【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生

鬼舞辻無惨が生み出した全ての鬼の最高峰に君臨する「上弦のいち黒死牟こくしぼう」。

顔には6つの目、額と顎には炎のような形をした痣がある、威厳さえ感じさせる鬼です。

人間の部分を多く残した鬼ほど弱いものですが、黒死牟は人間だった時の記憶が鮮明に残っています。

むしろ過去の記憶が黒死牟の「鬼としての生きる強い理由」とさえなっていたのです。


この記事では、上弦の壱・黒死牟の焼け付くような嫉妬と焦燥感に苦しんだ人間時代の過去を紹介します。

黒死牟がなぜ400年もの間、上弦の壱を守り抜くことができたのか納得がいくはずです。

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黒死牟の人間時代の過去|負けられない宿命

黒死牟こくしぼうは上弦のいちという「鬼の最高峰」を400年もの間、一度も譲り渡したことのない無敵の鬼です。

それは「誰よりも強くなければならない」と、人間時代に深く刷り込まれたことに由来しています。

負けてはならぬと教え込まれた、黒死牟のいたたまれない人生を詳しく解説しましょう。

戦国時代の厳しい武家に生まれた黒死牟

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟の人間時代の過去|負けられない宿命|戦国時代の厳しい武家に生まれた黒死牟

週刊少年ジャンプ2019年45号 鬼滅の刃 第177話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

黒死牟の人間だった時の名前は、継国厳勝つぐくにみちかつです。

戦国時代の武士の家に生まれ、厳格な父から継国家の将来を担う後継として厳しく育てられます。

そんな生まれながらにエリートコースまっしぐらの厳勝には、双子の弟・縁壱よりいちがいました。

しかし時は戦国時代、双子は継ぎ目争いの引き金になるため「不吉」とされていたのです。

しかも弟・縁壱は生まれつき額に「痣」があったため、父親が忌み子だと言って殺そうとしました。

それを普段は物静かな母親が怒り狂って止めに入ったため、弟・縁壱は命拾いをします。

ただし、厳勝とは明らかな差をつけて育てられ、弟・縁壱は10歳には出家する約束になっていました。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟の人間時代の過去|負けられない宿命|戦国時代の厳しい武家に生まれた黒死牟

週刊少年ジャンプ2019年45号 鬼滅の刃 第177話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

同じ双子の兄弟にも関わらず、二人は着るもの・食べるもの・住む場所・教育に至るまで大きく差をつけられて育てられます。

「二人の子供を分け隔てなく愛して欲しい。」

そう願う母親は、普段はおっとりした性格であるにもかかわらず、夫に度々抗議しました。

両親が自分たちのせいで喧嘩していることに、幼い双子の兄弟はそれぞれ心を痛めていたのです。

厳勝という名前は、父親が「強く、いつも勝ち続けていられるように」と願ってつけたもの。

一方、父親に見向きもされない弟・縁壱は、母親が「人と人とのつがなりを何より大切にしてほしい」と願って名付けています。

この名前に込められた通りに、その後の人生を双子の兄弟は歩むことになるのです。

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負けてはならぬ厳勝の初めての敗北

毎日、厳しい剣技の指導を受け、強い男になるべく教育を受ける厳勝。

一方で、母親の姿を見れば駆け寄り、すがりつく甘えん坊の弟・縁壱。

厳勝は子供ながらにそんな弟・縁壱を可哀想だと思い、父親に隠れては構ってやる優しい兄でした。

それは自分がこの継国家の後継として生まれたと、厳勝は信じて疑っていなかったからです。

しかし厳勝が7歳の時、現実が根底から覆される悪夢のような出来事が起きます。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟の人間時代の過去|負けられない宿命|負けてはならぬ厳勝の初めての敗北

週刊少年ジャンプ2019年45号 鬼滅の刃 第177話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

「兄上の夢はこの国で一番強い侍になることですか?」

これまで生まれてから一度も口を聞いたことがなかった弟が、突如として話しかけてきたのです。

耳が聞こえないと思っていた弟が、耳が聞こえていただけでなく流暢に話ができた。

厳勝はこの事実に驚きましたが、それはほんの始まりにすぎませんでした。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟の人間時代の過去|負けられない宿命|負けてはならぬ厳勝の初めての敗北

