上弦の参・猗窩座は、弱者を忌み嫌い、強者には敬意さえ表す「強さ」に価値を置く鬼です。
しかし、猗窩座は自分より格上の上弦の弐・童磨が大嫌い。
童磨が親しみを込めて話しかけても、猗窩座は殴る・キレる・無視するという酷い態度をとります。
それは猗窩座と童磨が人間時代に培った性格の違いに原因があります。
この記事では、「強さ」に最も価値を置く猗窩座が、自分より強い童磨を激しく嫌う理由を徹底解説しています。
そして童磨を嫌っているのは、実は猗窩座だけではないという裏話もお伝えしましょう。
猗窩座は童磨が大嫌い!相反する性格の違い
猗窩座が童磨を嫌いな理由は、性格がとにかく合わないからです。
硬派で不器用な猗窩座から見ると、童磨はチャラくて要領が良い真逆のタイプ。
猗窩座が童磨にカチンとくるのも無理はありません。
同じ鬼であるにも関わらず、猗窩座と童磨の性格がまるで違うのには、それぞれの過去に深く由来しています。
猗窩座が童磨を嫌う理由を4つ、人間だった過去と照らし合わせながら解説します。
1:女を好んで食べるのが許せない
猗窩座が童磨と決定的に違うのが、女を決して食べないこと。
童磨が女を好んで食べることを、猗窩座はその理由もわからず不快にに思っています。
それは猗窩座が人間だった過去に、深く関係しています。
鬼滅の刃18巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
猗窩座の人間だったときの名前は「狛治」。
罪人だった自分を拾ってくれた師範のもとで、武術を学ぶ真面目な青年でした。
そんな狛治には、命をかけて守りたいと思った許嫁がいました。
許嫁の名前は「恋雪」といい、命の恩人である師範の大切な一人娘だったのです。
鬼滅の刃18巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
狛治が結婚の報告をするために、父親の墓参りから帰ったとき悲劇がおきます。
心ない人間が井戸に毒を入れたため、恋雪とその父である師範が死んでしまったのです。
これは狛治と恋雪の結婚を妬んだ、隣の道場主の息子の仕業でした。
狛治は愛する者を失った怒りから、この道場主の息子はもちろん、その門下生合わせて67名を素手で殺しました。
そして、復讐をやり遂げ呆然としているところ、鬼舞辻無惨に鬼にされたのです。
鬼滅の刃18巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
鬼となった猗窩座は過去の記憶を無くしていますが、恋雪を思う気持ちは失っていなかったのです。
この失ったはずの人間時代の記憶が、猗窩座の無意識の中に「女は守る者」と刷り込まれていました。
そして、猗窩座は決して女を食ベることはありませんでした。
猗窩座の悲しすぎる人間だった過去は、こちらの記事で詳しくは解説しています。ご覧ください。
猗窩座(あかざ)の過去は愛する人を守る青年!鬼への道を解説
鬼滅の刃18巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
童磨は女を好んで食べる鬼でした。
その理由は、女は子を宿すことができるほど栄養価が高く、食べると早く強くなれるからです。
また、鬼の強さは食べた人の数に比例します。
猗窩座より後から鬼になったのに、上弦の弐まで上り詰めた童磨は恐ろしい数の女を食べていたのです。
鬼滅の刃18巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
それもそのはず、童磨の過去は万世極楽教というインチキ宗教の教祖でした。
教祖としての活動は鬼となっても続けており、悩みを抱えた女性たちを救済という名目で食べて殺していたのです。
なんの罪悪感も感じず、自分に食べられた女は幸せになっているとさえ信じる狂人ぶり。
同じ鬼とはいえ、猗窩座は女に卑しい童磨がどうしても許せませんでした。
女を食べれば強くなれることは、猗窩座も当然わかっていたのです。
強くなることに最もこだわっているにも関わらず、それでも猗窩座は女を食べることだけは自分に許しませんでした。
人の気持ちなど全く理解しない冷酷な鬼・童磨の過去は別記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
童磨の過去は親に祭り上げられた教祖!歪んた幼少期が鬼へと最適化
