カマキリのオスがメスに食べられるのは25%!恋愛経験が生死を分ける

カマキリのオスは、交尾が済んだら愛したメスに食べられる。

これは一般的によく言われてますが、実はそうとも限らないのです。

カマ吉
メスに食べられる確率は25%程度さ。

なんと交尾後に生き残っているオスの方が、圧倒的に多いのです。

まことしやかに語られる、カマキリのオスが悲惨な最期を迎える原因は、意外にも恋愛経験不足。

経験豊富なオスは、ちゃんと逃げています。

この記事では、カマキリの野性味あふれる恋愛事情と生命の不思議を紹介しています。

カマキリのオスと自分をつい重ねてしまう男性に、ぜひ読んでいただきたいです。

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経験不足が命とり!カマキリの厳しい恋愛事情

カマキリのオスがメスに食べられるのは25%!恋愛経験が生死を分ける|経験不足が命とり!カマキリの厳しい恋愛事情

交尾を終えたカマキリのオスが、メスに食べられることは確かにあります。

ですが、それは25%程度。

多くのオスは食べられずに逃げています。

この生死の分かれ目は、実はオスの恋愛経験値にかかっているのです。

なぜカマキリのメスは愛したオスを食べる?

カマキリのオスがメスに食べられるのは25%!恋愛経験が生死を分ける|なぜカマキリのメスは愛したオスを食べる?

メスがオスを食べる理由はただ1つ。

カマ吉
より多く子孫を残すためだよ。

オスのカマキリを食べたメスは、食べなかった場合と比較すると2倍近く多くの卵を産みます。

つまり食べられたオスは、メスを通して赤ちゃんの体に栄養として受け継がれるのです。

カマキリの寿命は約半年。

この限られた時間で命をつなぐため、メスにとっては子供を産むことこそが最大の使命。

しかもできるだけ多くの子孫を残す必要があったのです。

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経験豊富なオスは何度も恋を楽しむ

カマキリのオスがメスに食べられるのは25%!恋愛経験が生死を分ける|経験豊富なオスは何度も恋を楽しむ

メスに食べれられず生き延びるオスは、恋の相手を選ぶのにとても慎重。

経験豊かなオスの好みは、人間でいえば「デブ専」です。

カマ吉
お腹をすかせていない、太ったメスが好みのタイプ!

しかも、すぐには近づかずにじっくり観察するのです。

相手をしっかり見極めたなら、ジリジリと距離を詰めていきます。

その様子はさながら、だるまさんが転んだ状態。

そして、最後は一気に背中に飛び乗り、メスが動けないよう押さえ込んで愛します。

なんと半日もかけて!

カマ吉
ことが終わったら、飛んで逃げるよ。

運よく生き延びたオスのカマキリは、また別の相手と恋を楽しむのです。

オスがメスの餌食にならず、見事に生還している証拠の動画です。ご覧ください。

経験の少ないオスは健気に尽くす

カマキリのオスがメスに食べられるのは25%!恋愛経験が生死を分ける|経験の少ないオスは健気に尽くす

恋愛経験の少ないオスは、出会ったメスを観察する余裕もなく飛びついてしまいます。

運悪く選んだ相手がお腹をすかせていたら、御愁傷様です。

動くものを餌だと思うカマキリのメスは、愛の真っ只中でもムシャムシャとオスを食べ始めます。

カマ吉
まずは頭から食べるんだよ。
おおこわっ!

驚くことに頭を食べられたオスでも、半日もかかる男の使命を最後まで続けることができます。

それは頭がなくなっても腹部以下の神経節の働きで、子孫を残すための本能行動ができるようになっているから。

まるで食べられることが前提の体の仕組みなんです。

この時期のメスは基本的に腹ペコです。

互いに恋に落ちてからならまだしも、出会い頭に食べられてしまうことも珍しくありません。

せめて、ことを成してから死にたいものです。
カマキリのオスがメスに食べられるのは25%!恋愛経験が生死を分ける|経験の少ないオスは健気に尽くす

【食べられると余計に頑張るカマキリのオス】

カマキリのオスは、メスに頭を食べられるとより燃える。

変態だからではありません。

これにはちゃんと理由があります。

カマキリの頭が切り取られると、愛することに対する抑制が外れるというのです。

要は理性がなくなり、本能的になるということ。

恋は頭で考えてするものではなく、ハートでするものなのです。

カマキリだって食べられたら痛い

カマキリのオスがメスに食べられるのは25%!恋愛経験が生死を分ける|カマキリだって食べられたら痛い

頭を食べられても、動きを止めずに見事にこと成し遂げるカマキリ。

その行動から、痛みは感じないと思われてきました。

カマ吉
実は痛くないこともないんだよ!

米科学雑誌「サイエンス・アドバスシーズ」に2019年7月に、次のような論文が発表されました。

ショウジョウバエの足を切った傷が治っても、痛くない程度の刺激で過剰に反応している。

これは刺激に対する反射ではなく、慢性的な痛みを感じている可能性が高い。

参考論文:米科学誌「サイエンス・アドバンシーズ」Thang M.Khuong 
Nerve injury drives heightened state of vigilance and neuropathic sensitization in Deosophilia

長い間、昆虫には痛みを感じることができないと言われてきましたが、そうじゃないことが分かりつつあります。

カマキリがどの程度感じているか不明ですが、痛くないということもないらしい。

これって、カマキリがどMということですかね?

