炭治郎の父・炭十郎は、炭焼きの職人でした。
竈門家は代々炭焼きを生業としており、炭治郎の代まで誰一人鬼殺の剣士はいません。
にも関わらず、父・炭十郎は類い稀なる「日の呼吸」の達人だったのです。
炭十郎は病弱でしたが、凍てつく寒さの中で「ヒノカミ神楽」を一晩中舞うことができました。
その理由は、「ヒノカミ神楽」こそが「始まりの呼吸」である「日の呼吸」だったからです。
この記事では、炭治郎の父・炭十郎が「日の呼吸」のマスターだった事実に迫ります。
もし父・炭十郎が鬼殺隊に入っていたら、物語が大きく変わっていたに違いないと思うはずです。
炭治郎の父・炭十郎は炭焼き職人
鬼滅の刃5巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
炭治郎の父親の名前は、竈門炭十郎です。
生まれつき体が弱かったため、若くして病死しています。
竈門家は代々炭焼きを生業とし、山奥にひっそりと暮らしてきました。
先祖をずっと遡っても、炭治郎の代まで誰一人、鬼殺隊の剣士になった者はいません。
もちろん炭治郎の父・炭十郎も炭焼きの職人です。
しかし、父・炭十郎は単なる炭焼きではなく、類い稀なる「日の呼吸」の使い手だったのです。
「ヒノカミ神楽」は「日の呼吸」
鬼滅の刃5巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
「ヒノカミ神楽」とは、竈門家に代々伝わる「神楽」のことです。
炭焼きという「火を使う」仕事のため、竈門家では「火の神様」に神楽を奉納するのが伝統となっていました。
しかし、「ヒノカミ神楽」はもともとは神楽ではなく、「日の呼吸」という剣の型だったのです。
代々炭焼きを生業とする竈門家が、「日の呼吸」を継承するようになった理由。
それは400年も昔、戦国時代にまで遡ります。
炭治郎の先祖・炭吉が、命を救ってくれた鬼殺の剣士が振るう「日の呼吸」を継承すると約束したことが始まりでした。
剣の心得のなかった炭吉は、美しい「日の呼吸」の型を「ヒノカミ神楽」として代々引き継いだのです。
長い年月を越えてまで、竈門家が「ヒノカミ神楽」を継承する驚きの真相を明らかにします。
「始まりの呼吸」である「日の呼吸」
鬼滅の刃20巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
「日の呼吸」とは、すべての呼吸の大元となった「始まりの呼吸」です。
戦国時代に、鬼の始祖・鬼舞辻無惨を追い詰めた唯一の剣士がいました。
その名は継国縁壱といい、生まれながらに「日の呼吸」を使いこなす天才剣士でした。
縁壱の額には生まれつき痣があり、物静かで戦いなど好まない、まるで植物のような人柄。
しかし妻とそのお腹にいた子供を鬼に殺されたことから、縁壱は「鬼狩り」となりました。
週刊少年ジャンプ2019年46号 鬼滅の刃 第178話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
縁壱が鬼殺隊に入った当初、「呼吸」を使えるものは誰もいませんでした。
すでに存在する剣の型に呼吸を上乗せすれば、格段に強くなり身体能力が増すのは明らか。
縁壱はそれぞれの剣士の型と能力に合わせて、呼吸法を指導していきました。
こうやって縁壱の「日の呼吸」から、「炎」「水」「雷」「雷」「岩」の呼吸が生まれます。
「日の呼吸」は全ての呼吸の「始まりの呼吸」だったのです。
縁壱は炭治郎の先祖の命の恩人
週刊少年ジャンプ2020年3号 鬼滅の刃 第187話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
縁壱は鬼の始祖・鬼舞辻無惨と戦い、死の淵まで追い詰めますが取り逃がしてしまいます。
また同じく鬼殺隊だった縁壱の双子の兄が、強さを求めて自ら進んで鬼になりました。
この2つの責任を追及された縁壱は、鬼殺隊を追われてしまったのです。
鬼に家族を奪われ、二度と自分と同じ悲しい思いを誰にもさせまいと「鬼狩り」になった縁壱。
自分が無惨を取り逃がしたために、これから先も多くの人の命が奪われる。
大好きだった兄までも鬼に身をやつし、罪なき人を食らっていく。
そんな悲しみに打ちひしがれた縁壱が、救いを求めに会いに行ったのが炭治郎の先祖・炭吉でした。
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
炭治郎の先祖・炭吉にとって、縁壱は命の恩人です。
以前、炭吉一家は鬼に襲われたところ、通りがかった縁壱に助けられています。
また臨月だった妻・すやこのために、産婆まで呼びに行ってくれたおかげで娘・すみれが生まれたのです。
それから2年の歳月が流れ、縁壱が再び炭吉を訪れました。