2:鍛錬せずに上弦の弐に上り詰めたから
鬼滅の刃18巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
猗窩座は人間だった頃から、武術の稽古にひたすら励んでいました。
鍛錬に鍛錬を重ねる猗窩座は、根っからの真面目な努力家です。
鬼となって得た永遠に続く命を、ひたすら武術を極めるために使っています。
そして自らが目指すのは、本当の強者だけが到達する「至高の領域」です。
猗窩座の強さの秘密は100年以上も鍛錬にあり、その結果として上弦の参まで上り詰めました。
鬼滅の刃16巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
しかし、そんな猗窩座にとって、納得のいかない存在が童磨です。
いつもヘラヘラして鍛錬など無縁の童磨に、こともあろうか猗窩座は上弦の弐の座を取られています。
童磨は猗窩座より遅く鬼になったにも関わらず、異例のスピード出世をした天才肌。
その強さの秘密は、ひたすら栄養価の高い女を食べた結果だったのです。
そもそも童磨は鬼となっても現役の、万世極楽教の教祖様です。
万世極楽教の教えとは、穏やかな気持ちで楽しく生きること。
つらいことや苦しいことはしなくて良い、する必要はないという信仰。
童磨は自らこの信仰に忠実なまま、楽しく味わいながら上弦の弐を勝ち取ったのです。
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
十二鬼月の序列は、下弦より上弦が強く、さらには数字が若いものが強者。
もし順番を入れ替えたいなら、上の者に戦を申し込んで戦って勝たなければなりません。
猗窩座は上弦の参で、童磨は上弦の弐です。
この数字が意味することは、童磨が猗窩座よりも強いという動かぬ証拠。
これは猗窩座にとって耐え難い屈辱でした。
誰よりも鍛錬し勝ちにこだわる猗窩座が、よりによって女を食べて強くなった童磨の格下なのですから。
猗窩座が童磨を嫌いなのも仕方がないことなのです。
【十二鬼月の序列の仕組み】
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
十二鬼月は上弦と下弦にそれぞれ6名ずつ、計12名の鬼で成り立っています。
上弦の壱が最も強く、下弦の陸が最も弱く、戦闘能力によって明確な序列がなされています
十二鬼月の中で上り詰めるには、自分より格上の鬼と対戦し勝つことが必要。
しかし、万が一負けた場合、勝った鬼に取り込まれる可能性があります。
生きながらえるか取り込まれるかは無惨の判断に委ねられます。
鬼滅の刃18巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
かつて猗窩座は上弦の壱・黒死牟に戦いを挑み、負けています。
しかし黒死牟はひたむきな猗窩座がお気に入りだったので、取り込まずに生かしたのです。
猗窩座は今だに黒死牟に挑むつもりで鍛錬しており、童磨は全く眼中にありません。
3:童磨の戦闘スタイルが正統派じゃないから
鬼滅の刃18巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
猗窩座の戦闘スタイルは、人間時代に習得した素手で戦う武術がベースになっています。
鬼となっても武器は持たず、自らの拳と脚で相手を打ち負かす正統派スタイル。
血鬼術でさえも、拳による連打や足技で武器や飛び道具、鬼の毒も一切ありません。
その戦いっぷりは正々堂々と、極めて潔いものがあります。
実は、猗窩座の男気溢れる血鬼術の技名は、人間だったとき愛する恋雪と見た花火に由来しています。
猗窩座の血鬼術の技については、こちらの記事で詳しく解説しています。ご覧ください。
鬼滅の刃16巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
一方、童磨は武器を使って戦う鬼で、対の扇から放つ冷気で相手を攻撃します。
霧状にして散布した冷気は猛毒なため、吸ったものは肺が腐っていきます。
近づくと冷気を吸うため、間合いを詰めて戦うのが極めて困難です。
さらには血鬼術で化身を生み出して戦わせ、自ら汗をかかないズル賢い戦術。
鬼滅の刃19巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