週刊少年ジャンプ2019年45号 鬼滅の刃 第177話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

ある日のこと、厳勝が父の輩下に剣の稽古をつけてもらっっていたときのこと。

弟・縁壱が「自分にも稽古をつけて欲しい」と言い出したのです。

いつも木の陰から、こっそり兄の稽古を見ているだけの弟に何ができるというのか。

そう思った父の輩下は、ほんの遊びの気持ちで縁壱に竹刀を持たせ、構えを簡単に教える留めました。

「好きに打ち込んでいい」

そう言われた瞬間、縁壱は瞬きする間に父の輩下に四発打ち込み、大の大人を失神させたのです。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟の人間時代の過去|負けられない宿命|負けてはならぬ厳勝の初めての敗北

週刊少年ジャンプ2019年45号 鬼滅の刃 第177話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

今まで一度たりとも、父の輩下に打ち込むことができなかった厳勝は目を疑います。

なぜ同じ双子にもかかわらず、なぜ自分ではなく弟にだけその才能があるのか?

弟・縁壱の神のごとき剣の才能を目の当たりにして以来、厳勝の耐え難い苦悩が始まったのです。

自分も縁壱のように強い剣士になりたいと渇望した厳勝は、あれこれと剣について縁壱に問いただしました。

すると弟・縁壱の恐るべき才能が明らかになったのです。

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弟・縁壱の剣の才能への激しい嫉妬

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟の人間時代の過去|負けられない宿命|弟・縁壱の剣の才能への激しい嫉妬

週刊少年ジャンプ2019年45号 鬼滅の刃 第177話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

弟の縁壱は生まれながらに生き物の「体が透けて見える」特殊な視覚を持っていました。

そのため敵が打ち込んでくる前に、肺やわずかな筋肉の動きを感知することができたのです。

さらには敵の攻撃を素早く交わし、隙に正確に打ち込む身体能力まで兼ね備えていました。

しかし当の縁壱は人を打つ感触を不快に感じ、それ以降剣を持とうとしません。

喉から手が出るほど欲しい剣の才能を、特別なものとさえ思わない弟に苛立つ厳勝。

まさか自分がいつも哀れんでいた双子の片割れが、神のごとき剣の才能を持つ逸材だったとは。

厳勝の自信とプライドは音を立てて崩れ去り、今までに感じたことのない敗北感を味わったのです。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟の人間時代の過去|負けられない宿命|弟・縁壱の剣の才能への激しい嫉妬

週刊少年ジャンプ2019年45号 鬼滅の刃 第177話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

10歳で寺に追いやられるはずの弟・縁壱は、厳勝にとって守ってやるべき弱者でした。

ところが、自分より劣っていると思っていた縁壱が、自分を遥かに優れていたことにショックを受けた厳勝。

父親が弟・縁壱の真の才能を知ったら、後継は厳勝ではなく縁壱になるのは想像に難くありません。

「きっと父は弟に家を継がせて、自分を寺にやるに違いない。」

そう思うと全身が震えるほどの恐怖がおそって、厳勝は眠ることができませんでした。

そんな失意のどん底を味わっている夜中に、縁壱が厳勝の部屋を訪れました。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟の人間時代の過去|負けられない宿命|弟・縁壱の剣の才能への激しい嫉妬

週刊少年ジャンプ2019年45号 鬼滅の刃 第177話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

縁壱は厳勝に「母の死」を伝えると、自分は今から寺に出ると告げたのでした。

厳勝にとって母の死は唐突すぎて、何が起きたか理解できません。

というのも母親は自分が病気であることは、夫にさえも知らせていなかったからです。

さらには目の前で血を分けた弟が出て行くと言うのに、厳勝は何一つ声をかけることもできません。

なぜなら、縁壱が出ていかなければ、いずれは自分が寺に追いやられることになるからです。

厳勝は去って行く縁壱をただ何も言わずに見つめ、二度と会うことはないと見送ったのでした。

弟の神のごとき振る舞いに憎悪

弟・縁壱が家を出て行った後、厳勝が死んだ母が残した日記を読んでいた時のことです。

母が病気で左半身を患っていたことを知り、ふと気がついたのです。

いつも母を見ればすがりついていた弟・縁壱は、左半身が不自由な母親を支えていたのだと。

しかし単なる甘えん坊だと思っていた弟は、母親の病気だけでなく死期さえも察知していたのです。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟の人間時代の過去|負けられない宿命|弟の神のごとき振る舞いに憎悪

