圧力鍋で玄米を炊く方法|最高に美味しくなる「とぎ」と「浸水」の秘密

美味しい玄米ご飯を炊くなら、短時間でふっくらモチモチに仕上がる圧力鍋がオススメです。

でも、圧力鍋を使えば美味しくなるというわけではありません。

実は、私はずっと玄米は美味しくないと思っていました。

ところが「とぎ」「浸水」を丁寧にしてみたところ、風味と食感がグッと良くなることに気がつきました。

それはもう魔法のように玄米が甘くなり、ふんわりモッチモチに炊き上がるのです。

この記事では、圧力鍋で最高に美味しい玄米を炊く方法を紹介しています。

どうぞ参考にしてください。

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圧力鍋で炊くモチモチ玄米の道具と材料

必要な道具
・金属製のザルとボール
・泡立て器
・圧力鍋
必要な材料
・玄米      3合(450g)
・水        680cc  
・天然塩 3g

※水は玄米の重さの1.5倍が目安

お米の計量カップを使う時は、すり切りで。お米1合は150g前後です。

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美味しさに差がつく材料選びのポイント

玄米を炊くのに必要な基本材料は、玄米、水、天然塩のたった3つ。

シンプルだからこそ、材料選びにも大切なポイントがあります。

1:無農薬の玄米を選ぶ
2:水は浄水かミネラルウオーター
3:塩は食塩ではなく天然塩

無農薬の玄米で美味しく安心

市販されている一般的な玄米には、農薬がぬかの部分に残っています。

その量は、食品衛生法の基準値よりもかなり低い0.001~0.05ppm程度。これは玄米1トンにつき農薬0.001~0.05gです。

わずかな量ですが、白米と違って玄米はぬかも食べます。もし手に入るなら無農薬をオススメします。

水は浄水かミネラルウォーターで

美味しい玄米を炊くには、浄水かミネラルウォーター(軟水)を使いましょう。

ミネラルウォーターはコストが高いので、浸水と炊飯の時だけ使い、とぎは水道水にしてもOKです。

というのも、玄米は表面がぬかにおおわれているので、短時間では水を吸いにくいからです。

ちなみに我が家では、整水器で作られる水素水を使っています。



軟水を選ぶ理由と水の硬度

硬水だとカルシウムの影響でお米がボソボソになるため、炊飯には軟水を使います。

1ℓ中のカルシウムとマグネシウムの量(硬度)が少ないと軟水、多いと硬水です。

日本の一般的な基準では硬度0〜100mg/ℓが軟水とされ、大半の水道水も該当します。塩は食塩ではなく天然塩にこだわる

玄米を炊く時には、天然塩を使いましょう!

塩は大きく分けると食塩と天然塩の2種類があります。

食塩は精製された塩で、成分のほとんどが塩化ナトリウム。味はしょっぱいばかりで旨味がありません。

天然塩は自然塩とも言われ、海水を煮詰めたり自然乾燥させて作った塩や岩塩などのこと。

産地や製法で差がありますが、ミネラルを多く含み、食塩よりも味がまろやかです。

玄米に塩を入れる理由

玄米を炊く時に塩を入れるのは、アク抜きをするためです。

塩のナトリウムが入ることで、玄米に多く含まれるカリウムが中和され、苦味が消えます。

さらにほんのりと塩味がつくことによって、美味しく食べやすい玄米になります。

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玄米の美味しさを引き出す「とぎ」の秘密

玄米を美味しく炊くには、「とぎ」が命。もっとも大事なポイントです。

白米とはとぎ方が違うので、同じようにやってしまうと美味しくは炊けません。ご注意を。

「とぎ」で風味と食感が良くなる理由

玄米をとぐ目的は、玄米臭さをなくし、ふっくらと美味しく炊くためです。

においの元になるのは玄米表面の酸化したぬか。

これをといで取りのぞくことで、玄米臭さがなくなります。

またふっくら炊くためには、といで玄米の表面にしっかり傷をつけることがポイント。

ぬかの繊維質が細かく切れ、水も中まで入りやすくなるので、炊き上がりの食感が柔らかくなります。

玄米の美味しさを引き出すとぎ方3step

玄米の美味しさを引き出すには、しっかり力強くとぐこと。

固い玄米の表面に傷をつけるには、ちょっとしたテクニックが必要です。

この方法でといだとき、出てくる「にごり」に驚きますよ。

1:汚れを軽くとる

玄米をボールに入れて水を注ぎ、軽く混ぜます。浮いてきた汚れは取り除きましょう。

2:泡立て器で力強くかき混ぜる

玄米をザルに入れて水を切ったら、泡立て器で100回ほど混ぜ続けます。

やや強めに玄米をザルに擦り付けるようにするのがポイント。

素手だと指先に細かい傷がついたり冬場は水が冷たいので、泡立て器がオススメ!

