上弦の陸との戦いで負傷した炭治郎は、2ヶ月もの間意識を失ったままでした。
目を覚ます寸前、炭治郎は実にリアルで不思議な夢を見ます。
その夢に登場したのは炭治郎ではなく、「炭吉」という名の炭治郎にそっくりな男性。
「炭吉」とは戦国時代を生きた炭治郎の先祖で、「始まりの呼吸の剣士」と深いつながりがありました。
この記事では、炭治郎の夢に出てきた「炭吉」の正体を徹底解説しています。
400年もの時を超えた男同士の約束に、感動すること間違いなしです。
夢で見た「炭吉」は炭治郎の先祖
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
炭治郎の夢に登場する炭治郎そっくりな男性の名は「炭吉」。
「炭吉」は戦国時代を生きた炭治郎の先祖です。
炭焼き小屋を営み、妻のすやこ、娘のすみれ、そして生まれたばかりの赤ん坊の4人暮らしをしています。
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
その炭吉の家を訪ねてきたのは、「始まりの呼吸」の剣士である「継国縁壱」でした。
縁壱は鬼殺隊の最強の剣士で、鬼の始祖・鬼舞辻無惨をも追い詰めるほどの実力者。
しかし住む世界が全く違う、炭焼き職人の炭吉と鬼殺隊の剣士である縁壱。
この2人が知り合いなのには、運命とも言える深い縁があったのです。
始まりの呼吸の剣士・縁壱は炭吉の命の恩人
鬼滅の刃20巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
炭吉にとって縁壱は、「命の恩人」でした。
その訳は、鬼に襲われていた炭吉と妻・すやこを、たまたま通りがかった縁壱が助けてくれたから。
なぜなら縁壱は「始まりの呼吸」とも呼ばれる「日の呼吸」を使う、鬼殺隊最強の剣士だったのです。
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
しかも、炭吉が鬼に襲われたとき、妻すやこは臨月で今にも赤ん坊が生まれそうな状態。
縁壱は鬼を退治しただけでなく、すやこと生まれてくる赤ん坊のために産婆を呼びに走りました。
こうして炭吉は自分の命だけでなく、妻のすやこと娘のすみれの命までも縁壱に助けられたのでした。
しかし、縁壱が炭吉を助けることができたのには、もっと深い運命のいたずらが働いていたのです。
炭吉の住んでいた家は縁壱の家だった
週刊少年ジャンプ2020年2号 鬼滅の刃 第186話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
縁壱が炭吉の家を通りがかったのは、単なる偶然ではありません。
炭吉の家は、もともと縁壱が住んでいた家だったのです。
縁壱は鬼殺隊の剣士になる前、この家で妻のうたと2人暮らしをしていました。
妻・うたのお腹には赤ちゃんが宿り、臨月を迎えた時に悲劇は起こりました。
鬼に踏みにじられた縁壱の幸せ
週刊少年ジャンプ2020年2号 鬼滅の刃 第186話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
縁壱は妻・うたと生まれてくる赤ん坊のために、産婆を呼びに行きました。
するとその途中で、縁壱は苦しそうにしている老人に出会います。
聞けば老人は心臓が悪い身で、戦争で負傷した息子に会いに行かねばならぬと言います。
心の優しい縁壱は、3つも山を超えた先にいる息子のところへ老人を背負って送ってやりました。
しかしこの親切が、縁壱の運命を大きく狂わせてしまいます。
週刊少年ジャンプ2020年2号 鬼滅の刃 第186話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
寄り道をしたためにすっかり日が暮れたので、産婆を呼ぶのはやめて家路に急いだ縁壱。
しかし縁壱を出迎えたのは、あまりにも悲惨な光景でした。
鬼にお腹の子供もろとも食われた妻うたが、ぐったりと横たわっていたのです。
『自分が家を空けたがために、愛する妻と生まれてくるはずだった子供まで殺されてしまった。』
何日もの間、縁壱はただただ呆然と妻の亡骸を抱き続けてたある日。
1人の鬼殺隊の剣士が鬼を追って、縁壱の家にやってきたのです。
家を出て鬼殺の剣士となった縁壱