週刊少年ジャンプ2019年45号 鬼滅の刃 第177話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

さらには日記には、こう続きました。

父親が縁壱を後継ぎにと言い出したことに気づき、自ら予定より早く寺へと出て行った。

母親を守り、支えただけでなく、兄のプライドや地位を守るために自ら家を出ていった弟・縁壱。

そんな縁壱の優しさは、厳勝の慰めになるどころか、絶対に覆すことのできない敗北感を味あわせました。

剣の技術だけでなく、人としても神のごとき振る舞い!なぜそんなにも善人でいることができるのか!?

怒りと嫉妬を通り越し、全身の血が逆流するかのような憎悪を厳勝は縁壱に感じたのでした。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟の人間時代の過去|負けられない宿命|弟の神のごとき振る舞いに憎悪

週刊少年ジャンプ2019年46号 鬼滅の刃 第178話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

弟・縁壱が家を出て行ったことに気が付いた父は、すぐに連れ戻すべく寺に使いをやりました。

それは母の遺言に、「これからは二人の子供を分け隔てなく愛して育てて欲しい」とあったからです。

しかし、縁壱は寺には来ておらず、どこを探しても見つかりません。

厳勝は内心ハラハラとして、弟・縁壱が見つからないことを祈っていました。

きっと縁壱は崖から落ちたか、熊にでも襲われて死んだのだろう。

そう大人達が囁くのを聞いて、厳勝は憎悪から解放され、ようやく心から安堵を覚えたのです。

やがて月日は流れ、厳勝は継国家の立派な後取りとなり、妻と子にも恵まれ幸せに暮らしていました。

まさか弟の縁壱が生きていたと知らされるその日までは。

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弟・縁壱との再会で運命が狂う厳勝

結婚をし、子供にも恵まれ、継国家の後取りとして何の不自由もなく幸せな日々。

しかし、厳勝は弟・縁壱という存在を失って以来、心のどこかで退屈している自分に気がついていました。

そんなある日のこと、厳勝は自分の配下を連れて、野営をしていたときに鬼に襲わます。

周囲の者は瞬く間に鬼の餌食となり、いよいよ残るは厳勝一人となったその時です。

厳勝にとって鬼に殺されるよりも望まない再開が待ち受けていました。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|弟・縁壱との再会で運命が狂う厳勝

週刊少年ジャンプ2019年46号 鬼滅の刃 第178話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

月明かりの中、神のごとき一振りで鬼の首をはねたのは、死んだはずの弟・縁壱でした。

驚きのあまり地面に座り込んだ厳勝に、弟・縁壱は深々と頭を下げました。

「申し訳ございません。兄上。」

自分の到着が遅れたがために、兄・厳勝の配下が死んでしまったことを縁壱は詫びたのです。

弟・縁壱の剣の技術はさらに磨き上げられ、さらには人として尊敬に値する立派な振る舞い。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|弟・縁壱との再会で運命が狂う厳勝