鍛錬や努力と無縁の童磨は、鬼となって得た血鬼術を巧みに使う頭脳派だったのです。
武器さえ持たない硬派な猗窩座からすれば、童磨の戦闘スタイルは軟派そのもの。
いくら強くても、猗窩座はその強さを認めることはできなかったのです。
4:悪びれもせず癪に触ることを平気で言う
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
童磨はいつもヘラヘラとしていて、誰にでも屈託のない笑顔をふりまきます。
しかし話す内容はいささか辛辣で、相手を小馬鹿にした発言が多いのが特徴。
特に格下にも関わらず自分に歯向かう猗窩座には、明らかに見下した発言を連発。
猗窩座にいきなり殴られた直後に、童磨が放った次の一言が実に見事な嫌味でした。
うーん いい拳だ!前よりも少し強くなったかな?猗窩座殿
これは童磨が猗窩座を完全に見下しており、自分の相手にはならないという失礼極まりない態度。
鬼であってもまっすぐな性格の猗窩座は、この童磨の言動は侮辱以外の何物でもありません。
しかし驚くことに、童磨に悪意は全くないのです。
鬼滅の刃19巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
それもそのはず、童磨は人間だった頃から、喜怒哀楽の感情を全く感じられない超不感症。
幼かった童磨の目の前で、実の母親が浮気ばかりする父親に怒り狂い、包丁で滅多刺しにしています。
さらに父親を殺した後に、気が狂った母親が服毒自殺した光景も目にしているのです。
普通の子供ならショックが強すぎて泣き叫ぶ地獄のような光景。
血の匂いが臭いから早く換気をしなきゃ
両親の悲惨な最期を目にした童磨が思ったことは、悲しみでも苦しみでもなかったのです。
こんな童磨は人の気持ちを理解する術がないため、言葉を上手に選べないのも無理はありません。
嫌われているのに童磨は猗窩座が大好き
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
猗窩座が童磨を嫌いなのは明白です。
童磨が話しかけても猗窩座は無視し、絡まれれば頭が吹っ飛ぶほどに殴ります。
にも関わらず、童磨はその仕打ちを仲良しの証拠と感じる幸せ者です。
勘違いも甚だしいのですが、童磨は猗窩座のことを一番の親友だと思っています。
鬼滅の刃18巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
童磨が猗窩座の死を感じとり、涙を流して「一番の友人だったのに」と悲しみます。
童磨にとって紛れもなく猗窩座は一番親しい鬼だったのです。
しかし、もともと喜怒哀楽を感じることができない童磨にとって、その感情さえも幻想にすぎません。
童磨のこの人の気持ちを理解できない性格は、人間だった幼少期の環境に大きく影響を受けています。
鬼滅の刃16巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
人間だった童磨は幼い頃から神と崇められ、大人の悩みや苦しみを聞く立場にありました。
子供らしく遊ぶことも許されず、ひな壇の上に座らされ、大人達の退屈な身の上話に付き合う毎日。
「どうか極楽に導いて下さい」と泣きながら、自分にすがってくる大人達。
そんな信者を、童磨はなんと頭が悪く哀れな存在なのだろうと思っていました。
しかし同時に、童磨は人間が普通に感じる感情を感じれないことを、密かにコンプレックスに感じていたのです。
鬼滅の刃18巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
感情がないことは、苦しみや悲しみを感じずにすみますが、喜びも楽しも感じられない。
童磨が無意識に欲してやまなかったのが、誰もが持っている当たり前の感情だったのです。
鬼となり、金も地位も不老不死も手に入れましたが、何も感じない。
そこで女をとっかえひっかえ恋愛ごっこまでしますが、やはり胸の高鳴りは感じることができません。
そんな何も感じられない自分に、童磨は悲しみも感じられなかった哀れな鬼だったのです。
こんな童磨の性格をウザいと思うのは、猗窩座に限ったことではありませんでした。
童磨は猗窩座以外の鬼にも嫌われている
実は、童磨を嫌っているのは猗窩座だけではありません。
