甘党と辛党の本当の意味と使い方|間違えやすい理由も解説!

  • 2021年6月1日
  • 2022年5月7日
  • 言葉

友人と中華を食べに行き、真っ赤な麻婆豆腐を頼みました。

「昔から辛党なんだ。」と言ったら、友人は私を鼻で笑いながら言いました。

「その使い方は間違っているよ。」

どうやら私は、辛党という言葉を間違って使っていた様です。

では一体どの様な使い方が正しいのでしょうか?

この記事では、「甘党」「辛党」の、本当の意味と正しい使い方をお伝えします。

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甘党と辛党の本当の意味

甘党と辛党の本当の意味は以下の通りです。

甘党と辛党の意味

「辛党」の意味は、甘い物よりお酒が好きな人のことです。辛い物好きな人のことではありません。

同じく「甘党」とは、お酒よりも甘い物が好きな人のことです。甘い物好きな人のことではありません。

お酒と甘い物を比べて、どちらが好きかを表している言葉です。

 フクロウ博士 
「甘党=甘い物好き」「辛党=辛い物好き」と使われることも多いが、実は辞書にはそのような意味が載っていないんじゃ。
甘党辛党
広辞苑酒類よりは甘いものの方を好む人。酒好きの人。左党。
大辞林酒よりも,甘いものを好む人。菓子などの甘い物よりも酒類の好きな人。左党。
大辞泉酒よりも、甘い菓子類を好む人。菓子などの甘いものよりも酒のほうを好む人。左党。

辛党と同じ意味の言葉に、左党(さとう)や左利き(ひだりきき)があります。江戸時代、大工・鉱夫は右手に槌(つち)を、左手にノミを持つことから、右手を槌手、左手をノミ手といいました。このノミ手と飲み手をかけて、お酒飲みの人を左利きや左党と言う様になりました。

甘党と辛党のよくある間違いと正しい使い方

よくある間違い①

×  「僕は辛党。カレーはいつも激辛だよ。」

辛党は「(甘い物よりも)お酒が好きな人」のことです。辛党=辛い物好きではありません。

正しい使い方は次の通りです。

○「僕は辛い物好き。カレーはいつも激辛だよ。」

よくある間違い②

×「私は甘党だけど辛党でもあるの!」

甘党は「お酒よりも甘い物の方が好きな人」、辛党は「(甘い物よりも)お酒が好きな人」。それぞれお酒と甘い物を比べた上での好みを表す言葉なので、甘党で辛党なのは意味が通じません。甘い物好きやお酒好きと言い換えたり、甘い物とお酒の両方好きなことを表す「両刀遣い」を使いましょう。

正しい使い方は次の通りです。

○「私は甘い物好きだけどお酒も好きなの!」

○「私は両刀遣い(りょうとうづかい)なの!」

正しい使い方①

「山田さんへのお土産、何にしようか?ケーキとか和菓子がいいかな?」」

「あの人は辛党だから、焼酎とか日本酒がいいと思うよ。」

「そう言われてみると、甘い物を食べる姿を見たことがないかも。」

正しい使い方②

「あれ、お酒を飲まなくなったの?」

「うん。しばらく飲んでいなかったら、味覚が変わっちゃったみたい。今はお酒よりも甘い物の方が好きかな。」

「すっかり甘党になっちゃったね!」

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だから間違えやすい甘党と辛党

もともと辛党の意味は辛いもの好き

もともと辛党の意味は辛い物好き。そこから酒好きという意味も持つようになりました。

辛党に酒好きという意味が加わったのには、酒を飲む時のつまみに塩辛い物が多いからという説や、お酒自体の味が辛いからだという説があります。

そもそも辛党・甘党という言葉が使われるようになったのは大正・昭和頃から。

この頃の文献では「酒好き」の意味だけでなく「辛い物好き」という意味でも辛党が使われていました。

「辛党=辛い物好き」で使われている例
大正の例大正15年(1926年)「趣味の旅 名物をたづねて」松川二郎著
昭和の例昭和35年(1960年)「私は赤ちゃん」松田道雄著

松川二郎さんは読売新聞の記者。松田道雄さんは京都大学医学部を出て医者となり、後に数多くの育児書を書いた方。どちらも普通の人に比べて、言葉の使い方には敏感だと考えられます。そうなると、この「辛党=辛い物好き」という意味は、この頃の一般的な認識だった様に思えます。

 フクロウ博士 
「酒好き」「辛い物好き」の2つの意味で使われていた「辛党」が、どうして「酒好き」の意味だけになってしまったのかはよく分かっていないんじゃ。

年代によって大きく違う辛党の認識

NHKが2014年に行った調査では、辛党の意味を正しく答えられたのは半分以下の45%。
20代の正解者は、わずか18%でした。


(「NHK放送文化研究所ウェブアンケート2014年3月〜4月実施」をもとに編集)

この結果からは、若い人の多くが「辛党=辛い物好き」という認識を持つことが分かります。
日本語の使い方は時代と共に変化するので、やがて辞書も変わっていくかもしれません。
とはいえ、今の段階では「辛党=辛い物好き」「甘党=甘い物好き」だと間違いです。
そのことを分かった上で臨機応変に対応しましょう。
 フクロウ博士 
仲間内の会話だったらそこまで目くじら立てる必要もないが、年配の人と話す時や正式な場では注意が必要な言葉なんじゃ。

「甘党」と「辛党」の意味をひとまとめ

「甘党」と「辛党」は対義語で、どちらも「お酒」を基準として意味が成り立っている言葉です。

甘党酒より甘いものを好む人。
辛党(甘いものよりも)酒好きな人。左党や左利きとも言う。

特に若い世代は「甘党=甘い物好き」「辛党=辛い物好き」として使いがちですが、辞書の意味に基づくと間違いなので要注意です。

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