3:にごりが出なくなるまですすぐ

混ぜ終わって水をそそぐと、白くにごります。

にごりの正体は玄米表面の酸化したぬか。これが玄米臭さのもとです。

にごりがなくなるまで流水で玄米をすすぎ、しっかり水を切ります。

 

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玄米がモチモチになる「浸水」の秘密

玄米はパサパサで固いと言われがちです。その原因は、玄米が水を十分に吸っていないから。

たっぷりと美味しいお水を吸わせると、ふっくらモチモチの玄米ご飯になるんです。

この「浸水」をしっかりすることで、玄米を最高に美味しくさせることができます。

浸水で玄米が美味しくなる仕組み

お米のデンプンは、水と熱が加わることで糊化(こか)し、モチモチの状態になります。

それには、お米にお水をしっかり吸わせることがポイント。

お米の中まで水が入ることで、芯が残ったり固くなることが防げます。

白米に比べて吸水しにくい玄米は、浸水時間を長めに取りましょう。

玄米がたっぷり水を吸う浸水時間

玄米が隠れる量のお水を入れて浸水させます。

ふっくら炊くには、長めの浸水が大事。夏場なら6時間、冬場なら12時間ほどが目安です。

夜寝る前に仕込んで、次の日の朝から炊くのがオススメですよ。

圧力鍋で最高に美味しい玄米を炊いてみる

丁寧に「とぎ」と「浸水」をしたならば、圧力鍋で美味しい玄米を炊いてみましょう。

手順はたった3つだけで、火加減の調整も簡単です。

それでは1つずつ解説していきます。

簡単!圧力鍋で玄米を炊く3step

1:圧力鍋に材料を入れる

浸水させた玄米をザルでしっかり水を切って圧力鍋に入れ、水680ccと天然塩3gを加えます。

2:最初は強火にかける

しっかりと蓋をしめ、圧力を調整できる鍋は高圧に設定し、強火にかけます。

ポイントは火が鍋底から出ないこと。

鍋底全体に火が勢い良く当たってればOKです!

3:圧がかかったら弱火にする

加圧状態になってシューシューと音がし始めたら、弱火にして20分炊きます。

ここでの弱火は、圧が保てる最小の火加減で大丈夫です。

火を止めたら自然に圧が抜けるのを待ちましょう。だいたい15分程度です。

炊いた玄米をさらに美味しくする2step

圧力鍋の蓋を開けたら、玄米の香ばしいかおりが蒸気と一緒に広がります。

ここですぐに食べたい気持ちはグッと我慢!