誰にでも馴れ馴れしい上に、場の空気を読めない童磨は信頼の置けない存在です。
ここでは童磨を嫌う鬼達を紹介しましょう。
鬼の始祖・鬼舞辻無惨には信頼されていない
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
絶対的な力と権力を持つ鬼の始祖・鬼舞辻無惨は童磨を信頼していません。
童磨を鬼にしたのは、無惨なのにも関わらずです。
その理由は、強い鬼に必要な強い執着心と心の飢えから来る渇望がないからです。
だから童磨がノリと勢いで上弦の弐まで上り詰めるとは、無惨も計算していませんでした。
いくら戦闘能力が高いとは言え、それでも無惨はチャラい童磨を好きにはなれません。
無惨は任務から童磨をことごとく外しています。
一方で童磨は無惨を崇拝しており、万世極楽教の神としています。
上弦の壱・黒死牟にはシカトされる
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
上弦の鬼の中で最強を誇る、上弦の壱・黒死牟。
実は、この黒死牟は猗窩座が大のお気に入りです。
それは強くなるために鍛錬を重ねる猗窩座の、ひたむきに努力する姿に好感を持ってのこと。
黒死牟は猗窩座の童磨に対する行き過ぎた暴力行為を、自ら止めに入ります。
それは殴られた童磨を見かねてではなく、猗窩座のことを思っての行為でした。
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
黒死牟が猗窩座に厳しく注意するのを、自分のためにしていると感じた童磨。
それもつかの間、黒死牟は一言冷たくいい放ちます。
お前の為に言っているのではない
黒死牟の本心は、猗窩座に早く強くなって上弦の弐になって欲しいという応援だったのです。
猗窩座は黒死牟のそのメッセージを、顔には出さずに感じ取っています。
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
黒死牟と猗窩座の間に流れる微妙な空気を、全く読めない童磨は幸せ者です。
その鈍感さで童磨は傷つかずにいられるのですが、嫌われる大きな原因であることは疑いの余地がありません。
琵琶の女鬼・鳴女にも無視される
無惨が無限城に上弦の鬼を招集し、血も凍るような恐怖の一喝を入れた後のことです。
無惨が消えたと同時に、上弦の鬼達は各々の任務へと急ぎます。
しかし、何の任務ももらえぬ童磨は暇を持て余していました。
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
ポツンと一人、無惨の根城である無限城に取り残された童磨。
そこで無限城を管理する、空間を意のままに作る鬼・鳴女に声をかけます。
おーい琵琶の君 もし良かったらこの後俺と・・・
お茶に誘おうとするのですが、いい終わらぬうちに冷たい返事が返ってきました。
お断りします
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
次の瞬間、童磨はいつもの自分の住処である、万世極楽教の本殿に飛ばされています。
無惨には期待されず、猗窩座には殴られ、黒死牟にはシカトされる。
挙げ句の果て、お茶に誘い終わらぬうちに鳴女には飛ばされる始末。
しかし童磨は根っからのポジティブなので、次の瞬間には気持ちを切り替えます。
そしていつもように教祖になりすまし、悩みを抱えた哀れな人間を食べて救済するのでした。
猗窩座と童磨は性格が違いすぎて仲良くなれない
鬼滅の刃12巻©吾峠呼世晴/集英社 より引用
猗窩座が童磨を嫌いな理由は、人間時代に形成された性格の違いからです。
硬派で努力家の猗窩座から見れば、童磨はチャラ男でしかありません。
女を好んで食べてスピード出世した童磨により、猗窩座が格下なのはまさに屈辱。
残念ながら猗窩座が童磨を嫌うのは無理はない話なのです。
しかし童磨も、幼少期から神として崇められ、大人達の滑稽な悩みを聞かされた被害者。
その環境のせいで度を超えた不感症となり、喜怒哀楽が全く欠如した究極の空気読めない君になったわけです。
鬼と言えども性格は様々で、気が合う合わないはあるもの。
しかし、童磨を嫌う鬼は多く、それに気づかないでいられる鈍感さが彼の唯一の救いだったのです。
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