嫌われ者No.1の害虫、ゴキブリ。
「絶滅してくれたら世の中は平和になる」と思ったら大間違いです。
なんと世界にゴキブリは4600種もいます。
日本には58種のゴキブリが存在し、人の住む家に入ってくるものは10種ぐらいにすぎません。
実はほとんどのゴキブリは一生を野外で過ごし、朽ち木や落ち葉を食べているのです。
この記事では、人間に害しかないと思われがちな『まさかのゴキブリの存在意義』を4つ紹介しています。
ゴキブリが生態系の維持だけでなく、人類に尽くしてくれている事実にきっと驚くことでしょう。
最後までお読みください。
地球にとって尊いゴキブリの存在意義2つ
世界にゴキブリは4600種も存在しています。
私達が害虫として毛嫌いしているゴキブリは、なんと全体の1%以下です。
実は、ゴキブリの99%は地球の環境を守る重要な役割を果たしています。
ここではゴキブリがいかに地球に貢献しているか、その存在意義を2つ紹介します。
1:熱帯の森を消滅の危機から守っている
2:植物の受粉を助けて命を繋いでいる
それでは1つずつ解説していきましょう。
1:熱帯の森を消滅の危機から守っている
驚くことにゴキブリの99%は、森の中で重要な役割を果たしています。
もしもゴキブリが絶滅したら、森には倒れた木があふれかえり、落ち葉がうず高く積もることに。
その結果、熱帯の森は消滅すると考えられているほどです。
例えば、アマゾン川流域の木の生い茂った湿地帯。
この場所において、年間に落ちる落ち葉の5.6%をこの地に住むオオゴキブリが処理しています。
そのおかげで痩せた土壌が豊かになっているという報告があります。
2:植物の受粉を助けて命を繋いでいる
ゴキブリは花に寄ってきた小さな昆虫を食べたり、ときには花の蜜も吸います。
そのとき花の中を動き回り、体に大量の花粉をつけるのです。
その結果、植物の受粉を助けていることがわかりました。
ゴキブリは花粉の運び手になることは、とても珍しく特定の植物でしか認められません。
世界的に見ても、アリゾナ州の砂漠に咲く花「ユッカ」などごく数例です。
そんな世界でも珍しいゴキブリが受粉をしている例が日本でも見つかりました。
神戸大学大学院理学研究科の末次健司講師は、鹿児島屋久島に自生している光合成をやめた植物「ヤッコソウ」の生態を調査し、スズメバチ、ゴキブリやカマドウマの仲間といった通常はほとんど送粉者と見なされない昆虫たちに花粉の媒介を託していることを明らかにした。 pic.twitter.com/B0Dg9WhPUL
— ミラクルみちる@日本ファシスト党 / 人民の意思 (@tikyuuhakkenn) January 8, 2019
神戸大学大学院理学研究科の末次健司講師が、2019年に次のような発表をしています。
鹿児島屋久島に自生している光合成をやめた植物「ヤッコソウ」の生態を調査したところ、スズメバチ、ゴキブリやカマドウマの仲間といった通常はほとんど送粉者と見なされない昆虫たちに花粉の媒介を託している。
ゴキブリが立ち去った花には、ちゃんと実がなっていたそうです。
実がなり種ができることで、植物は命を繋いでいくことできます。
ゴキブリは生態系の維持にここでも役立っていたのです。
参考記事:神戸大学(2019/01/08)スズメバチ、ゴキブリ、カマドウマは花粉媒介者として働く!?〜嫌われものたちの意外な役割を解明〜
人類が感謝すべきゴキブリの存在意義2つ
家の中で不意に出会う害虫のゴキブリ。
しかしゴキブリは2億6000万年前より地球上に存在しており、人類の歴史はたかだか700万年。
ゴキブリが人類の害虫になったのは、人が住居を持つようになった縄文時代あたりからです。
人類より大先輩なのに嫌われ者No.1のゴキブリ。
そんな知られざるゴキブリの、人類が感謝したくなる存在意義を2つご紹介しましょう。
1:美味しい食べ物として世界で愛される
2:薬として活躍!未来の抗生物質への期待
それでは1つずつ解説していきます。
1:美味しい食べ物として世界で愛される
ゴキブリを食べるなんて、考えただけでもぞっとします。
しかし、味は意外にも美味しいらしいです。
ラオスやタイなどでは、フライにして食べる文化が今でもあります。
日本でも昔は塩焼きや天ぷらで食べられたようです。
現在は空前の昆虫食ブームで、マダガスカルゴキブリが大人気。
油であげるととても美味しく、昆虫食マニアにはたまらない食材です。
やっぱり #ゴキブリ って映えますよね😅
昨日配信された#ゴキブリコロッケ みなさんご覧になりましたでしょうか?