週刊少年ジャンプ2020年2号 鬼滅の刃 第186話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
訪ねてきた剣士から、鬼の存在と、鬼を退治する組織「鬼殺隊」の存在を知った縁壱。
『自分のような不幸な目に会う人が今後出てきて欲しくない。』
そう思った縁壱は妻と子を埋葬した後、鬼殺隊に入ることを決意しました。
なぜなら縁壱には、生まれながらに天才的な剣の才能があったからです。
週刊少年ジャンプ2019年45号 鬼滅の刃 第177話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
幼い頃から縁壱には、相手の体が透けて見える特殊な視覚と、人並み外れた身体能力があったのです。
そのため、わずかな肺の動きや血液の流れから敵の動きを読み取り、瞬時に相手の隙を打つことができました。
これは縁壱が誰に教わらずとも「呼吸」を使いこなす天才剣士だからなせる技でした。
鬼殺隊最強の剣士に生まれた縁壱の生い立ちは別記事で詳しく紹介しています。合わせてご覧ください。
【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生
【縁壱が「始まりの呼吸」の剣士と言われる理由】
鬼滅の刃8巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
「日の呼吸」が「始まりの呼吸」と言われるのは、全ての呼吸の大元だからです。
天才的な剣の才能を持つ縁壱が鬼殺隊に入った時、呼吸を使うものは誰一人いませんでした。
縁壱は志を同じくする剣士達に、「日の呼吸」を指導しますが誰も習得することができません。
週刊少年ジャンプ2020年2号 鬼滅の刃 第186話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
そこで縁壱はそれぞれの剣士にあった方法で呼吸を指導し、すでに確立していた型に上乗せしたのです。
すると剣士達の身体能力が飛躍的に向上し、炎・風・水・岩といった様々な呼吸法が誕生していきました。
こうして縁壱の使う「日の呼吸」が全ての呼吸のベースとなり、それぞれの剣士にあった呼吸法として応用されたのです。
最強の呼吸である「日の呼吸」の全貌は、別記事で詳しく解説しています。合わせてお読みください。
ヒノカミ神楽は日の呼吸!十三番目の型は無惨を倒すために生まれた技
空き家になった縁壱の家に住む炭吉
鬼滅の刃22巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
鬼殺隊の剣士となり縁壱が家を出て、数年が経過したときのことです。
たまたま炭吉と妻のすやこが、空き家となった縁壱の家の前を通りがかります。
根っから明るい妻のすやこは、ボロボロの空き家を一目見るなり住むことを決意。
妻に押された炭吉は、縁壱が残した家とも知らず、ここで炭焼きを営み暮らし始めました。
このように炭吉と縁壱は、出会う前から不思議な縁で繋がっていたのです。
その後、竈門家はこの場所で代々炭焼きを営み、400年後の炭治郎の代まで引き継がれていきます。
炭吉が守り続けた縁壱との約束
縁壱に命を救われた炭吉は、その後も幸せに炭焼き小屋を営んでいました。
そんなある日、2年ぶりに縁壱が炭吉を訪ねてきます。
突然なんの前触れもなく、縁壱が炭吉を訪ねたのには、深い理由があったのです。
縁壱が再び炭吉を訪ねた理由
週刊少年ジャンプ2020年3号 鬼滅の刃 第187話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
鬼殺隊最強の剣士である縁壱の実力は、あの鬼の始祖・鬼舞辻無惨を追い詰めたほど。
しかし、縁壱は後もう一歩のところで、無惨を仕留め損ねてしまいました。
さらには、同じ鬼殺の剣士だった双子の兄が、縁壱の剣の才能に嫉妬して鬼になってしまったのです。
この2つの責任から、縁壱は鬼殺隊を追われて行き場を失ってしまいました。
『自分のしくじりのせいで、これから先も多くの人の命が奪われる』
そう自分を責め続け、縁壱が救いを求めて会いに行ったのが、かつて自分が助けた炭吉だったのです。
縁壱に何か恩返しがしたい炭吉
