中秋の名月とは、1年で最も美しい月のこと。
中秋の名月には別名があり、「芋名月」と呼ばれます。
これは中秋の名月は旧暦の8月15日と決まっていて、この時期は里芋の収穫期に当たります。
収穫への感謝を表すために、里芋をお供えしたことから「芋名月」と呼ばれるようになりました。
また中秋の名月は「仲秋の名月」や「十五夜」とも言われますが、実は本来は別の意味を持つ違うものです。
この記事でわかることは次の内容です。
・中秋の名月の別名が「芋名月」な理由
・中秋の名月と仲秋の名月の違い
・中秋の名月と十五夜の違い
・中秋の名月は満月とは限らない
・中秋の名月の意味や由来
意外と知られていない中秋の名月の事実に驚くこと間違いなしです。
最後までお楽しみください。
中秋の名月の別名が「芋名月」な理由
中秋の名月の日は旧暦の8月15日で、この時期はお芋の収穫時期にあたります。
昔の人は、中秋の名月の日に芋をお供えして収穫祭をしていました。
特に里芋は1つ親芋から、子芋、孫芋とたくさん収穫できます。
このことから里芋は子孫繁栄の縁起物とされました。
関東では里芋を蒸してそのまま食べる「衣かつぎ」、関西では「煮っころがし」や「みそ煮」にしてお供えします。
また、中秋の名月のお供え物に欠かせないのがお団子です。
お団子がお供え物になった由来を、こちらの記事でわかりやすく解説しています!
中秋の名月(十五夜)になぜお団子?子供と楽しむお月見のアレコレ
【芋名月だけじゃない!栗名月もある】
お月見といえば中秋の名月、旧暦の8月15日にするのが一般的です。
しかしこの日は曇っていることが多く、月が見えないことも・・・。
そこで中秋の名月から1ヶ月後、旧暦9月13日にもう一度お月見をする風習があります。
この日を十三夜、別名「後の月」とも呼ばれます。
中秋の名月が曇りがちなのに対し、十三夜は晴れることが多いことからはじまったということ。
お月見を2回せずにどちらか1回だけする場合、「片見月」と呼ばれ縁起が悪いとされていました。
またこの時期は栗や豆が美味しい時期であることから、十三夜は「栗名月」「豆名月」とも言われます。
意外に知られていませんが、お供え物の置き方には決まりがあります。
月の神様に感謝の気持ちが届く、お供え物の種類や供え方はこちらの記事で紹介しています。
【2022年版】中秋の名月(十五夜)のお供え物は5つ!準備からお供え方まで
「中秋の名月」と「仲秋の名月」は本当は違う
「中秋の名月」と「仲秋の名月」は、漢字が1文字違うだけで読み方も一緒。
>簡単にいうと、中秋と仲秋では意味する期間が大きく違います。
意味 | いつ? | |
中秋 | 秋の真ん中の日 | 旧暦8月15日 |
仲秋 | 秋の真ん中の月 | 旧暦8月 |
「中秋」は旧暦の8月15日の1日だけですが、「仲秋」は旧暦の8月いっぱい(平均29.5日)と大違い!
かなり紛らわしいので、1つずつ解説しましょう。
中秋とは「秋の真ん中の日」
中秋の名月とは、「秋の真ん中の日の満月=8月15日の満月」という意味です。
秋は旧暦の7月、8月、9月にあたります。
ちょうど秋の真ん中の日に当たるのが、旧暦の8月15日。
だから中秋の名月は、旧暦の8月15日で年に一日だけになります。
仲秋とは「秋の真ん中の月」
仲秋の名月とは、「秋の真ん中の月の満月=8月の満月」を表します。
旧暦で秋を次のように言い表していました。
7月:初秋
8月:仲秋
9月:晩秋
要するに、仲秋とは旧暦の8月のことをさします。
名月とは満月を指す言葉で、満月はおおよそ新月から数えて15日目に当たリます。
その結果、仲秋の名月も旧暦の8月15日となり、中秋の名月と同じ意味とされています。
中秋の名月が1年で一番美しい理由ついて、子供にでもわかるように解説した記事はこちらです。
「中秋の名月」と「十五夜」は大きく違う
中秋の名月と十五夜は一般的に同じとされていますが、正確には違うものです。
その違いは、簡単に言うと回数!
