1年で最も美しい秋のお月様は、十五夜とも中秋の名月とも言われます。
2022年の中秋の名月は、9月10日(土曜日)です。
18時59分に美しい完璧な満月になります!
十五夜と中秋の名月は一般的に同じものとされますが、本来は違うものです。
違い | 回数 | |
十五夜 | 新月から数えて15日目の夜 | 年に12~13回 |
中秋の名月 | 旧暦8月15日の月 | 年に1回 |
十五夜は毎月ありますが、中秋の名月は年に1度だけです。
さらに驚くことに、十五夜も中秋の名月も満月とは限りません!
この記事では、一緒にされがちな十五夜と中秋の名月の大きな違いについてわかりやすく解説しています。
また意味深すぎる「満月とは限らない」の真相についてもスッキリ解決!最後までお楽しみください。
十五夜と中秋の名月の大きな違い!
一般的に同じものとされる十五夜と中秋の名月。
でも本来は別々の意味を持っており、大きな違いがあります。
十五夜:新月から15日目の夜のこと。年に12~13回ある。
中秋の名月:旧暦の8月15日の月のこと。年に1回だけ。
本来は数ある十五夜のうち、旧暦の8月15日だけ中秋の名月と同じ日ということになります。
十五夜と中秋の名月について、それぞれ詳しく解説しましょう。
十五夜は新月から数えて15日目の夜
十五夜とは新月(月が出ていない日)から数えて15日目の夜のことです。
これは昔の人は、月の満ち欠けで1ヶ月を定めていたことに由来します。
十五夜は年12~13回もあるのはなぜ?
昔の人は月の満ち欠けで1ヶ月を定める旧暦(太陰暦)を使ってました。
新月から次の新月までの約29.5日を1ヶ月とする方法です。
新月は1日目で、十五夜は15日目をさします。
ということは十五夜は毎月くるので、年に12回はあります。
しかしこの計算だと1年が354日しかないので、年に11日ずつズレてしまします。
そこで数年ごとに閏年という追加の1ヶ月を設けて調整していました。
だから閏年の場合は1年に13回も十五夜が来るというわけです。
なんで月は満ち欠けするの?
地球は太陽の光が当たっているところが昼になり、当たっていないところが夜になります。
月も同じように太陽の光に照らされいて、私たちが見る月は太陽の光が当たっている部分だけです。
これは図を使って解説しましょう。
満月が見える時、月は太陽から見て地球の後ろにあります。
だから太陽が月を全面照らしているのが見える状態です。
一方、新月の時、月は太陽から見て地球の前にあります。
月の照らされてる面が地球からは全く見えない状態です。
私たちはいろんな角度の月を見ることになるので、月の形も変わるというわけです。
中秋の名月とは旧暦8月15日の月
中秋の名月を見る風習は、旧暦8月15日に月を眺める中国の「中秋節」に由来します。
9世紀ごろに日本にもこの文化が渡り、平安時代は貴族の間だけで楽しまれていました。
当時は池は杯に映る月を見ながら、和歌を詠み、宴をしていたようです。
それが江戸時代に庶民にも広まり、現代にも続いているというわけです。
だから中秋の名月は年に1度だけ、旧暦の8月15日と決まっています。
中秋の名月はどうして旧暦の8月15日なの?
中秋の名月は旧暦の8月15日と毎年決まっています。
2021年の中秋の名月は、9月21日です。
中秋の名月のとは「秋の真ん中で見られる美しい月」という意味です。
中秋=秋の真ん中
名月=美しい月
昔の人は春夏秋冬を次のように分けていました。
季節 | 春 | 夏 | 秋 | 冬 |
旧暦の月 | 1~3月 | 4~6月 | 7~9月 | 10~12月 |
秋は旧暦の7〜9月なので、真ん中の日が8月15日というわけです。
中秋の名月はどうして1年で一番月がきれいなの?