週刊少年ジャンプ2019年46号 鬼滅の刃 第178話©吾峠呼世晴/集英社 より引用


厳勝の中で忘れていた嫉妬の炎が一気に体の内側から燃え広がります。

自分がのんびりと暮らしている間に、弟・縁壱は鬼狩りとして多くの人の命を守り、剣の技を磨いてきた。

弟・縁壱を羨むあまり、再び厳勝は執拗なまでに強さにこだわり、苦しむようになります。

そして、自分の大切な妻や子供を捨ててまで、自身も鬼狩りになることを決心したのでした。

【縁壱は始まりの呼吸の剣士】

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|弟・縁壱との再会で運命が狂う厳勝

鬼滅の刃20巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用

厳勝の双子の弟・縁壱は、「はじまりの呼吸」と呼ばれる「日の呼吸」の使い手でした。

鬼殺隊の一員となった縁壱は仲間の剣士に「呼吸」を伝授し、飛躍的に剣士の身体能力を向上させました。

しかし誰も縁壱のように「日の呼吸」が使えなかったため、縁壱はそれぞれの剣士の能力に適した呼吸法を指導します。

そうやって縁壱の「日の呼吸」から、「炎」「水」「雷」「雷」「岩」の呼吸が生まれたのです。

縁壱は鬼殺隊の歴史上最も強い剣士で、あの鬼の始祖・鬼舞辻無惨を追い詰めるほど。

この400年後に鬼殺隊の剣士となった炭治郎は、縁壱から「耳飾り」と「日の呼吸」を知らぬ間に受け継いでいました。

炭治郎と「始まりの呼吸」の最強剣士・縁壱の深い関係についてはこちらの記事で解説しています。
炭治郎の耳飾りとヒノカミ神楽は400年以上引き継がれた約束の証

鬼殺の剣士として限界を感じた厳勝

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|鬼殺の剣士として限界を感じた厳勝

週刊少年ジャンプ2019年45号 鬼滅の刃 第177話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

鬼狩りとなった厳勝は、弟・縁壱の指導を受けて「呼吸」を使えるようになりました。

その「剣技」と「呼吸」を高めたことで、いつしか厳勝にも縁壱そっくりな「痣」が出現します。

しかし、厳勝がどんなに鍛錬を積んでも、縁壱と同じ「日の呼吸」を使えるようになりません。

厳勝が使えるようになったは、「日の呼吸の派生」である「月の呼吸」でした。

もっと鍛錬を積みかせねれば、自分も縁壱のような剣士になれるのだろうか?

焦りと苛立ちを感じていたそんな時、同じように「痣」が出現していた鬼殺の剣士が次々と死んでいきました。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|鬼殺の剣士として限界を感じた厳勝

週刊少年ジャンプ2019年46号 鬼滅の刃 第178話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

それは「痣」が出現した剣士の、戦闘能力が格段に高くなった代償でした。

強くなったのは命の前借りに過ぎず、誰一人として痣者は25歳を過ぎるまで生きることができません。

もう「痣」が出ている自分には時間がない。残された時間で、縁壱に勝る剣士にはなれない!

厳勝が人生に絶望したその瞬間に、心の闇を嗅ぎつけた鬼の始祖・鬼舞辻無惨が目の前に現れたのです

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強さを求め人間を捨てて鬼となる

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|強さを求め人間を捨てて鬼となる

週刊少年ジャンプ2019年46号 鬼滅の刃 第178話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

自分に命の時間の猶予がないために、縁壱を越えられないことに焦りを感じている厳勝。

その心を見透かした鬼舞辻無惨は恐ろしい提案を厳勝にします。

「ならば鬼になれば良いではないか」

鬼になれば無限の時間を生きることができ、己の剣技を極めることができる。

これは縁壱よりも強くなりたいと心底願う厳勝にとって、願ってもいないチャンスでした。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|強さを求め人間を捨てて鬼となる

週刊少年ジャンプ2019年46号 鬼滅の刃 第178話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

無惨は以前から目障りな鬼狩りを全滅させたいと考えていました。

厳勝という優秀な「呼吸の使い手」を鬼にすれば、鬼殺隊の全滅はたやすいこと。

そう考えた無惨は、優秀な剣士であるにも関わらず、常に心に嫉妬の炎を燃やす厳勝に目をつけていたのです。

厳勝はそんな悪魔のような無惨の取引に、自分が強くなりたい一心で応じました。

「これで自分は強くなれる。縁壱よりも!!」

鬼となった厳勝は鬼殺隊の当主である親方様を殺害し、その首を無惨に渡して忠誠を誓ったのです。

それが上弦の壱という鬼の最高位を400年も守り抜く、最強の鬼・黒死牟の始まりでした。

黒死牟となっても弟・縁壱に完敗

黒死牟となった厳勝は鬼狩りを次々に殺し、鬼殺隊は存続が危ぶまれるほど弱っていきます。

鬼殺隊が滅びるのは時間の問題と思われた、「ある赤い月の夜」のことです。

鬼となってから60年経った黒死牟は、信じられないものを目にします。

それは齢80歳を超えたであろう、人間だった時の弟・縁壱の姿でした。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟となっても弟・縁壱に完敗

