アナゴとウナギの見た目の決定的な違いは、「体の点線」です。
実はアナゴとウナギ、体の点線以外にも見分けるためのポイントがいくつもあります。
この記事ではアナゴとウナギの違いと見分け方をわかりやすく解説していますので、どうぞ最後までお楽しみ下さい。
※記事内でのウナギはニホンウナギ、アナゴはマアナゴを指しています。
アナゴとウナギの見た目の違い!
①体の点線の有無(アナゴとウナギの見た目の違い)
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アナゴとウナギで迷わず見分けがつくポイントが、体の白い点線の有無です。
アナゴには体の側面にハッキリとした白い点線がありますが、ウナギにはそれがありません。
アナゴ:白い点線有り
ウナギ:白い点線無し
②目の大きさ(アナゴとウナギの見た目の違い)
アナゴとウナギでは、パッと見ても分かるほど目の大きさに違いがあります。
大きくて白目もクッキリしている目がアナゴ、小さくて目立たない目がウナギです。
アナゴ:目が大きい
ウナギ:目が小さい
③アゴの形(アナゴとウナギの見た目の違い)
アナゴとウナギでは、アゴの違いでも区別できます。
上アゴが前に出ているアナゴに対し、ウナギは下アゴが前に出ている受け口となっています。
アナゴ:上アゴが前に出る
ウナギ:下アゴが前に出る
④体の色(アナゴとウナギの見た目の違い)
体の色の違いも、アナゴとウナギを見分けるのに役立ちます。
明るく茶色っぽいアナゴに対し、ウナギはやや黒っぽい色をしています。
アナゴ:茶色っぽい
ウナギ:黒っぽい
- 天然もののウナギの中には、全体がやや黄色がかったものもいます。
アナゴとウナギの食材としての違い!
値段の違い
アナゴとウナギとでは、値段にも大きな違いがあります。
2021年の東京都中央卸売市場での1キロの平均価格は、アナゴ (マアナゴ) が1,637円、でウナギ が4,067円。
アナゴとウナギでは2.5倍もの値段の差があるのです。
だからといってアナゴが安いわけではありません。むしろ白身魚の高級魚であるヒラメ(1,233円/キロ)よりも高いのです。
数値の引用元:東京都中央卸売市場月報(2021)
- 高値で取引される活魚(生きたまま調理場へ届けられる魚)のアナゴは1キロ1,853円。これでもウナギの半分の値段です。
味と食べ方の違い
さっぱりと淡白なアナゴ
アナゴは蒲焼にもされることもありますが、さっぱりと淡白なのが持ち味です。
天ぷらや白焼は、お酒のつまみにもうってつけ。
そしてふっくらとした煮アナゴを使った穴子飯や一本寿司は人気のメニューです。
こってりと濃厚なウナギ
アナゴに比べると、ウナギはやや肉厚。程よく弾力のある身には脂がのっていて、こってりと濃厚な味わいです。
そんなウナギの蒲焼は、まさに暑い夏を乗り切るスタミナ食の代表格。
けれども本当の旬は秋から冬にかけて。この時期のウナギは一年で一番脂がのり、栄養価も高くオススメです。
アナゴとウナギはどっちが美味しい?
結論から言うと、アナゴとウナギのどっちが美味しいかを決めるのは困難!どっちも美味しいんです。
一般的によく言われているのは、「さっぱりしたアナゴ」と「こってりしたウナギ」。
それぞれの持ち味を活かした調理方法が用いられることもありますが、同じ様な食べ方をされたりもします。
栄養の違い
実はアナゴという魚、夏バテや疲労回復に効果があるおすすめ食材です。
ウナギと比べると見劣りしますが、そもそもウナギは別格の存在。
他の一般的な魚と比べると、アナゴはとても栄養価に富んでいるのです。
そんなアナゴとウナギの主な栄養価の違いは次の表の通りです。
100gあたり | アナゴ | ウナギ | |
一般成分 | カロリー | 146 kcal | 228 kca |
たんぱく質 | 17.3 g | 17.1 g | |
脂質 | 9.3 g | 19.3 g | |
ミネラル | 鉄 | 0.8 mg | 0.5 mg |
亜鉛 | 0.7 mg | 1.4 mg | |
銅 | 0.04 mg | 0.04 mg | |
ビタミン | ビタミンA | 500 μg | 2,400 μg |
ビタミンB1 | 0.05 mg | 0.37 mg | |
ビタミンB2 | 0.14 mg | 0.48 mg | |
ビタミンD | 0.4μg | 18.0μg | |
ビタミンE | 2.3 mg | 7.4 mg |
引用:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
- アナゴのカロリーはウナギの6割程度。
- アナゴの脂質はウナギの半分。(アナゴはさっぱり)
- ミネラル類(鉄・マグネシウムなど)はアナゴとウナギはいい勝負。
- ビタミン類は全体的にウナギの方が多い。
- どちらも夏バテや疲労回復に効果のある栄養素が豊富。
アナゴとウナギの生態の違い
アナゴは完全な海水魚。生粋の海生まれ・海育ちです。
一方のウナギは川や湖に生息する淡水魚と思われがち。でも実際には、海で誕生する回遊魚です。
引用:「ウナギの生態」農林水産省HP
大きく育ったウナギが産卵するのは、なんと日本から3000キロも離れたマリアナ海域です。
そこで孵化したウナギは海流に乗って180日ほどで日本の河口に到着し、川をのぼっていきます。
- なお川をのぼるウナギは全体の15%程度。残りの85%は一生海で過ごす「海ウナギ」だと考えられています。
- 食用ウナギの99%以上が養殖です。これは、河口に到着したシラスウナギ(全長5cm位の稚魚)を捕獲し、成長させたものです。
参考文献:塚本勝巳「ウナギ回遊生態の解明」日本水産学会誌 72(3), 350-356 (2006)
アナゴとウナギの英語名は?
英語でアナゴ全般は Conger (コンガー)、この記事で取り上げているマアナゴは、「Whitespotted conger (ホワイトスポッティド・コンガー)」といいます。
またウナギはEel (イール) ですが、特にニホンウナギは「Japanese eel (ジャパニーズ・イール)」と言います。
アナゴとウナギの違いまとめ
アナゴとウナギの違いをまとめました。
アナゴ | ウナギ | |
体の点線の有無 | 白の点線あり | なし |
目の大きさ | 大きい | 小さい |
アゴ | 上アゴが出る | 下アゴが出る |
体の色 | 茶色っぽい | 黒っぽい |
味 | 淡白 | こってり |
食べ方 | 穴子飯・煮物・天ぷら・白焼・蒲焼・寿司 | 蒲焼・白焼・うまき・鰻重・ひつまぶし・寿司 |
栄養の特徴 | 低カロリーで高タンパク!夏バテ防止に○ | 高タンパクでビタミン豊富!夏バテ防止に◎ |
生態 | 海に生息 | 海で誕生し、川や海で育つ |
英語名 | Conger ( コンガー) | Eel ( イール ) |