秋は月を眺めるには、高くも低くもなくいい高さになる季節です。
これは太陽と月の高さが、季節で変わることが原因です。
日本は夏になると昼の時間が長くなります。これは太陽が高く登っているからです。
この場合、満月は太陽の反対側になるため、低い位置に見えます。
また冬になると昼の時間が短くなります。これは太陽の位置が低いからです。
この場合は、満月は太陽と反対側になるため、高い位置に見えます。
夏 | 冬 | 春・秋 | |
太陽の位置 | 高い | 低い | ちょうどいい |
月の位置 | 低い | 高い | ちょうどいい |
秋と春は夏と冬の中間で高くも低くもなく、月を見るのに最適な高さになるというわけです。
さらに春は湿度や黄砂(中国大陸の砂が飛んてくる現象)で空がかすみますが、秋はスッキリしています。
十五夜と中秋の名月が満月とは限らない驚きの理由
十五夜と中秋の名月は、どちらも新月から15日目。
必ず満月と思いきやそうでもないのです。
どちらかというと、満月よりちょっと欠けた状態の方が多いのが事実。
その理由は、新月になる時間帯に原因があります。
旧暦の1日目とは、「新月になった瞬間を含む日」にあたります。
新月から満月までは、平均約14.8日かかります。
もし、1日目の午前0時に新月になる場合、15日の夜が満月になります。
しかしこれが1日目の18時が新月になる場合、満月になるのは16日の昼になってしまいます。
2022年の中秋の名月は9月10日(土曜日)
です。
この日は稀に見る満月の中秋の名月なので、お見逃しなく!!
年 | 中秋の名月 | 満月 |
2022年 | 9月10日 | 9月10日18時59分 |
2023年 | 9月29日 | 9月29日18時58分 |
2024年 | 9月17日 | 9月18日11時34分 |
2025年 | 10月6日 | 10月7日12時48分 |
2026年 | 9月25日 | 9月27日1時49分 |
2027年 | 9月15日 | 9月16日8時3分 |
2028年 | 10月3日 | 10月4日1時25分 |
2029年 | 9月22日 | 9月23日1時29分 |
2030年 | 9月12日 | 9月12日6時18分 |
満月をよく見てみると、ウサギが餅つきしているように見えます。
どうして模様が見えるのか?なんでウサギなのか?この謎はこちらの記事でスッキリ解決できます。
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中秋の名月の5つのお供え物とその意味
日本人は昔から月には神様がいると信じていました。
だから数ある十五夜の中でも最も美しい中秋の名月の日を選んで、月の神様にお供え物をするのです。
お米や作物の豊作への祈願と感謝を込めて次の5つをお供えしていました。
1:お団子
2:里芋
3:季節の野菜や果物
4:ススキ
5:秋の七草
1つずつ解説しましょう。
1:お団子|お米の収穫への感謝を表す
実は中秋の名月にお団子をお供えするようになったのは、江戸時代からのこと。
お米の豊作への祈願と感謝を表すために、お米の粉で作ったお団子をお供えしたのがはじまりです。
お月見団子についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
中秋の名月(十五夜)になぜお団子?意外に深いお月見団子のアレコレ
2:里芋 |子孫繁栄の縁起物
中秋の名月は別名「芋名月」とも呼ばれます。
特に里芋は、1つの親芋からたくさんの子芋、孫芋が取れるので子孫繁栄の縁起物。
そのままで、あるいは蒸したり煮たりしてお供えします。
3:季節の野菜や果物|秋の収穫を祝う
さつまいも、栗、柿、なし、ブドウなどを籠に盛ってお供えします。
そうすることで作物の収穫を祝い、神様に感謝していたのです。
4:ススキ|稲穂の代用品で魔除けの役割
ススキは実は稲穂の代用品なんです。
稲穂は「依り代」と言われ、神が宿る神聖なものとされていました。
しかし中秋の名月の時期は、稲穂はまだ収穫されていません。
そこでススキを稲穂に見立てて、神様へのお供え物にしたのです。
またお供えしたススキは軒先に吊るすと魔除けになるとも信じられています。
5:秋の七草|美しい草花を目で楽しむ
はぎ・おばな・くず・なでしこ・おみなえし・ふじはかま・ききょう
全て河原や野原に自生しているものばかりです。
春の七草は食べるものですが、秋の七草はその美しい姿を目で楽しむもの。
月と一緒に鑑賞しましょう。
【中秋の名月だけでなく十三夜もお月見しよう】
お月見といえば旧暦の8月15日が一般的ですが、もう一回お月見する風習があります。
それは中秋の名月から一ヶ月後の旧暦9月13日の「十三夜」です。
「後の月」と呼ばれます。
中秋の名月が曇って見えないのに対し、「十三夜に曇りなし」と言われるほどに晴れることが多いと言われます。
またお月見を2回せずに片方だけする場合、片見月と呼ばれ縁起が悪いとされていました。
2022年の十三夜は10月8日(土曜日)です。
十五夜と中秋の名月は、一般的には旧暦の8月15日を指します。
しかし本来の意味は大きく違っていました。
十五夜とは、新月から15日目の夜で年に12~13回もあります。
一方、中秋の名月は旧暦の8月15日の月のこと。年に1度しかありません。
時代は変わり、月を見る時間さえもない現代人の私達。
せめて1年に1度くらいは月を見ながらゆっくりとした時間を過ごしたいものです。
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