縁壱から炭吉へ引き継がれる意思
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
縁壱は生まれてから今に至るまでに起きた出来事を、全て炭吉に話しました。
しかし、抱えきれないほどの重荷を背負った縁壱に、炭吉はかける言葉が見つかりません。
もうこれ以上、自分を責めないで欲しい。自分を価値のない人間だなんて思わないで欲しい。
ただ聞くことしかできない炭吉は、自分に何かできることはないかと考えます。
週刊少年ジャンプ2020年10号 鬼滅の刃 第192話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
話を終えた縁壱は、別れ際に「耳飾り」を炭吉に差し出します。
それは炭吉一家が寿命が尽きるその時まで、幸せに暮らせることを願ってのことでした。
炭吉はこれが縁壱に会う最後だと直感し、涙が溢れ出してきました。
自分はしがない炭焼きだが、縁壱の意思を後に繋ぐことはできるはず。
そうすれば、いつか誰かが縁壱の願いである、鬼のいない平和な世界を実現できる。
週刊少年ジャンプ2020年10号 鬼滅の刃 第192話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
炭吉は去っていく縁壱に向かって、大きな声で叫びました。
あなたは価値のない人なんかじゃない!何も為せなかったなんて思わないでください。
そんなこと誰にも言わせない。
俺がこの耳飾りも日の呼吸も後世に伝える。約束します!
こうやって、縁壱から「耳飾り」と「日の呼吸」が炭吉に引き継がれたのです。
縁壱の壮絶な生い立ちや、炭吉との出会いについては別記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
炭治郎の耳飾りとヒノカミ神楽は400年以上引き継がれた約束の証
「日の呼吸」が「ヒノカミ神楽」となった
週刊少年ジャンプ2020年10号 鬼滅の刃 第192話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
縁壱から受け継がれた「耳飾り」と「日の呼吸」は、400年以上も絶えることなく竈門家で引き継がれます。
しかし「日の呼吸」は「ヒノカミ神楽」として継承されました。
なぜなら、最初の継承者である炭吉は炭焼きの職人です。
剣の心得なのない炭吉は、縁壱の振るう「日の呼吸」を目で見て覚えるしかありませんでした。
そのあまりに美しい「日の呼吸」の型を、神楽として炭吉は継承することにしたのです。
それこそが竈門家に代々伝わる、火の神に奉納する「ヒノカミ神楽」となって伝わったのでした。
炭治郎の父・炭十郎は「日の呼吸」の使い手
鬼滅の刃5巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
炭吉が縁壱に誓った「約束」は、その後400年も途切れることなく引き継がれます。
炭治郎の父・炭十郎も、その父親から同じく「耳飾り」と「ヒノカミ神楽」を継承した一人。
若くして病気で亡くなった炭十郎ですが、「ヒノカミ神楽」を極めた「日の呼吸」をマスターだったと考えられます。
その理由は、「日の呼吸」の使い手であった縁壱と炭十郎に、次の4つの共通点があるからです。
1:生まれつき額に痣があった
2:正しい呼吸を身につけている
3:透き通る世界が見える能力
4:闘気のない植物のような人
1:生まれつき額に痣がある
鬼滅の刃17巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
選ばれた「日の呼吸」の使い手は、生れつき赤い痣が額にあるのが特徴です。
「日の呼吸」の使い手であった縁壱の額には、生まれつき赤い痣がありました。
このことから、最強の呼吸である「日の呼吸」の使い手には、必ず額に赤い痣があるとされています。
鬼滅の刃17巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
驚くことに、炭治郎の父・炭十郎にも、生まれつき額に薄く痣がありました。
炭治郎は生まれた時に痣はなく、火鉢をひっくり返した弟をかばって額に火傷しています。
その後、最終戦別で負った傷が加わって、痣になりました。
選ばれた「日の呼吸」の剣士は、生まれながらに額に赤い痣がある
炭治郎より父・炭十郎の方が、生まれながらに「日の呼吸」の剣士の素質があったということです。
2:正しい呼吸を身につけている
週刊少年ジャンプ2019年46号 鬼滅の刃 第178話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