意味 | いつ? | 回数 | |
中秋の名月 | 1年で最も美しい月 | 旧暦8月15日 | 年に1回 |
十五夜 | 新月から数えて15日目 | 旧暦の毎月15日目 | 年に12~13回 |
中秋の名月は、旧暦の8月15日の月のこと。年に1度だけです。
一方、十五夜は新月から数えて15日目の夜のこと。毎月あるので年に12〜13回もあります。
中秋の名月は、数ある十五夜の1回をさしています。
中秋の名月と十五夜の違いはこちらの記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
十五夜と中秋の名月の大きな違い!驚きの満月と限らない理由
【十五夜の別名は望月】
十五夜には満月という意味があります。
古くから日本人に愛されて、和歌にも多く詠まれていました。
そんな十五夜の別名は「望月」。
望月の意味は、かけることのない月という意味。
ちなみに月にいるウサギが餅つきをするという話。
この餅つきは「望月」の読み方にかけているという説があります。
月のウサギの正体は、驚くことに釈迦の前世の姿。
衝撃の事実はこちらの記事で詳しく説明しています。ぜひお楽しみください。
月にうさぎがいる理由は仏教の説話がネタ元!うさぎは釈迦の前世の姿
意外!中秋の名月は満月とは限らない
中秋の名月は1年で最も美し月とされています。
ラッキーなことに、今年2022年の9月10日の中秋の名月は満月です。
でも、満月じゃない方が多いのは事実。
年 | 中秋の名月 | 満月 |
2021年 | 9月21日 | 9月21日 |
2022年 | 9月10日 | 9月10日 |
2023年 | 9月29日 | 9月29日 |
2024年 | 9月17日 | 9月18日 |
2025年 | 10月6日 | 10月7日 |
2026年 | 9月25日 | 9月27日 |
2027年 | 9月15日 | 9月16日 |
2028年 | 10月3日 | 10月4日 |
2029年 | 9月22日 | 9月23日 |
2030年 | 9月12日 | 9月12日 |
旧暦の1日とは、「新月の瞬間を含む日」のことです。
新月から満月までは、平均約14.8日かかります。
そのため、旧暦の8月1日の午前0時が新月の瞬間であれば、15日の夜が満月になります。
しかしこれが旧暦の8月1日の18時が新月の瞬間だと、満月になるのは16日の昼になってしまいます。
だから満月より少しだけ欠けた月のことが多いのです。
中秋の名月が満月とは限らない!この驚きの事実をさらに詳しく解説した記事はこちらです。
十五夜と中秋の名月の大きな違い!驚きの満月と限らない理由
「中秋の名月」の由来や本来の意味
中秋の名月を鑑賞するようになったのは平安時代のこと。
その風習が現代にまで続いています。
どのようにはじまり、どんな意味が込められているのかを紹介しましょう。
中秋の名月の由来は中国の中秋節
旧暦の8月15日に月を鑑賞する風習は、中国の「中秋節」が由来です。
これは9世紀ごろに始まり、日本では平安時代に貴族の間だけで広まりました。
池や杯に映った月を眺め、和歌を詠み、宴を楽しむ優雅な行事だったのです。
庶民にこの風習が広まったのは江戸時代と言われています。
中秋の名月の意味は感謝祭
中秋の名月はちょうど果物や野菜などの作物が収穫が終わり、稲刈りまでちょっと一休みのタイミング。
そこで、中秋の名月を楽しみながらお祝いをしていたのです。
今年も無事に収穫できましたという感謝の気持ちを込めていました。
中秋の名月にお供え物をする理由
日本人は昔から月に神様がいると信じていました。
だから最も美しい中秋の名月の日には、月の神様にお供え物をするようになりました。
月の神様とは天照大神の弟の月読命で、農耕の神様でもあります。
そこでお米や作物の豊作への祈願と感謝を込めて、次の5つをお供え物をするようになったのです。
1:お団子
2:里芋
3:季節の野菜や果物
4:ススキ
5:秋の七草
1つずつ解説しましょう。
1:お団子|お米の収穫への感謝を表す
中秋の名月にお団子をお供えするようになったのは江戸時代からです。
お米の豊作への祈願と感謝を表すために、お米の粉で作ったお団子をお供えしたのがはじまりです。
ピラミッドのように積み上げるのは、月にまで感謝の気持ちを届くようにという気持ちの表れです。
神様へのお供え物だけあってお月見団子の数や盛り方にも、深い意味があります。
お月見団子のお供えの仕方はこちらの記事に詳しく解説しています。ご覧ください。
中秋の名月(十五夜)になぜお団子?子供と楽しむお月見のアレコレ
2:里芋 |子孫繁栄の縁起物
先に紹介しましたが、中秋の名月は別名は「芋名月」です。
秋は芋類の収穫時期に当たるので、中秋の名月はお芋の収穫祭の意味があります。
特に里芋は1つの親芋か子芋、孫芋とたくさん取れるので、子孫繁栄の縁起物とされました。
3:季節の野菜や果物|秋の収穫を祝う
秋はたくさんの野菜や果物の収穫時期に当たります。
かぼちゃ、きのこさつまいも、栗、柿、なし、ブドウなどを籠に盛ってお供えするのが習わしです。
ブドウなどツルのある食べ物をお供えすると、月とのつながりが深くなるとも言われています。
4:ススキ|稲穂の代わりがはじまり
ススキは稲穂の代わりだったの
昔の日本人は稲穂を神が宿る神聖なものとし、「依り代」と呼んでいました。
中秋の名月に神聖な稲穂をお供えしたいけれど、まだ収穫前。
そこで姿形が稲穂に似た、ススキを神様へのお供え物にしたがはじまりです。
お供えしたススキは軒先に吊るすと魔除けになると言われています。
5:秋の七草|月と一緒に見て楽しむもの
はぎ・おばな・くず・なでしこ・おみなえし・ふじはかま・ききょう
全て河原や野原に自生しているものばかりです。
春の七草は食べて体を健康にするもの。
秋の七草はその美しい姿を、月と一緒に見て楽しむためのもの。
月と一緒に眺めましょう。
中秋の名月の別名は「芋名月」です。
秋はたくさんの作物の収穫時期に当たります。
中でも里芋は特別で、子孫繁栄を象徴する縁起物でした。
中秋の名月には里芋の収穫を祝った「収穫祭」の意味があったのです。
今年のお月見には、ぜひ里芋もお供えしましょう。