肉を使うとより本格的になります。

本場のボロネーゼとはスパゲッティではなくタリアテッレ

タリアテッレ・ボロネーゼ

ボロネーゼをパスタソースとして使う時、ボローニャではスパゲッティではなく、幅広い手打ち麺のタリアテッレを組み合わせます。
この料理の名称が「タリアテッレ・ボロネーゼ(tagliatelle  bolognese)」ですが、本場ボローニャでは、単に「タリアテッレ・ラグー(tagliatelle al ragù)と呼ばれることが多いです。
なおイタリア国外でボロネーゼソースとスパゲッティがよく組み合わせられていたのは、手に入りやすかったパスタだったからです。
スパゲッティとの組み合わせも美味しいのですが、あくまでも本場のボロネーゼはタリアテッレということを覚えておきましょう。

ボロネーゼに使われるタリアテッレとは

タリアテッレ
このタリアテッレとはボローニャで生まれたパスタで、日本の「きしめん」の様に幅の広い麺の形をしています。
実はイタリアの北と南ではパスタに使う小麦の種類が違っており、ボローニャのある北イタリアでは、卵を混ぜた手打ちパスタがよく使われています。

タリアテッレの基本の材料は、「小麦粉・卵・塩・水」。材料を混ぜた生地を薄く伸ばしてから「切る」(tagliare・タッリアーレ)ことからその名がつきました。

厚みは1ミリ、そして幅は4〜8ミリ程度。幅についてはイタリアのパスタメーカによってもまちまちで、はっきりとした明確な定義がありません。

パスタの種類
日本ではパスタ=スパゲッティのイメージが強いですが、イタリアには数百種類ものパスタがあります。そして使用する小麦粉にも地域性があり、南イタリアではグルテンの多い硬質小麦。それに対して北イタリアではグルテンの少ない軟質小麦を使います。軟質小麦の場合は生地のつなぎとして卵を使うことが多く、今回の記事に登場したタリアテッレもその代表的なパスタです。

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ミートソースとは

ミートソース スパゲッティ

ミートソースとはアメリカ生まれのパスタソース

ミートソースとは、もともとイタリアのボロネーゼがアメリカに渡って変化した、ひき肉とトマトのパスタソースのこと。

20世紀初めに南イタリアから多くの移民がアメリカに渡り、その彼らが現地で簡単に手に入る材料を使って作る様になりました。

ボロネーゼとの大きな違いは2つあり、1つはスパゲッティの上にかけて食べられる点。もう1つは、トマトケチャップがベースとなり、ウスターソースや砂糖を使った甘めの味付けという点です。

なおボロネーゼよりもミートソースの方がトマトがたっぷりのソースとなっているのは、トマトをたっぷりと使う南イタリアの文化が影響していると考えられています。

日本でミートソースが普及した経緯

アメリカ生まれのミートソースですが、第二次世界大戦後にアメリカ進駐軍によって日本に持ち込まれたという説が有力です。

1956年(昭和31年)に「マ・マースパゲティ」が誕生して本格的に国産のスパゲッティの大量生産が開始、1959年(昭和34年)にはキューピーが缶入りのミートソースを発売しました。

この缶入りのミートソースはその手軽さから大ヒット商品となり、他社からもミートソースが製造されるきっかけを作りました。

ミートソースは、その後の喫茶店ブームではお店の定番メニューとなったり、1962年(昭和37年)にスパゲッティが学校給食に採用される様になるなど、一般に浸透。子供の人気メニューにもなりました。

現在でもミートソースはファミレスやコンビニのメニューとして、またレトルト食品としても愛されていますが、高級な雰囲気を出すために「スパゲッティボロネーゼ」の名前をつけられることもあります。

 

ボロネーゼとミートソースの違いをひとまとめ

ボロネーゼとミートソースの違いについて一覧にまとめました。
ボロネーゼミートソース
意味の違いボローニャ風の肉のソース
生まれの違いイタリア・ボローニャで誕生アメリカで誕生(渡米したボロネーゼが変化)
料理名の違い「タリアテッレ・ボロネーゼ」「スパゲッティ・ボロネーゼ」「スパゲッティ・ミートソース」
使われるパスタの違いタリアテッレ(イタリア国外ではスパゲッティが多い)スパゲッティ
ソースの違い肉や香味野菜を刻んでワインやトマトで煮込んだ具沢山のソースひき肉や刻んだ玉ねぎなどをケチャップやウスターソースなどで煮込んだ甘めのソース
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