週刊少年ジャンプ2019年42号 鬼滅の刃 第174話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

痣者は25歳までに例外なく必ず死ぬというのに、目の間に立っているのは80歳をゆうに超えるであろう縁壱の姿。

「まさか生きていたとは!!」

年老いて痩せて今にも朽ち果てそうな縁壱に、黒死牟は昔のような嫉妬の感情はもはやありません。

むしろ人間だった頃に一度も見たことがなかった、縁壱の涙に心が動かされ動揺する黒死牟。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟となっても弟・縁壱に完敗

週刊少年ジャンプ2019年42号 鬼滅の刃 第174話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

かつての弟との思いがけない再会に、鬼であるにも関わらず感傷的になっていた黒死牟。

しかし縁壱が鬼殺の剣士である以上、鬼である自分は殺さなければならない。

そう黒死牟が思った次の瞬間、弟・縁壱の全身をまとう気が一変しました。

一部の隙のない構えに、息が詰まるほどの重圧感を放ち、縁壱は黒死牟に戦いを挑みます。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟となっても弟・縁壱に完敗

週刊少年ジャンプ2019年42号 鬼滅の刃 第174話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

「参る!」

弟・縁壱もまた鬼となった兄・厳勝を倒すのは、自分以外にないと思い続けて生きてきたのです。

老いて力を失ったとばかり思っていた縁壱から、黒死牟は凄まじい闘気を感じとります。

黒死牟は縁壱を倒すつもりで、情け容赦なく全力で剣を抜きました。

しかし、すでに遅すぎました。

黒死牟の剣が抜かれるよりも早く、縁壱の刃が神のごときスピードで首を捉えたのです

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟となっても弟・縁壱に完敗

週刊少年ジャンプ2019年42号 鬼滅の刃 第174話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

年老いたはずの弟・縁壱の技が、全盛期と変わらぬ威力とスピードであることに黒死牟は愕然とします。

「次の一撃で、自分は間違いなく首を切られ死ぬ!!」

黒死牟が死を覚悟したその瞬間、縁壱に抱く嫉妬と焦燥感が過去さながらに蘇りました。

「なぜ同じ双子でありながら、お前だけが神に愛される?」

25歳になる前に痣者は死ぬはずなのに、その理を無視して生き続けている縁壱。

しかも、老体にも関わらず全盛期と変わらぬ神のごとき一撃を見せつけられた。

鬼にまでなったのに縁壱に全く及ばない黒死牟は、怒りが全身から突き抜けるのを感じます。

「憎い憎い!殺してやりたい!!」

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟となっても弟・縁壱に完敗

週刊少年ジャンプ2019年42号 鬼滅の刃 第174話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

しかし、死を確信した黒死牟にその時はやって来ませんでした。

なぜなら、憎き弟・縁壱は寿命がつきて、その場に立ち尽くしたまま死んでいたからです。

縁壱が死んだことに気が付いた黒死牟は、安堵ではなくさらなる怒りで身を焦がします。

こんなにも耐え難い敗北感だけを与え、縁壱は黒死牟に永遠に生きることを突きつけたのです。

縁壱が死んだ以上、黒死牟が自分に許せる死は存在しません。

自分を殺さずに先に死んだ縁壱が許せず、黒死牟は縁壱の亡骸を切り刻みます。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟となっても弟・縁壱に完敗

週刊少年ジャンプ2019年42号 鬼滅の刃 第174話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

するとかつて、幼かった自分が縁壱に与えた手作りの竹の笛が、縁壱の胸元からこぼれ落ちました。

父親から見向きもされず、粗末な暮らしを強いられた縁壱。

何不自由ない生活を与えらえた兄を羨むことも恨むこともなかった。

そして、唯一縁壱の生涯で大切にしていた物が、かつての黒死牟が作った音の外れた笛だった。

どれほど縁壱が兄・厳勝を思っていたか、このガラクタ同然の笛を見た瞬間に黒死牟は気がつきます。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|黒死牟となっても弟・縁壱に完敗

