阿吽の呼吸の意味と由来を徹底解説!もとは仏教用語で深イイ言葉

  • 2021年5月23日
  • 2022年5月7日
  • 言葉

阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)の意味は、次の通り。

二人以上が一緒に何かをする時、互いの気持がぴったり合うこと。

出典:三省堂 必携故事ことわざ辞典より

驚くことに「阿吽」はもともと仏教用語。

ブッダくん
仏教はインドで生まれたんだよ。

阿吽は仏教に由来するため、語源は古代インドの言葉である「サンスクリット語」です。

サンスクリット語では阿吽は以下の通り。

阿は最初の文字「a」
吽は最後の文字「hum」

この2つの音に、漢字を当てて出来た言葉が「阿吽」です。

この記事では、「阿吽の呼吸」の意味や使い方だけなく、一発で理解できる動画や例文もお伝えしています。

「阿吽」と仏教の深い世界を心ゆくまで味わってください。

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阿吽の呼吸の意味は「互いの気持ちが合うこと」

阿吽の呼吸 意味
阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)の意味は以下の通りです。

二人以上が一緒に何かをする時、互いの気持がぴったり合うこと。

出典:三省堂 必携故事ことわざ辞典より

互いに協力して1つの事をするときの微妙な気持ち。

出典:東京堂出版 決まり文句語源辞典より

言葉にしなくても相手の気持ちがわかり、タイミングを合わせて物事をなすときに使われます。

次に「阿吽の呼吸」を一発で理解できる例文と動画をご紹介いたします。

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阿吽の呼吸が一発で理解できる例文と動画

阿吽の呼吸は二人以上の人間が、息を合わせて物事をしている状態で使われます。

ブッタくん
例えば、餅つき!

餅つきは杵で「餅をつく人と」、ついた餅の位置を整える「返し手」が息を合わせて行います。

まずは目にもとまらぬ名人の餅つきをご覧ください。

よもぎ餅で有名な奈良の中谷堂は、機械ではなく全て人の手でついています。

ブッダ君
こんなに早くつけるなんてスゴイ!

中谷堂の餅つきは、杵でつく人と餅を返す人の阿吽の呼吸が見事だ。

「阿吽の呼吸」の意味と使い方はこれでマスターできました。

次に、実に奥深い「阿吽」の由来について紹介しましょう。

阿吽の由来はまさかの仏教用語

「阿吽」はもともとは仏教用語です。

その証拠に、お寺にまつられている金剛力士像に「阿吽」を見ることができます。

ここでは「阿吽」と仏教の切っても切れない関係に迫ります。

お寺の金剛力士像に見る「阿吽」

阿吽の呼吸 意味 金剛力士像
お寺の入り口を守る門番のように置かれる2体の金剛力士像。

必ず2体が対になっているのには理由があります。

向かって右側は口を開けた「阿形」
向かって左側は口を閉じた「吽形」

これはまさに「阿吽」を表現するために2体1対でまつられているのです。

ここから「阿吽の呼吸」は、二人の息がピッタリあった様子を表す言葉になりました。

ではなぜ口を開いた方が「阿」で、口を閉じているのが「吽」なのか?

これには深い理由があります。

ブッタくん

それはサンスクリット語の発音から出来た言葉だからだよ!

次に、「阿吽」という言葉の成り立ちの謎に迫ります。

阿吽は由来はまさかの古代インド

阿吽は仏教用語で、仏教のルーツは古代インド。

ブッタくん
阿吽の由来はまさかの「古代インド」!

仏教は紀元前5世紀、北インドのカピラヴァスツに生まれたゴーダマ・シッダールタが説いた教え。

だから「阿吽」は古代インドで使われた言葉であるサンスクリット語(梵語)でできています。

・阿はサンスクリット語の最初の文字で
口を開いて出す最初の音「a」。

 