さらに美味しくする一手間をかけましょう。

1:圧が抜けたら蓋を開ける

圧が抜けたのを確認したら蓋を開けます。

玄米が美味しく炊けている場合、表面に小さな穴がたくさん空いています。

これは玄米にムラなく火が通っている証拠なんですよ。

2:底からふっくら返す

しゃもじで玄米に十字の切れ目を入れ、底から手早く返しましょう。

こうしてほぐすことによって、熱や水分がより均等になります。

全体が固くなることも防げ、ふっくらした玄米になりますよ。

圧力鍋だからできる浸水時間0の裏技

浸水に6時間もかけられない!すぐにでもご飯を炊かないといけない。

そんな場合、浸水なしで玄米を炊く裏技があります。

どうするかというと、加熱時間を5分長くするんです。

火にかけて沸騰したら弱火で25分加熱し、火を止めたら圧が自然に抜けるのを待ちます。

しっかりと浸水させて炊いた玄米と比べると、食感はやや硬めながら美味しく炊けます。

知っておくと時間がない時に便利ですよ。

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圧力鍋で玄米を炊いて焦げる3つの原因

圧力鍋で玄米を炊くと焦げる場合、考えられる原因は3つあります。

1:火が強い
2:加熱時間が長い
3:水が少ない

これらの改善策をお伝えします。

1:火が強い

火が強すぎると底が焦げます。沸騰後に圧がかかったら弱火にしましょう。

圧が一旦かかったら、圧を維持できる最小の火力で大丈夫です。

2:加熱時間が長い

圧がかかってからの弱火の加熱時間が長すぎると底が焦げます。

焦げる場合は加熱する時間を短くしてみましょう。

3:水が少ない

分量通りでも焦げる場合は、水を少し増やしてみましょう。

というのも、保存状態や保存期間によって玄米中の水分量も異なるからです。

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玄米は冷凍して美味しさを封じ込める

せっかく美味ししく炊けた玄米ですが、冷やご飯になるとボソボソに。

そこからレンジでチンしても、炊きたてのようにはなりません。

ここでは玄米の美味しさを保つ、ちょっとしたテクニックを紹介します。

玄米は冷凍保存が絶対にいい理由

炊いた玄米を美味しく保存するなら、冷蔵ではなく冷凍しましょう。

玄米のデンプンは、炊飯で水と熱が加わると「糊化」というモチモチ状態に。

この時デンプンの分子の間には、細かく水が入り込んでいます。

逆に温度が下がると水が抜け出し、粘りのない固い状態になります。

これをデンプンの「老化」といい、一番影響を受けるのが冷蔵庫位の温度です。

ところが老化は0℃以下では起きないので、冷凍庫がいいのです。

玄米を美味しく冷凍&解凍するコツ

炊いた玄米の保存は、温かいうちにラップで包んで冷凍するのがオススメです。

温かいうちにラップをすると、玄米から水分が飛ぶのを最小限に抑えられます。

解凍は電子レンジがお手軽ですが、炊きたてのように美味しくなるのは「せいろ」です。

それぞれの手順を詳しく解説します。

1食分ずつ包んで冷凍

1食分ずつ平らな状態にし、お米を潰さないようにしてラップします。

粗熱が取れたらアルミホイルで包んで冷凍しましょう。

こうすることで急速冷凍ができ、デンプンの老化が最小限になります。

炊きたてのように解凍するならせいろ

手軽に解凍するなら電子レンジですが、時間に余裕があったらせいろを使ってみて下さい。

10分くらい蒸すと、炊きたてのような美味しさを味わえます。

なお自然解凍は、玄米がパサパサになるのでオススメしません。

 

せいろで蒸すときのポイント

蒸す時にはクッキングペーパーを下に敷くと、後の手入れが楽チンです。

より湯気に触れやすくなるように、あらかじめ所々に切り込みを入れておきましょう。

蒸しあがった玄米をほぐしながらお茶碗によそえば、まさに炊き立ての美味しさに。

「とぎ」と「浸水」で最高に美味しい玄米に

圧力鍋で最高に美味しい玄米を炊くには、1つ1つの手順を丁寧にすることが大切です。

しっかりと「とぐ」ことで玄米のぬか臭さをなくすと、風味と香りがグッと良くなります。

そしてたっぷり美味しいお水を玄米の中いっぱいに吸い込ませましょう。

この「浸水」でしっかり玄米に水が入れば、玄米の中までムラなく火が通ります。

そうすることで玄米のもつ甘みが引き出され、ふんわりモッチモチの炊き上がりになるのです。

私はずっと上手く炊けずに「玄米はまずい」と思っていました。

ところが「とぎ」と「浸水」で、玄米がうんと美味しくなることに気がつきました。

ぜひ、あなたも圧力鍋で最高に美味しい玄米と炊いてみてください。

きっとその香りと食感に驚くはずです。

参考文献一覧

愛知県衛生研究所(2005)米(玄米)に残留する農薬の調理による減少について

菅原正義(2008)米飯の老化と難消化性デンプン生成 長岡工業高等専門学校研究紀要 44,55-62

山崎清子,島田キミエ,渋川祥子,下村道子,市川朝子,杉山久仁子 (2011). 新版 調理と理論 同文書院

小川宜子(2017)米飯の性状に及ぼす要因 日本家政学会誌 68, 243-251

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