週刊少年ジャンプ2019年45号 鬼滅の刃 第177話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

「こんなにも憎い弟は、鬼となっても兄を心の底から慕ってくれたいた。」

黒死牟は己の剣技が縁壱及ばないだけでなく、人間としての器でさえも圧倒的な負けを見せつけらた気がしました。

「もうこれ以上、俺にこんな惨めな思いをさせるな!」

死んでしまった弟・縁壱が憎くて仕方がないにも関わらず、黒死牟の目から止めどなく涙が溢れます。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去|黒死牟となっても弟・縁壱に完敗

週刊少年ジャンプ2019年42号 鬼滅の刃 第174話©吾峠呼世晴/集英社 より引用


黒死牟は心の奥で、鬼となった自分を殺すなら縁壱であって欲しいと願っていたのです。

縁壱以外の者に殺されることなど、絶対に自分には許されないとさえ思っていました。

そして縁壱もまた、鬼となった兄・厳勝を殺すなら自分しかいないと思うがゆえに80歳を超えるまで生きたのです。

しかし人間であった縁壱は、あと一歩のところで寿命が尽きました。

この憎くくても悲しくて仕方がない弟・縁壱の死で、黒死牟は誰にも負けられないとさらに強く思うようになります。

そして400年もの間、鬼の中の最高位である上弦の壱の座を守り続けることになったのです。

どんな鬼にも、人間だった悲しい過去があります。無残や上弦の鬼達の過去はこちらをご覧ください。

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鬼となっても黒死牟が引きづる過去

鬼となった黒死牟ですが、鬼には珍しく過去の記憶を鮮明に持ったままでした。

そのため、鬼となってもなお人間だった時の過去の特徴を色濃く残しています。

・鬼となっても「月の呼吸」を使う
・強者の証!顔には痣が発現
・秩序と礼儀を重んじる武士道

鬼となっても「月の呼吸」を使う

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|鬼となっても黒死牟が引きづる過去|鬼となっても「月の呼吸」を使う

鬼滅の刃19巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用

黒死牟は鬼となっても「月の呼吸」を磨き上げて血鬼術としてさらに高めました。

月の呼吸は全部で16もの型があり、そのどれもが月の形をした無数の刃が不規則な動きをしながら襲ってきます。

しかし、実際に無限城内での戦いにおいて、繰り出した技は11の型のみでした。

いちノ型闇月・宵の宮やみつきよいのみや一振りで月の形の無数の刃が斬撃を与える技
ノ型珠花ノ弄月しゅかのろうげつ連続で刃を振ることで広範囲を切り刻む技
さんノ型厭忌月・銷りえんきつきつかり二連続で放たれ、大きく弧を描くように刃を振るう技
ノ型月魄災渦げつはくさいか全く剣を動かさずに広範囲に刃を飛ばす技
ろくノ型常夜孤月・無間とこよこげつむげん垂直方向に刃を振り、無数の月の形をした刃を放つ技
しちノ型厄鏡・月映えやっきょうつきばえ高速で遠距離から切り裂くような斬撃を放つ技
はちノ型月龍輪尾げつりゅうりんび大きな一振りで周囲をえぐるような斬撃を放つ技
ノ型降り月・連面くだりつきれんめん大きく背中から刀を振るい斬撃を降り注ぐ技
じゅうノ型穿面斬・蘿月せんめんざんらげつ二連になった鋸状の刃が深くえぐるように迫る技
拾肆じゅうしノ型 兇変・天満繊月きょうへんてんまんせんげつ幾重にも重なった渦巻き状の斬撃で広範囲を攻撃する技
拾陸じゅうろくノ型月虹・片割れ月げっこうかたわれつき上方から地面を砕くように放たれる破壊力のある技

強者の証!顔には「痣」が発現

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|鬼となっても黒死牟が引きづる過去|強者の証!顔には「痣」が発現