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
鬼舞辻無惨を取り逃がし、さらには血を分けた兄・厳勝が鬼なった全ての責任を背負った縁壱。
『自分はなすべきことをなせなかった価値のない人間だ。』
縁壱のその言葉を聞いた炭吉は、どうすることもできず、ただ黙って話を聞くことしかできません。
しかし、一家の命を救ってくれた縁壱に、何か恩返しをしたいと考えた炭吉。
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
炭吉はせめて自分の子孫に、縁壱のことを伝えることを申し出ます。
そうすれば自分にできなくても、いつか誰かが縁壱の果たせなかった使命を果たせると考えたからです。
しかしその申し出を、ぴしゃりと縁壱は断ります。
『道を極めた者が辿り着く場所はいつも同じだ。
時代が変わろうともそこに至るまでの道のりが違おうとも、必ず同じ場所に行きつく』
その言葉を聞いた炭吉は、剣士ではない自分にもできることがないかと考えをめぐらします。
炭吉が縁壱に誓った約束
週刊少年ジャンプ2020年10号 鬼滅の刃 第192話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
炭吉は炭焼き職人で剣の心得は全くありません。
しかし鬼の始祖・鬼舞辻無惨を唯一追い詰めた「日の呼吸」を、絶やすわけにいかないと炭吉は考えます。
すると炭吉の妻・すやこが縁壱にせがんで、日の呼吸の型を見せてくれたときに運命の歯車が回り始めました。
縁壱が振るう「日の呼吸」の型は、まるで精霊が舞うかのような美しさ。
炭吉はその剣の型を忘れまいと、1つ1つの動きをしっかりと目に焼き付けます。
週刊少年ジャンプ2020年10号 鬼滅の刃 第192話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
縁壱は別れ際に、いつも肌身離さずつけていた「耳飾り」を炭吉に差し出します。
この耳飾りが縁壱の母の形見だ知っていた炭吉は、これが縁壱に会う最後だと直感しました。
『これから先も、抱えきれないほどの悲しみを背負って、縁壱は一人で生きていくだろう。』
そう思うと、炭吉はいてもたってもおられず、大きな声で叫びました。
週刊少年ジャンプ2020年10号 鬼滅の刃 第192話©吾峠呼世晴/集英社 より引用
『あなたは価値のない人なんかじゃない!
何も為せなかったなんて思わないでください。そんなこと誰にも言わせない。
俺がこの耳飾りも日の呼吸も後世に伝える。 約束します!』
炭吉は命の恩人である縁壱に、「日の呼吸」と「耳飾り」を子孫に繋ぐと誓ったのです。
しかし炭焼き職人の炭吉は、剣の心得などありません。
そこで竈門家で代々伝承されるよう、火の神様に奉納する「ヒノカミ神楽」として後世に残したのです。
それは400年もの時を超え、少しも変わることなく炭治郎の代まで引き継がれていったのです。
道を極めた者の行き着く先は1つ
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
意識がなかなか戻らない中、炭治郎が夢を見た理由。
それは「記憶の遺伝」によるメッセージだったのです。
生き物が先祖から受け継ぐのは姿形だけではなく、先祖の経験した「記憶」をも受け継ぎます。
命の危機にさらされた炭治郎は、自分に血の中に流れる「記憶の遺伝」が目覚めたのです。
それは炭吉が縁壱に約束した、炭治郎に与えられた使命を思い出すためでした。
鬼滅の刃5巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
縁壱が炭吉に「耳飾り」と「日の呼吸」を託した日から、400年という長い時間が経ちました。
しかし、炭治郎は父・炭十郎から、「耳飾り」と「ヒノカミ神楽」をしっかりと受け継いでいたのです。
これがまさか「はじまりの呼吸」の剣士である縁壱から受け継いだものとも知らずに。
家族を鬼に皆殺しにされ、唯一生き残った妹・襧豆子まで鬼にされ、自ら鬼狩りになった炭治郎。
これは、単なる偶然ではなく、400年前から仕組まれた必然の運命だったのです。
→U-NEXTで鬼滅の刃のアニメを無料で見る。