ムササビとモモンガ、最大の違いは体の大きさです。
滑空時の手足を広げた大きさが座布団サイズならムササビ、ハンカチサイズならモモンガだと見分けられます。
この記事では、ムササビとモモンガの様々な違いと見分け方について、ポイント別に解説しています。
どうぞ最後までお楽しみ下さい。
この記事でムササビとモモンガは、日本の固有種であるホホジロムササビとニホンモモンガを指しています。
ムササビとモモンガの外見の違いと見分け方
ムササビとモモンガの決定的な外見上の違いは、体の大きさです。
しかしそれ以外にも、ムササビとモモンガの見分け方はいくつもあります。
- 体の大きさ
- 顔(目の大きさと白門)
- 皮膜の形
- 尻尾の形
- 体の色
①体の大きさ(ムササビとモモンガの外見の違い)
ムササビとモモンガの体の大きさには、大きな違いがあります。手乗りサイズのモモンガに対し、ムササビは2回りも3回りも大きいのです。
手足を広げた滑空時の大きさから、ムササビは「空飛ぶ座布団」、モモンガは「空飛ぶハンカチ」とも言われています。
ムササビ | モモンガ | |
体長(頭から尾の付け根) | 27〜48cm | 14〜20cm |
尻尾の長さ | 28〜41cm | 10〜14cm |
体重 | 700〜1300g | 150〜200g |
参考文献:小学館の図鑑NEO「動物」
②顔(ムササビとモモンガの外見の違い)
ムササビとモモンガの顔ですが、見比べるとまず目の大きさが違います。
顔の大きさに対して目がとても大きくてクリクリしているのがモモンガです。
またムササビには顔の周りに「白門(はくもん)」と呼ばれる白い帯模様が入っています。
③皮膜の形(ムササビとモモンガの外見の違い)
ムササビとモモンガが滑空できるのは、手足の間についている皮膜のおかげです。
手足を広げた時の皮膜の形ですが、モモンガは四角形でムササビは五角形。
ムササビには後ろ足と尻尾の間にも皮膜がついているという違いがあるのです。
④尻尾の形(ムササビとモモンガの外見の違い)
ムササビとモモンガは尻尾の形も違います。
ムササビの尻尾は太い筒状の形ですが、モモンガの尻尾は平べったい形をしています。
この様にムササビとモモンガでは尻尾の形が違いますが、どちらも滑空時に体を安定させたり、向きを変える働きをしています。
⑤体の色(ムササビとモモンガの外見の違い)
ムササビとモモンガには、体の色にも違いがあります。
ムササビは年間を通じて濃い茶色です。
一方のモモンガは夏と冬で異なります。モモンガの夏毛は淡い茶褐色ですが、冬毛になると淡い灰褐色に変わります。
これはモモンガの生息地域が比較的標高が高く、冬に雪景色になりやすいことと関係しています。
ムササビとモモンガの生息地の違い
ムササビの生息地域は平地や標高の低い山地の森林。昔からのお寺や神社の大木なども好み、モモンガと比べると人家の近くで見つけることが出来ます。
ムササビは体が大きい為、巣穴となる大きな穴を確保するのにある程度の大木が必要です。
※ニホンモモンガの分かりやすい画像が無かったため、近種のエゾモモンガ(北海道の固有種)を使用しています。
一方のモモンガが生息するのは、やや標高の高い山林が中心です。
どちらも基本的に樹上での生活。木の穴などを巣にしています。
ムササビとモモンガの滑空距離の違い
ムササビとモモンガの滑空距離を比べると、ムササビの方が遠くまで飛べます。
ムササビの平均滑空距離は40〜50mですが、高いところから風にうまく乗った場合では100〜200m近くも飛ぶことができます。
モモンガの平均滑空距離は20〜30mですが、条件が良ければ100m近く飛ぶこともあります。
なおムササビもモモンガも斜め下に向かって飛ぶ為、飛び出す位置が低いと滑空距離も10〜20mと短くなります。
【ムササビの滑空シーン】
【モモンガの滑空シーン】
※ニホンモモンガの分かりやすい動画が無かったため、近種のエゾモモンガ(北海道の固有種)を使用しています。
ムササビとモモンガの鳴き声の違い
ムササビの鳴き声は「グルルルルルル」「グルルルグルルル」や「キュルルルルル」「キュルキュルキュル」です。
前者は仲間への合図の鳴き声、後者は警戒時の鳴き声とされています。
モモンガの鳴き声は「ジィージィー」「ジィージジィジジィ」で、まるで虫の鳴き声のようです。
【ムササビの鳴き声】
【モモンガの鳴き声】
※ニホンモモンガの分かりやすい動画が無かったため、近種のエゾモモンガ(北海道の固有種)を使用しています。
ムササビとモモンガの英語名の違い
共にリスの仲間であるムササビとモモンガに対し、英語圏では主に次の様に呼んでいます。
- ムササビ…「Giant flying squirrel (ジャイアント・フライング・スクワラル /大きな空飛ぶリス ) 」
- モモンガは「 Flying squirrel ( フライング・スクワラル /空飛ぶリス ) 」
また日本の固有種に対しては、次の様な英語名が付けられています。
- ホホジロムササビ…「Japanese giant flying squirrel (ジャパニーズ・ジャイアント・フライング・スクワラル/日本の巨大な空飛ぶリス)」
- ニホンモモンガ…「Japanese dwarf flying squirrel (ジャパニーズ・ドワーフ・フライング・スクラワル/日本の小人の様な空飛ぶリス)」※
※「Japanese lesser flying squirrel(ジャパニーズ・レッサー・フライング・スクワラル/日本の小さい方の空飛ぶリス)」という呼び方もあります。
ムササビとモモンガの漢字は同じ
ムササビもモモンガも漢字表記では「鼯鼠」です。なおモモンガは「摸摸具和」と書かれることもあります。
もともと中国ではモモンガ類の総称を「鼯鼠」とし、ムササビ(白頬鼯鼠)も含んでいました。
日本では昔からムササビとモモンガが混同されていましたが、江戸時代になってモモンガは「摸摸具和」の字をあてる様になりました。
ムササビとモモンガの違いまとめ
ムササビとモモンガの外見の違い
ムササビ | モモンガ | |
大きさの違い | 座布団サイズ | ハンカチサイズ |
顔の違い | 顔の周りに白い帯 | 大きな目 |
皮膜の形の違い | 五角形 | 四角形 |
尻尾の形の違い | 太い筒状 | 平たい |
色の違い | 濃い茶色(通年) | 淡い茶褐色(夏毛) 淡い灰褐色(冬毛) |
ムササビとモモンガのその他の違い
ムササビ | モモンガ | |
生息地の違い | 平地や標高の低い山地の森林 | やや標高の高い山林 |
滑空距離の違い | 平均40〜50m 最長200m程度 | 平均20〜30m 最長100m程度 |
鳴き声の違い | 「グルルルルル」 「キュルキュルキュル」 | 「ジィージジィジジィ」 |
英語名の違い | Giant flying squirrel | Flying squirrel |