カマキリが生きる理由は命のリレー

カマキリのオスがメスに食べられるのは25%!恋愛経験が生死を分ける|カマキリが生きる理由は命のリレー

カマキリがなぜに子孫繁栄に命がけなのか?

カマキリは生まれた瞬間から、厳しいサバイバルが始まります。

運よく生涯を全うしたとしても、5月生まれて11月には終わる短い命。

このわずか半年の間に、しっかりと命を繋いでいかねばなりません。

子孫を残すために生まれてきて、力の限り生き抜き、最後は死んでいく一生を紹介します。

春:孵化した瞬間から戦いが始まる

春は命が芽吹く季節。5月ごろに、カマキリの赤ちゃんたちは卵から出てきます。

カマキリの1つの卵のうには200~300匹の赤ちゃんが入っています。

ですが、この中から大人になれるのはわずか1〜2匹。

なぜなら、大きくなる前に他の昆虫や鳥たちの餌食になってしまうからです。

ときには仲間同士で共食いをし、まさに弱肉強食の厳しい世界。

命を繋いでいくためには、まずは生き抜くことが何よりも大事なのです。

夏:脱皮を繰り返し大きく成長する

カマキリの幼虫の大事な仕事は、餌を食べて成長すること。

体が大きくなってくると、硬い外皮がきゅうくつになってきます。

そこで、脱皮を繰り返しながら大きくなるのです。

カマ吉
成虫になるまでに5~10回も脱皮をするよ!

生まれたばかりのカマキリは薄茶色ですが、2回目の脱皮を終えてから緑色になります。

それは葉の色に似せた保護色で、鳥や外敵から身を守るため。

でも、大きくなっても茶色のカマキリもいて、その謎はまだ解明されていません。

ちなみにカマキリは成虫のオスだけが飛べます。

カマ吉
幼虫は羽がないよ

またメスは体が大きいため、成虫になっても飛べません。

カマキリのオスだけが飛べる謎については、別記事で詳しく解説しています。ご覧ください。

カマキリは飛ぶ!でも飛ぶのが下手なのは〇〇の親戚だから

秋:野性味あふれる命がけの恋をする

9月になると、オスのカマキリが活発に動き回るようになります。

カマ吉
頭の中は、常に餌とメスのことだけ。

風にのって運ばれるメスの匂いに誘われて、オスは茂みの中を探して回るように。

意中の相手が見つかったら、オスの使命とも言える子作りに命がげでのぞみます。

オスは尾の先をメスの尾の先に伸ばし、精包をメスの体内に送り込みます。

健気なことに、メスの栄養になる白い色の粘液もたっぷり注ぐのです。

しばらくした10月ごろ、メスは産卵の時期をむかえます。

2時間ほど時間をかけて、白いアワアワの卵のうを産みつけていきます。

ちなみに、メスのお腹は1回の産卵で小さくなりません。

栄養状態がよければ、日おいてさらにもう1つ卵のうを近くに産みつけます。

中には3回も産卵するメスがいるようです。

冬:新たな命に望みをかけ命尽きる

産卵を終えたメスは、すぐには死にません。

命の限り生きようとします。

ですが、せまりくる冬がカマキリの力を奪っていくのです。

11月になり寒くなると餌となる昆虫も少なくなります。

そして、カマキリは飢えと老いで命尽きます。


でもカマキリのオスとメスが命がけで残した子孫が、卵のうの中にびっしり。

冬の寒さに負けず、しっかりと成長するのです。

カマキリのオスがメスに食べられるのは25%!恋愛経験が生死を分ける|冬:新たな命に望みをかけ命尽きる

【カマキリは積雪量を本当に予想できるのか?】

カマキリは大事な卵が雪に埋もれないように、積雪量を予想して産卵する。


これは事実とも言えるし、そうとは限らないとも言えそうです。

実際にカマキリの卵のうの高さと積雪量を調べた酒井 與喜夫先生の研究では面白い結果が出ています。

カマキリの卵のうの高さからその年の積雪量の予想は十分参考になる

しかし、弘前大学名誉教 安藤喜一先生はこの定説を誤りであるという結論を出しています。

カマキリの卵には耐雪性があり、多くの卵が雪に埋もれて越冬している。

さらには4ヶ月雪に埋もれた卵のうの97%が、春にめでたく孵化している。

カマ吉
予想できる説とできない説の2つがあるってこと。

これは今まで当たり前と思われていた常識がひっくり返りそう。

今後の研究に目が離せません。

参考論文:酒井 與喜夫、地理的特性を考慮した最大積雪深予測の実際ーカマキリの卵ノウ高さによる方法ー
参考記事:尾崎克久、カマキリは積雪量を予想していない

カマキリのオスは可哀想ではなくワイルド

カマキリのオスがメスに食べられるのは25%!恋愛経験が生死を分ける|カマキリのオスは可哀想ではなくワイルド

約半年という短い生涯を、子孫を残すためだけに生きるカマキリ。

その使命を果たすために、命をかけて生涯を全うするのです。

特にオスはその生き様を人間から次のように誤解されています。

愛したメスに用が済んだら食べられるなんて、悲惨すぎる!!

カマキリのオスの使命と熱意を知ったら、安易にこんな発言はできません。

可哀想と思われがちな彼らの生き様は実にカッコイイものだったのです。

人間界では草食男子たるものが増えています。

女子にとって食われるわけでないのだから、正面から潔くアプローチをしてみましょう。

失うものなんて何一つありません。むしろ経験が得られます。

 

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