まだの方は是非👏
ゴキブリ料理は解体ショーも見られて大変お得な動画となっています
あ。閲覧注意ですよ🤫#バグズクッキングhttps://t.co/LnnYVNWKZv pic.twitter.com/4iBvkfpo1m— バグズクッキング 公式|昆虫食番組@YouTube (@BugscookingJP) April 22, 2021
美味しく食べるポイントは、臭線を綺麗に取り除くこと。
メスの臭線はオスほど臭くなく、身も豊富で食べがいがあります。
マダカスカルゴキブリのさばき方はこちらの動画でどうぞ!
https://youtu.be/MwGr71toKe4
ちなみに、日本の家に出てくるチャバネゴキブリやクロゴキブリは美味しくありません。
間違っても食べないように。
【昆虫食が人類の未来を救う!】
日本では古来より昆虫を食べる習慣がありました。
種類も豊富で、カイコ、イナゴ、ハチノコ、さざむしなどなど、現在も長野県の伊那市は昆虫食の文化が残っています。
世界的にもタイやラオスなどの東南アジアだけでなく、アメリカやヨーロッパでさえも昆虫を食べていました。
イタリアでは蛆虫入りのチーズが今でも大人気です。
マジでこの世の全てのチーズ好きに教えてあげたいんだがイタリアのサルデーニャ地方には全ての人間を虜にする禁断の蛆虫入りチーズ「カース・マルツゥ」がある。
これがウジたっぷり超絶美味いからぜひ全国のチーズ好き、チーズを愛する者たち、チーズを憎む者たち、全てのチーズ関係者に伝われ pic.twitter.com/fcPNvWERh2— ジョーズ (@k_jaws_) July 26, 2018
実は、昆虫は美味しい上にタンパク質が豊富で栄養満点!
100g中に含まれるタンパク質の量を比較すると、イナゴは牛肉より優っています。
タンパク質の量(100g中) | |
イナゴ(佃煮) | 26.3g |
牛肉(和牛・ヒレ・赤身) | 19.1g |
2050年には世界の人口が100億人になると予想されています。
そこで深刻な問題になるのが、タンパク質の供給。
昆虫は他の家畜と比べると飼育に必要な水や餌が少なく、環境効果ガスの排出量も減って環境に優しいと言われています。
食卓にお肉が消えて、昆虫がのるのも時間の問題かもしれませんね。
2:薬として活躍!未来の抗生物質への期待
ゴキブリの中には、薬になるものがあります。
サツマゴキブリはお薬になるよ!
代表的なものはサツマゴキブリ。
日本でも九州や沖縄などの暖かい地方の、人里に近い林の中に住んでいます。
サツマゴキブリ pic.twitter.com/Ppp936nV9s
— おーちゃん(昆虫採集の神様) (@Ohchan_ch) July 14, 2020
サツマゴキブリは日本でも薬として、平安時代から飲まれていた記録があります。
中国では今でも漢方薬として飲まれており、日本の漢方薬局でも購入可能です。
・解毒作用
・腫れを減少させる
などの効果があるよ!
サツマゴキブリに限らず、ゴキブリはアメリカやヨーロッパでも古くから薬として使われています。
例えば、ルイジアナ州では破傷風にゴキブリ茶を処方していました。
また古代ギリシャでは、ゴキブリの内臓とバラの油を混ぜたものを耳の穴に流し込んで治療していたようです。
もはや罰ゲームとしか思えない治療法。
しかしゴキブリの脳には天然の抗生物質が含まれていることが、最近になってわかりました。
イギリスのノッティンガム大学、サイモン・リー氏が2010年に次のような発表をしています。
ワモンゴキブリの脳から、ヒトにとって致死性のある細菌を死滅させる天然の抗生物質を発見した。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や病原性大腸菌などに効果があることが証明されたのです。
ゴキブリが不潔な環境で細菌感染に負けずに行きていけるのは、この天然の抗生物質のおかげ。
人類がゴキブリ由来の抗生剤で命を救われる日もくるかもしれません。
参考記事:ゴキブリから抗生物質?NATIONAL GEOGRAPHIC
ぶっちぎりの嫌われ者No.1であるゴキブリ。
しかし、私達が悲鳴をあげて忌み嫌うその存在は、数あるゴキブリの1%以下。
99%のゴキブリは、人類や地球のために尽くしてくれる感謝すべき存在なのです。
熱帯の森を守るお掃除屋であり、さらには未来の強力な抗生物質になる可能性さえ秘めた生き物でした。
いつか彼らの活躍が認められ、ゴキブリの功績が讃えられる日が来ることを祈るばかりです。
参考図書:
『ゴキブリ大全』(青土社) デイヴィット・ジョージ・ゴードン 訳:松浦 俊輔
『スーパーフード 昆虫食最強ナビ』(タツミムック) ムシモアゼルギリコ