鬼滅の刃19巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用

黒死牟の過去は、鬼殺隊の剣士で「月の呼吸」の使い手です。

「呼吸」を極めた剣士は、体の一部に鬼の文様のような「痣」が出現します。

しかし「痣」とは強者の証であると同時に、その強さの代償として25歳まで生きられない運命です。

黒死牟は鬼となっても、この強者の証である「痣」を顔に発現させたままでした。

鬼となり不老不死の体を手に入れた黒死牟は、永遠に「痣者」として寿命の制限なく生きられます。

死という代償を払う必要のない黒死牟にとって、「痣」は純粋に強さの象徴となったのです。

秩序と礼儀を重んじる武士道

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|鬼となっても黒死牟が引きづる過去|秩序と礼儀を重んじる武士道

鬼滅の刃19巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用

黒死牟は鬼には珍しく、威厳に満ちた佇まいと礼儀をわきまえています。

それは誇り高き武士の心を失っていないためです。

黒死牟が鬼となったのは、無限の時間を剣技を極める鍛錬に使い、武士道を極めるため。

そうすれば、縁壱と同じ世界「道を極めた者がいきつく場所」が見れると信じて疑わなかったからです。

そのため、敵に遭遇しても決して無礼な態度は取らず、優れた剣士には惜しみなく賞賛を浴びせます。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|鬼となっても黒死牟が引きづる過去|秩序と礼儀を重んじる武士道

鬼滅の刃18巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用

ちなみに黒死牟は同じ上弦の鬼である猗窩座あかざが大のお気に入りでした。

猗窩座は鬼であっても素手で戦う筋鐘入りの武道派で、日頃から鍛錬を怠ることがない努力家。

かつて黒死牟は猗窩座に入れ替わり決戦を申し込まれ、猗窩座を倒しています。

通常なら入れ替わり決戦で倒した鬼は吸収しますが、黒死牟は猗窩座を生かしています。

同じ武を極める者として、黒死牟は猗窩座を認めていた証拠です。

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黒死牟の刀に秘めた弟・縁壱への思い

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|秩序と礼儀を重んじる武士道黒死牟の刀に秘めた弟・縁壱への思い

週刊少年ジャンプ2019年39号 鬼滅の刃 第171話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

黒死牟の武器は日輪刀ならぬ「虚哭神去(きょこくかむさり)」と名付けられた刀。

虚哭神去は黒死牟の血と骨でできており、刃の側面には無数の目がギョロリと睨む不気味な刀です。

その刃は七支刀のごとく枝分かれした時、その威力とスピードが段違いのレベルアップします。

黒死牟は気づいていませんが、本当は弟・縁壱のことが大好きでした。

その証拠が、黒死牟の愛刀「虚哭神去」の名前に隠されています。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|秩序と礼儀を重んじる武士道黒死牟の刀に秘めた弟・縁壱への思い

週刊少年ジャンプ2019年42号 鬼滅の刃 第174話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

虚哭神去とは、「神が去って、虚しくて嗚咽するほどに泣く」という意味です。

黒死牟にとって神とは、あの無惨をもしのぐ剣技を持った弟・縁壱をさしています。

自分が勝ちたくても勝てなかった弟への思いを、刀の名前にしたと思われます。

生まれた時から継国家の後継として育てられた厳勝は、誰にも負けてはなりませんでした。

たとえ、それが血を分けた双子の弟・縁壱であってもです。

【鬼滅の刃】黒死牟の過去は弟・縁壱への愛憎と嫉妬まみれの転落人生|秩序と礼儀を重んじる武士道黒死牟の刀に秘めた弟・縁壱への思い

週刊少年ジャンプ2019年44号 鬼滅の刃 第176話©吾峠呼世晴/集英社 より引用

厳勝と縁壱が生まれた時代が戦国だったがゆえ、双子に生まれた兄弟の人生は真逆の道を進むことになったのです。

本当は誰よりも縁壱を認め、尊敬し、愛しく思うがために、嫉妬と劣等感に打ちのめされた厳勝。

本当に憎かったわけでなく、黒死牟となった厳勝の真の思いはただ一つ。

縁壱、お前にになりたかったのだ


厳勝にとって神のように神々しい存在だった「縁壱」に、悲しいほどに強く憧れていただけだったのです。

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