縁壱は「始まりの呼吸」である「日の呼吸」のマスターです。
生まれながらの天才剣士であった縁壱は、誰に教わることもなく自然と「呼吸」を自在に使うことができました。
その「呼吸」を使うことで、筋肉を最強かつ最速で動かすことができたのです。
己の身体能力を最大限に発揮することで、縁壱は鬼さえも容易く切ることができました。
鬼滅の刃5巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
一方、炭治郎の父・炭十郎は何万回も「ヒノカミ神楽」を繰り返したことで「呼吸」を会得しています。
病気で弱った体でも、凍てつく夜に日の出まで「ヒノカミ神楽」を舞うことができました。
これは「正しい呼吸」をマスターしていた証拠です。
どれだけ動いても、疲れない呼吸の仕方
これこそが「ヒノカミ神楽」が「日の呼吸」そのものだったことの証でもあります。
3:透き通る世界が見える能力
週刊少年ジャンプ2019年45号 鬼滅の刃 第177話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
日の呼吸の使い手だった縁壱は、生まれたときから相手の体が透けて見えました。
心臓や脳の位置、筋肉や血の流れさえも正確に見通す能力があったのです。
そのため相手の動きを瞬時に読み取り、急所に打ち込むことができました。
縁壱を除いては、この「透き通る世界」は通常見ることはできません。
しかし選ばれた者がたゆまぬ努力をした場合、「透き通る世界」が見えるようになることもあります。
鬼滅の刃17巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
炭治郎の父・炭十郎は「ヒノカミ神楽」をただひたすら繰り返し、極限まで極めました。
体力の限界を超えた時、頭の中が透明になる瞬間を体験しています。
無駄な動きを削ぎ落とし、感覚を研ぎ澄ますことで、全く別の世界にワープするのです。
それはまるで時間が止まったかのように緩やかで、物事の本質がはっきりと見える世界。
炭十郎は極限とも言える「至高の状態」に入ったとき、全ての物が「透き通る世界」が見えていたのです。
4:闘気のない植物のような人
週刊少年ジャンプ2020年13号 鬼滅の刃 第195話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
縁壱は鬼殺隊の最強の剣士ですが、大変穏やかな性格をしていました。
滅多に感情を表に出さない物静かで、まるで植物のようでした。
縁壱があまりに物事に動じないので、妻のうたは地蔵の精か座敷童子だと思っていたほどです。
実はその戦いを好まない性格こそが、殺気も闘気も放たない「無我の領域」に入るのに適した性格だったのです。
動じない心であれば呼吸は乱れることなく、全く無駄のない動きで敵を仕留めます。
鬼滅の刃17巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
炭治郎の父・炭十郎が死ぬ10日前に、人を6人も食べたという熊を退治しています。
熊の大きさは3メートル近くあり、目の前にしたら怖くて動けなるのが普通です。
しかし、炭十郎は斧1つで、瞬きする間に熊の首を切り落としています。
そこには恐怖はなく、殺気も闘気さえもない、全く動じない心だけがありました。
縁壱と同じように炭十郎は、戦う時でさえも闘気を発しない「無我の境地」を会得していたのです。
父・炭十郎は道を極めた者だった
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
縁壱は炭治郎の先祖・炭吉に、とても重要なメッセージを残していました。
道を極めた者が辿り着く場所はいつも同じだ。
時代が変わろうとも、そこに至るまでの道のりが違おうとも、必ず同じ場所に行き着く。
鬼殺隊の最強剣士だった縁壱が辿り着いた場所。
それは呼吸を極限まで使い、透き通る世界が見える、肉体の限界を超えた「至高の領域」でした。
しかし炭焼きだった炭治郎の父・炭十郎が、「ヒノカミ神楽」を極めて行き着いた場所もまた同じだったのです。
炭十郎は間違いなく「至高の領域」まで達した神に選ばれし逸材だったと言えます。
もし炭十郎が鬼殺隊に入っていたら、炭治郎の一家は全員無事だったかもしれない。
そんな風に思えてならないほどに、炭十郎の力は計り知れないものがあったのです。
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炭治郎の耳飾りとヒノカミ神楽は400年以上引き継がれた約束の証
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