・吽はサンスクリット語の最後の文字で
口を閉じて出す最後の音「hum」。

この2つの音に漢字を当てはめたのが、「阿吽」です。

漢字
発音a(ア)hum(フーム)
サンスクリット語

大昔から現代にまで続く仏教。

その仏教と切っても切れない関係にある「阿吽」は、驚くほどスケールの大きい意味を持っています。

次の章では、「阿吽」のハマってしまいそうなぐらい深い意味をご紹介します。

想像を超える壮大な「阿吽」の世界をご堪能くださいませ。

ハマりそうなぐらい深い阿吽の意味4つ

「阿吽」は古代インドで使われていたサンスクリット語の音に漢字を当てた言葉です。

もともとが仏教用語なだけに、阿吽そのものが持つ意味は想像以上に深くてビックリ。

そんな「阿吽」には次の4つの意味があります。

1:吐いて吸う「呼吸」そのもの
2:始まりと終わり=「全宇宙」
3:相反するもの・対になるもの
4:神聖で重要な音「オーム」

1つずつ解説していきましょう。

1:吐いて吸う「呼吸」そのもの

阿吽の呼吸 意味

ブッタくん
阿吽には呼吸という意味があるよ。
阿は口を開いて息を出すこと。
吽は口を閉じて息を吸うこと。

そのことから阿吽には「呼吸」という意味があります。

面白いことに、阿吽と呼吸は共に「吐いてから吸う」ことを意味しています。

呼気=吐く息
吸気=吸う息

仏教の腹式呼吸では息を吐き出しながら胸を広げて膨らませ、吸い込みながら胸を小さくします。

座禅や瞑想の時も、必ず息を吐ききってから吸い込む深呼吸をします。

吐く息吸う息
阿吽
呼吸

呼吸というと、吸って吐くイメージがありますが、正しくは吐いて吸うもの。

阿吽も同じことを意味しています。

2:始まりと終わり=「全宇宙」

阿吽 意味

阿吽はサンスクリット語の最初の音である「a」と、最後の音である「hum」からできています。

この二つの音は、人の生まれる瞬間と死ぬ瞬間を表しているという解釈があります。

人は母親から生まれた瞬間、息を吐いて「アー」と泣き叫ぶ。

また人は死ぬ瞬間、息を吸って「フーン」と唸る。

このような解釈から、阿吽は「この世の始まりと終わり」すなわち「全宇宙」という意味も持っています。

ブッダくん
一切万有の発生する根源

全てのものの始まりであり終わりとされる「阿吽」は、まさかのスケールの大きさです。

3:相反するもの・対になるもの

阿吽 意味

全宇宙を表す言葉である「阿吽」。

それに合わせて次のような解釈があります。

阿:悟りを求める心を意味する菩提心(ぼだいしん)。

 

吽:その結果として完全に悟った状態の涅槃(ねはん)。

この2つはまさに真逆の状態です。

これが転じて、阿吽には相反する2つのもの、1つの対のものという解釈がなされます。

その象徴とも言えるのが、寺院で見る金剛力士像や神社で見る狛犬です。

阿吽 意味

狛犬や金剛力士像は、神聖な場所を守る役割があるとされます。

そんな対になった像は決まって「阿吽」を表しています。

右は口が開いた「阿形」
左は口を閉じた「吽形」

2体が対になって置かれています。

沖縄の街中や公園、民家にさえも見かける「シーサ」。

こちらも必ず対になっており、同じように口を開いたも「阿形」と閉じた「吽形」がセットになってます。

【知られざる狛犬のトリビア】

狛犬 阿吽

現在は一対で狛犬と呼ばれますが、狛犬が日本に登場した平安時代には左右別々の霊獣でした。

右の口が空いている「阿形」は獅子
左の口が閉じている「吽形」は狛犬

平安時代や鎌倉時代に作られたものは、この獅子と狛犬に明確な違いがありました。

立っている場所たてがみ
獅子右側開いてるなし巻き毛
狛犬左側閉じてるあり直毛

獅子は口を開けていて、たてがみは巻き毛。

狛犬は口を閉じていて、たてがみは直毛。

ブッダくん
しかも狛犬には角が生えていたんだよ!

こんなにも獅子と狛犬とでは外観が違っていたのです。

狛犬は最初は平安時代の宮中の調度品でしたが、次第に神社や寺院におかれるようになりました。

そして時の流れとともに徐々に獅子と狛犬の違いがなくなり、現在の一対で狛犬が定着したのです。

4:神聖で重要な音「オーム」

阿吽 意味

仏教では厄除けやお祓いなどご祈祷を行うとき、必ず陀羅尼(だらに)という呪文を唱えます。

その始まりには「阿吽」(実際には「おーん」と叫ぶ)という言葉が何度も出てきます。

仏教において、阿吽は神聖で力のある言葉なのです。

またサンスクリット語でaとhumからできた阿吽は、ॐ [om]という一文字で表されます。

このॐ [om]は、ヒンズー教では「全て」を表す音のシンボル。

ブッタくん
とても神聖で特別な音なんだよ。

日本でもヨガのレッスンを受ける時、「オ〜ム〜」と唱和することがあります。

これはマントラと言って、短い祈りの言葉です。

ちょっとビックリしますが、唱えるのに宗教的な目的はありません。

深くヨガの練習に集中できるよう、自分の心と体を繋ぐために唱えているだけです。

阿吽のルーツが古代インドであり、仏教用語であること思えば納得ですね。

日本文化に定着した「阿吽の呼吸」

阿吽の呼吸 意味

日本人は言葉がなくても、互いの気持ちを分かり合えることを美徳とする文化を持っています。

例えば日本の国技である相撲。

相撲の立ち会いはお互いの息を合わせ、立会いのタイミングをはかっています。

行事の言う「はっけよーい、のこった」で始めてるのではありません。

ブッダくん
まさに阿吽の呼吸だよ!

もともと相撲は神様に捧げる神事でした。

阿吽が神聖な言葉であることを思うと、これも偶然ではないと思われます。

誰かが「阿吽の呼吸だね」と言ったとき、それには全宇宙とつながる何かがあるはず。

お母さんが黙ってお父さんにお茶を差し出すのも「阿吽の呼吸」。

もともとは仏教用語だった阿吽は、しっかりと日本人の心に根付いているのです。

あなたの日常にもきっと阿吽は潜んでいて、そこにはきっと無限の宇宙が広がっているはず。

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参考図書:戎光祥出版「日本全国 獅子・狛犬ものがたり」上杉 千郷
河出書房新社「仏教から生まれた意外な日本語」千葉 公慈

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